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可愛さと品を兼ね備える「自分なり」の着物スタイル 熊谷真実さん 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.16

可愛さと品を兼ね備える「自分なり」の着物スタイル 熊谷真実さん 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.16

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着物沼の住人が着物愛について熱く語るYouTube連動連載。今回のゲストは、ファッションとして着物を着こなす女優・熊谷真実さんです。いろんな着物や帯にふれて、とにかくたくさん映画を観て、真実さんが辿り着いた「自分なり」のスタイルとは?

2026.05.26

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石井先生からの贈り物は、舞台で着たデート着物

撮影当日、舞台『おんなの家』※で着用した思い出の着物で現れた熊谷真実さん。

※『おんなの家』……ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』で知られる橋田壽賀子さんと石井ふく子さんのタッグで1974年に制作されたドラマシリーズ。神楽坂にある炉端焼き店「花舎」を舞台に、性格の異なる独身三姉妹が奮闘する物語。熊谷真実さんが三女・葵役を務めた7回目の舞台版は、長女・梅を高島礼子さん、四女・桐子を藤田朋子さんが演じた。

姿着

「物語の中で、私がデート服として着用したもので、実は石井ふく子先生の自前のお着物なんです」

と、明かしてくださった真実さん。

舞台が終わったときに、「真実ちゃん、これからもよかったら着てね」と石井さんから直々に、舞台衣裳をそのまま譲り受けたそう。

「久しぶりに着たんですけども、置いてあるのとこうして着るのとでは、華やかさが全然違いますね。この淡い色の中に施されているグラデーションが立体感を生み出していることもあって、着物って見るのと着るのとでは違うんだなと改めて感じました。やっぱり石井先生のお見立ては間違いないなと、尊敬しています」

後ろ姿

お太鼓部分には「はる・なつ・あき・ふゆ」と書かれていて、四季を問わず締められる帯

「これをいただいたのは40代だったと思うんですが……。60代半ばの私が着てもまだ似合う、この着物マジック!」

真実さん曰く「はっとするようなオレンジ」がポイントの名古屋帯に合わせたのは、濃いグリーンの帯揚げ。

帯揚げ

「濃い緑だと色が主張して若さが出ますが、若草色を合わせるだけで上品な印象に。帯揚げひとつでも世界観が変わるんですよね。色合わせの妙というか、ちょっとした色の違いで一枚の着物が何通りにも見える面白さがすごいなぁって。その奥深さを知ってしまうと、着物はやめられません(笑)」

一式

帯締めと帯揚げの組み合わせだけでもイメージが変わる

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白大島がよく似合う母の影響で、大の着物好きに

着物との出合いを振り返れば――

「子どもの頃から母がよく着物を着せてくれていました。何かお稽古事をしてたわけではないんですけど。たぶん、母が着物が好きだったんでしょうね。母は美人で、白大島紬がとっても似合う人でした。『白大島ってね、オシャレな人しか着られないのよ』と言って、自身も白の大島紬を好んで着ていましたね。だから、白の大島=カッコイイというイメージが、いまだに私の中にはありますね(笑)」

トーク風景

「お正月に家族全員で着物を着たり、親戚の結婚式に着物で出席したり。本当に着物を着る機会が多かったと思います。三姉妹だったので、いつも可愛くしてもらってました」

実家が洋服屋だった真実さん。妹の松田美由紀さんとお揃いの洋服をつくってもらうこともあったといいます。

「うちは卸売もやっていたので、岐阜や名古屋の着物問屋に連れていってもらって、お着物を買ってもらったり。姉も着物が大好きで。私が着物を借りたいって言うと、それこそ『細雪』のワンシーンのように、ぶわーって着物をリビングに並べて、『どれがいい? 真実ちゃん』って(笑)。コーディネートもしてくれて、何なら下着まで揃えて一式貸してくれるので、いつも恩恵に与っています」

と、着物についての思い出話は尽きません。

ご自身の離婚報道を三姉妹で一緒に着物を着て聞いたエピソードは、ぜひYouTube動画でご覧ください。

着物人生において、ひときわ記憶に刻まれた一枚

「石井先生は、物語の中にお着物が出てくるお芝居がお好きなんですよ」

と教えてくれた真実さんは、40歳の頃に、演出家・石井ふく子さんと出会いました。石井さんが手がけた舞台への出演をきっかけに着物を着る機会も増え、自ら着物を着たいという気持ちが大きくなっていったといいます。

「その頃に、初めて買った着物がこれです」

アンサンブル

気楽に着られる綿の帯を色重視でコーディネート

「自分で好きなものを選びたいと思って、インターネットで調べて買いました。玩具柄の銘仙※のアンサンブルです」

※銘仙……銘仙着物は、大正から昭和にかけて流行した平織りの絹織物。絣(かすり)の技法を用いたカラフルで大胆な柄行きを特徴とする。主に関東の伊勢崎・足利・秩父・八王子など養蚕地域で生産された。「東の銘仙、西の御召」といわれたほど。

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トーク風景

真実さんは、アンサンブル大好き勢。

「よく母がアンサンブルをつくってくれていたこともあって、すごく好きなんです。かわいいですよね。帯結びが苦手でも隠せるので(笑)、着物初心者の方はまず最初にアンサンブルをつくってください。羽織は長めの丈で誂えると昭和っぽくならず、今風になりますよ」

と、愛にあふれたアドバイスも。

バッグ

「裂が好き!」という真実さんのために友人が手づくりしてくれたバッグ(写真左)。リバーシブルで、中はアンサンブルの共布が使われている

バッグ

大のお気に入りのバッグを手に、「素敵でしょー!!」と真実さん

熊谷真実流「着物スタイルの磨き方」を伝授!

「たくさん見ることで目を肥やして、自分の好みのテイストを定めていくことが大事だと思います。ふらっとお店に入って、『これ、私だったらこう着たいな』って頭の中で想像するのもいい。たくさん見ることが自分を知ることになるのかなって」

「自分なり」という言葉を大切にしている真実さん。どんなふうに「自分なり」のスタイルを磨いていったのかと訊けば――

「自分なりに可愛さと品をどこかに出せたらいいなと思っています。腰回りがだぶつかない着方だったり、動いて綺麗な着つけだったり。杉村春子先生や池内淳子さんの着こなしを参考にしたり。とにかく、映画をたくさん観ましたね。成瀬巳喜男さんの作品など、昔の映画から衿の抜き方や帯回りのぐずぐず加減を勉強しました。きちっと綺麗なのもいいんですけど、ちょっとぐずぐずって着られる手慣れた人に憧れたけど、いまはこんな感じで落ち着きました(笑)」

トーク風景

「私自身は芸術品を纏うという意識はなくて、着物は日常のファッションに落とし込んで着たいタイプです。若い子たちがいろんな着方をしているのを見て勉強してますよ。リサイクルやアンティークの着物は裄が短いので、フリルのブルマーみたいなのを半分にカットしてゴムをつけて袖に入れたり(笑)」

白無垢

結婚式で大胆なフリルが印象的な打掛とヘッドドレスを纏った真実さん(当時52歳)「舞台やテレビで何度も結婚式をしているから普通の白無垢だと役をやっているみたいで嫌だ」と思っていたときに出合った至極の衣裳 提供/熊谷真実

白無垢

3回目の結婚(当時64歳)で選んだのは、成人式用衣裳のインスタで見つけたオフホワイトの可憐な振袖 提供/熊谷真実

「いい着物、いい帯を大事に着たい」という境地へ

真実さんにとって着物とは? いまのお気持ちをお聞きしました。

「自分の中の着物への情熱みたいなものは落ち着いて、これからはいいものを着たいなと思っています。一枚のいいお着物、一条のいい帯を大事に着たい――という時期に入ってきてるかな」

馬柄の帯

「着物は、五十音を使っている民族であること、日本で育ったんだっていう証。だからこそ、無くして欲しくないし、日本人であるというアイデンティティを再確認してもらいたいツールだと思っています。着物文化は絶対に廃れさせたくないと強く願っているんです」

笑顔カット

「着物にハマるってことは自分を知ること。そして、自分が育った日本という国をもう一度再発見すること。なので、大いにハマって自分らしさを発見してください。ピンからキリまであるからこそ、そのピンからキリを探究していくことで自分がいまどこにいるのか、自分がどういう人間なのかも探ることができるかもしれません。その楽しさが、着物にはあります」

振袖コーデ

真実さん公認のそっくりさん・鳥塚ルミ子さんとの双子コーデ回では、和染紅型の振袖を纏って銀ブラも。詳しくは動画にて!

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着付け/鳥塚ルミ子
ヘアメイク/坂田佳子

文章/椿屋
スチール撮影/五十川満

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