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『CREVIA マチュピチュ展』森アーツセンターギャラリー  「きものでミュージアム」vol.53

『CREVIA マチュピチュ展』森アーツセンターギャラリー 「きものでミュージアム」vol.53

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『CREVIA マチュピチュ展』が森アーツセンターギャラリーで開催中。アンデス高地に築かれたインカ帝国の天空都市マチュピチュ。数千年におよぶアンデス文明の歴史と、黄金や精密な石積みに込められた技術と信仰の集大成を、日本で体感できる貴重な機会!

2025.11.08

おでかけ

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遥かなる「天空都市」マチュピチュ

今回は、森アーツセンターギャラリーで開催中の『CREVIA マチュピチュ展』をご紹介します。

※本コラム内の美術作品の写真につきまして、各美術館プレスより撮影および掲載の許諾を得て使用しております。画像写真の無断転載を禁じます。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

本展は、2021年のアメリカを皮切りに世界を巡回し、累計54万人以上を動員した国際的な展覧会。ペルーの世界遺産「マチュピチュ」を中心にインカ文明やその源流となったアンデス文明の至宝が多数集結し、古代アンデス文明が誇る叡智と芸術性を間近で体感できます。

ペルー政府公認のもと、ペルー・リマの世界的考古学博物館「ラルコ博物館」などからの約130点におよぶ貴重な文化財が展示されています。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

「文明はどのように栄え、なぜ滅びたのか」という壮大な問いとともに、遥かアンデス高地で花開いた壮大なスケールを持つ高度な文明と、彼らが遺した緻密な美の世界を追体験する旅へと誘われます。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

公式ナビゲーターはカズレーザーさん

本展覧会の公式ナビゲーターを務めるのは、お笑いコンビ『メイプル超合金』のカズレーザーさん。おなじみの真っ赤な衣装で、開幕に先立つオープニングセレモニーに登壇しました。

カズレーザーさん

オープニングセレモニーに登壇したカズレーザーさん

マチュピチュの魅力について、熱く語ります。

「日本から一番遠いと言われている場所の一つで、背景も文化も全然違う。さらに数百年間忘れられていたからこそ、わからないことが今もある。だからこそ『考察』や『想像』をする余地がめちゃくちゃあるんですよね」

カズレーザーさんは、プライベートでも展覧会によく足を運ぶそう。

「知らない題材でも『かっこよさそう』なら行く」
「大切なのは『展覧会に行っている自分、かっこいい』という自己満足感」

「朝から展覧会に行ってきた」と言える自分に酔うのも、展示を楽しむための重要な要素だそうです!古代文明の扉を気軽に開く招待状、とも言えるメッセージですね。

カズレーザーさん

オープニングセレモニーに登壇したカズレーザーさん

古代アンデス文明とインカ帝国、マチュピチュ

古代アンデス文明は、紀元前1200年頃から16世紀のスペインによる征服まで、南アメリカのアンデス地方で栄えた文明です。

展示風景

中央の壁はペルー、トルヒーリョの月神殿(ワカ・デ・ラ・ルナ)にある、伝説のモチェ族の英雄アイ・アパエックの顔を表現した彩色壁彫刻

チャビン、ナスカ、モチェ、ティワナク、ワリ、チムーといったインカ帝国の前身となる文明が栄えました。

羽根を縫い付けた長方形の装飾布 ワリ文化 西暦600年~1300年 ラルコ博物館 ペルー・リマ © MUSEO LARCO LIMA - PERU

羽根を縫い付けた長方形の装飾布 ワリ文化 西暦600年~1300年 ラルコ博物館 ペルー・リマ © MUSEO LARCO LIMA - PERU

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

インカ帝国は、15世紀の短期間に急成長しましたが、その成功は3000年にわたる古代アンデス文明の知恵の賜物です。

帝国の中心地クスコは、ケチュア語で「世界のへそ」を意味します。また、インカの圧倒的な統治力を示すのが、総延長約29,000キロメートル以上に及ぶ道路網「カパック・ニャン(王の道)」です。交通と通信の効率を高め、広大な帝国を維持する大動脈でした 。

展示風景

そしてマチュピチュは、標高2400メートルに位置する城塞で、最高統治者パチャクティ専用の王室建築でした。16世紀スペインによるインカ帝国征服後に忘れ去られ、1911年にアメリカの探検家ハイラム・ビンガムによって「発見」されました。今なお多くの謎に包まれています。

モルタルを使わず石材を完璧に組み上げる精緻な切り石の技法は、まさに驚異です。周囲の景観と見事に調和したデザインは、インカ人が持っていた美意識を現代に伝えてくれます 。

文明の叡智と芸術

展示室に入ると広がるのは、イントロシアターです。巨大スクリーンに臨場感たっぷりに上空からのマチュピチュやアンデスの自然が映し出されます。

本展の醍醐味は、マチュピチュに至る壮大な歴史、アンデス文明3000年の叡智を展示品から直接感じ取れる点にあります。映像を見ることによって展示への期待が高まります。

エントランス

エントランス

アンデス世界

アンデスの人々が信じていたのは、天空〈ハナン・パチャ〉、現実世界〈カイ・パチャ〉、地下〈ウカ・パチャ〉という三層に重なる世界構造です。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

そして、動物の力を借りて異界を自在に行き来するシャーマン(霊的な媒介者)の存在を知ることができます。アンデス独自の奥深い世界観と精神文化を、肌で感じる展示です。

神話上の動物を表現した彫刻

神話上の動物を表現した彫刻 モチェ文化 西暦100-800年ラルコ博物館 ペルー・リマ © MUSEO LARCO LIMA - PERU

モチェの英雄アイ・アパエックの壮大な旅

ペルー北岸で栄えたモチェ文化は、特に優れた金属工芸と陶器技術を持つ文明です。彼らの世界観を知る鍵となるのが、英雄「アイ・アパエック」の物語です。

展示風景

アイ・アパエックの顔を表した埋葬用仮面 西暦100-800年 ラルコ博物館 ペルー・リマ© MUSEO LARCO LIMA - PERU

アイ・アパエックは、犬やトカゲを従えて、ハゲワシの背に乗って山を飛び越え太陽を探して空と海を巡ります。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

彼は、一度は死を経験しながらも再生を果たす、文明を導く英雄として描かれています。再生した英雄がトウモロコシなどの作物を実らせる父となる神話は、自然の循環と共同体の生存への祈りが込められています。

展示風景

アイ・アパエック神話叙事詩の諸場面を描いた広口土器 西暦100-800年 ラルコ博物館 ペルー・リマ© MUSEO LARCO LIMA - PERU

展示風景

シャーマンまたはヒーラーのフクロウ、祖先と女性の姿をした母なる大地の結合、トウモロコシの姿をしたアイ・アパエック、唐辛子の姿をしたアイ・アパエック 西暦100-800年 ラルコ博物館 ペルー・リマ© MUSEO LARCO LIMA - PERU

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

結び目の文字体系「キープ」とインカの知恵

文字を持たなかったインカ帝国が、あれほど広大な領土をどう管理していたのでしょうか?

その答えが、キープ(Quipu)と呼ばれる、紐の結び目を使った三次元の文字体系です。

キープは、結び目の数や位置、紐の色、撚り方によって、日付や人口、会計情報、さらには歴史的な物語までを記録・伝達していました。シンプルでありながら驚くほど複雑なこのシステムは、キープ・カマユク(キープの達人)というエリートによって解読され、帝国の高度な行政を支えていたのです。

インカのキープ

インカのキープ(結縄記録装置)インカ文化1438年~1532年 ラルコ博物館 ペルー・リマ© MUSEO LARCO LIMA - PERU

祖先との出会い:黄金の輝きが語る神聖な世界

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

この展覧会のクライマックスは、インカ以前の支配者たちが、死後に神へと昇華される存在として葬られた場所、その墓から出土した副葬品がずらりと並ぶエリアです。まさに圧巻の一言!

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

特に目を奪われるのは、金や銀をふんだんに使った豪華絢爛な装飾品の数々です。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

彼らが身につけたこれらの装飾品は、まるで太陽の光を閉じ込めたかのように輝き、古代アンデスの権力と技術の粋を集めた造形美を放っています。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

支配者たちがどれほど神聖化され、崇められていたのか。その強大な力を象徴する、息をのむような黄金の輝きを、ぜひ間近でご堪能ください。

時を超えて響く、古代の知恵と美意識

マチュピチュ展は、インカ帝国の歴史だけでなく、その基盤を築いた3000年にわたる古代アンデス文明の叡智の集大成に触れる貴重な機会です。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

展示品を通して、私たちは極限の自然環境に挑み、知恵と素材を活かした古代の人々の、強く洗練された精神を感じ取ることができます。

神話の豊穣の場面が描かれた儀礼用の杯

神話の豊穣の場面が描かれた儀礼用の杯 ランバイェケ文化 700年~1300年 ラルコ博物館 ペルー・リマ© MUSEO LARCO LIMA - PERU

彼らが遺した普遍的な美意識は、時を超えて現代を生きる私たちにも深く響くはず。ぜひ会場で、この壮大な歴史の物語に思いを馳せてみてください。

展示風景

「CREVIAマチュピチュ展」会場, © NEON Group Limited. All Rights Reserved. / © MUSEO LARCO LIMA - PERU

「THE SUN & THE MOON(Restaurant)」にコラボメニュー登場

同じフロアのレストラン「THE SUN & THE MOON(Restaurant)」では、「マチュピチュ展」の世界観をイメージした、ペルー料理をベースにした特別メニューが登場!

窓からの景色を楽しみながら、味覚でも「天空の都市」を体験できるひとときをお楽しみください。

「THE SUN & THE MOON (Restaurant)」にコラボメニュー

提供期間:2025年11月22日(土)~2026年3月1日(日) ※予定
※12月19日~25日は提供休止予定。貸切営業時も提供なし。

【ランチコース】「マチュピチュ展 ペルビアンコース(全5品)」
ペルーの伝統料理をモダンにアレンジした特別コース。
価格:7,000円(税込)
提供時間:11:00~17:00(L.O.15:00)

【コラボカクテル】「Old peak」
ペルー産リキュール「ピスコ」をベースに、ピーチやレモンを組み合わせた爽やかなサワースタイル。
価格:2,200円(税込)

詳細は、公式サイトでご確認ください。

この日の装い

この日の装い
この日の装い

古代アンデス文明の土器の色彩と文様をイメージしたコーディネートです。
小糸染芸の先代・小糸敏氏の小紋に黒い鱗文の洒落袋帯。帯揚げも小糸染芸、帯締めは道明です。

マチュピチュ展を鑑賞しましたら思ったより金が多くて、もっと金を入れたコーデにすればよかった!とも思いました。みなさまのご参考までに。

この日の装い

2025.07.18

インタビュー

小糸染芸 5代目当主・小糸太郎さん

2025.07.04

エッセイ

クリスマスカラーといえば!?赤緑vs.白金銀 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.41

撮影/五十川満

今回ご紹介の展覧会情報

ポスター画像

CREVIA マチュピチュ展

森アーツセンターギャラリー( 六本木ヒルズ森タワー52階)
https://machupicchuneon.jp/

日時:2025年11月22日(土)〜2026年3月1日(日)、日〜木 10:00〜19:00(最終入館 18:00)/金・土・祝前日 10:00〜20:00(最終入館 19:00)※年末年始の2025年12月29日(月)~2026年1月4日(日)は10:00~19:00

休館日:なし

※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

おすすめの美術展

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

ポスター画像

【特別展】LOVE いとおしい…っ! ―鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛―

山種美術館
https://www.yamatane-museum.jp/

日時:2025年12月6日(土)~2026年2月15日(日) 、10:00~17:00 (入館は16:30まで)

休館日:月曜日 (1/12(月・祝)は開館、1/13(火)は休館]、12/29(月)~1/2(金)は年末年始休館)

※きもの特典:きものでご来館のお客様は一般200円引き
※複数の割引・特典の併用はできません。

ポスター

企画展 初期写真資料でひも解く 着こなしの変遷―幕末・明治の女性の和装

丸紅ギャラリー
https://www.marubeni.com/gallery/

日時:2025年12月2日(火)~2026年1月24日(土)、10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:日曜・祝日、年末年始休館(12月26日~1月4日)

※着物・浴衣など、和装でのご来館の方は無料

◆ 読者プレゼント ◆

ポスター画像

さて、恒例の招待券プレゼント!
今回は『CREVIA マチュピチュ展』森アーツセンターギャラリーの招待券を2組4名の方にプレゼント!

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

◆インスタグラム
https://www.instagram.com/kimonoto__

◆X
https://x.com/kimonoto___

※応募期間:2025年12月17日(水)まで

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