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“色の力”を知ることで、着物はもっと楽しくなる! 能口祥子さん 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.17

“色の力”を知ることで、着物はもっと楽しくなる! 能口祥子さん 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.17

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着物沼の住人が着物愛について熱く語るYouTube連動連載。今回のゲストは、一般社団法人きものカラーコーディネーター協会(KICCA)代表理事を務める色彩総合プロデューサー・能口祥子さん。色から考える着物コーディネートのヒントが盛りだくさんです!

2026.06.11

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40歳、大病を患い着物が身近に

一般社団法人きものカラーコーディネーター協会(KICCA)を設立した色彩プロデューサーの能口祥子さんは、“きものと色彩を結ぶ”第一人者です。

能口さんメインカット

能口さんが“色の力”を実感したのは、前職であるアパレルセレクトショップのバイヤー・マネージャー時代。

「キャメル、トマトのような赤、ベージュをディスプレイにすると『一式』で売れるということがあり、売上が上がったんです。

特徴を捉えて色を組み合わせると、品物がより良く見えたり、購買意欲を刺激する要因になると気づき、色そのものや配色の力は絶大なものだと感じました」

欧米文化に惹かれてアパレル業界へ進んだ能口さんでしたが、大腸がんの発症をきっかけに、幼い頃から着物が身近にあったことを思い出し、「もう一度着物を着たい」という気持ちを抱きます。

祖母の紬

和裁士だった祖母の箪笥にあった紬。丈が足らず、胴継ぎで丈出しをして愛用している

義妹の紬

能口さんの義理の妹は、染織家・志村ふくみさんの弟子である乾育子さん。その乾さんが手掛けた紬

闘病生活中に出合った着物は、それぞれ手入れをして、いまなお愛用しているものばかり。

マイサイズに直し、自分好みの色に染めて長く着られるのも、着物の魅力であることは言わずもがな。

母の着物

「元々は母がお茶会で着ていた着物を仕立て替えて染め直しました」(能口さん談)。くすんで見えるくらいの色だが、当時、色直しを頼んだ際には、「えっ? こんな鮮やかな色に替えるんですか?」と驚かれたという

2025.07.07

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着物のコーデにも、“色の力”を!

着物を着始めた能口さんが呉服屋へ行くようになった頃、「こんな緑の着物が欲しい」と相談すると、

「人間国宝の先生のだからこっちにしたら」
「これは〇〇の産地もので稀少だから買っておいた方がいい」

などと言われ、なかなか話が通じないことにやきもきします。アパレル時代も“色の力”で売ってきた彼女にとって、着物業界の配色への頓着のなさは驚きでした。

「色について説明してもらえたら、もっと着物が身近になるのでは?」そう感じたことが、KICCAを立ち上げる契機になったのです。

義妹の紬

後染めの紬。この鮮やかなグリーンが能口さんのお気に入り。「このグリーンは私のパーソナルカラーで、顔映りがいい色なので重宝していています」

KICCA設立に至った経緯や講座内容については動画にて詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

黒無地に映える、主役となる帯たち

“きものと色彩を結ぶ”ことを生業とするようになった能口さんが初めて購入した着物は、真っ黒の袷。格子の裏地も黒を基調とし、襦袢も一緒に誂えました。

初めての着物

「呉服屋のおばには『最近は喪服を着てるの?』なんて言われましたが(苦笑)、黒がベースであればいろんな帯や柄が合わせやすく、ここから無地着物にハマっていきました。やや光沢のある黒が、私にとってのベーシックカラー※です」

※ベーシックカラー……黒・白・グレー・ベージュ・紺といった流行に左右されにくく、様々な色と組み合わせやすい色のこと。

黒無地は、帯を主役に立てることができる便利な一枚。どんな個性派な帯でも、黒の着物がやさしく受け止めてくれます。

帯

着物にのせた今河織物(木屋太)の袋帯は、「とっても薄くて軽くて締めやすく、個性的なのですごくかっこよく着られる」と能口さん。

その手前(写真左)、洛風林の「太子間道」は、爽やかな印象になる九寸名古屋帯。

「正倉院柄で、金糸も入っているため、少しフォーマルっぽいお茶席でも着ていける柄だと思います。これは、紫やベージュ、グリーンのお着物にも合わせられて、とても使いやすい帯です」

菊花の帯

帯屋捨松の袋帯。能口さんがトレードマークにしているKICCAにちなんだ菊花柄。「単体で見ると少しギラギラしている帯も、黒の背景と合わせることでカラフルでも落ち着き感が生まれます」

菊花の帯

帯屋捨松の葡萄唐草柄の袋帯。「黒と合わせることで、帯の鮮やかさが際立って、織りの風合いも表に出てくるので、帯の良さがより引き立ちます」

2025.10.29

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コーデにトレンドカラーを取り入れる

帯は帯屋、長着は長着のメーカーがつくるとなると、帯と着物をどんなふうに合わせればいいか、生産者側からの提案はないのが当たり前。

「これとこれを合わせたらどんなふうになるのかな?というお話をしても、『色は関係ないんや』って言われることも。それぞれのアイテムの中に完成された色彩の美しさがあるんですよね。

そこを繋げてコーディネートしたり、色の合わせ方を伝えてくれる方がとても少ないという現状が、私がいまのお仕事をしようと思ったきっかけのひとつでもあります」

カラーチャート

完成された“それぞれ”を組み合わせて着るのが着物。各々の感性に委ねられています。そこに季節感やTPOも合わさって、個性や知識がその組み合わせで表現されていることが着物の素晴らしさだ、と能口さんは考えます。

「伝統的なことだけではなく、カラーマーケティングを取り入れてみてください」

こうアドバイスをくださった能口さん。

「2026年のトレンドカラーは白。いまは無彩色の時代に入ってきています。あまり色味の強いものではなく、白・黒・グレーといった色をベースに使っていくと今年らしい組み合わせになりますよ。

また、誰しもが黒や白が似合うわけではないため、ご自身のベーシックカラーは、パーソナルカラー診断を受けて知っていただくといいと思います」

能口さん

能口さんが愛する「白」へのこだわりは、ぜひ動画にて。お気に入りの白色着物や人生の節目に誂えた着物、帯締め&帯揚げ、草履もたくさん登場します!

ワンカラーとワントーンの違いとは

SNSなどでもよく目にする「3色以内に抑える」は、洋服のルールだと能口さんは言います。

「洋服のアイテムは3色以内に収めると良いんですが、たくさんの色が合わせさる着物ではそれはとても難しいこと。色数を少なくしていくと洋服っぽく、多くすると着物っぽくなります。これもまたカラーコーディネートの面白いところだと思います」

カラーについての説明風景

最近、和服洋服にかかわらず流行となっているワントーンコーデ。実は、ワンカラーコーデと混同している人が多いのでは、と能口さんは指摘します。

ワンカラーは1色のバリエーション。濃淡あるひとつの色味で合わせていくことです。対して、ワントーンは色の調子。例えば、淡い色合いのペールトーンばかりを集めたり、ビビットトーンで統一したり。

「ワントーンの中にはたくさんの色が入っています。薄いトーンを組み合わせると、とても上品で穏やかな感じになりますし、鮮やかなトーンを使えば元気でハツラツとした印象になります」

コーディネット風景

「きものカラーコーディネート」の実践については、ぜひ動画をご覧ください。

撮影日の装い、涼しげな2パターンで

帯揚げと帯締めにブルーを効かせ、爽やかなコーディネートに

帯揚げと帯締めにブルーを効かせ、爽やかなコーディネートに

こちらの装いは、『色彩ときものの基礎知識 きものカラーコーディネート』を上梓した際、記念に誂えたもの。

型友禅で波の続き柄を染めた着物に、鯉の柄が印象的な白地の帯という組み合わせには、「登竜門」をイメージして、日本の色や着物が世界に幅広く伝わっていくようにとの願いが込められています。

後ろ姿

「祖母が和裁士で、親戚が呉服屋さんだったこともあって、周りに着物を着ている人が多い環境で、私も当たり前のように着物を着て育ちました。

中でも、五月晴れの日のお祭りに着て行った空色の着物が思い出に残っています。だから、私にとって着物のブルーは特別な色。お誂えをするときに他の色はあまり考えられませんし、今日も自然とブルー系の着物を選びました」

散歩風景

ヘアセット時短のため、洋服でも着物でも自分を活かせるボブスタイルがお気に入り

愛犬と川べりを散歩する能口さんが纏っているのは、誉田屋源兵衛の大麻(麻世妙まよたえ)で、蛇の柄というユニークな一枚。合わせたのは、西陣・泰生織物による手織りの夏帯(羅 八寸)です。

「手織りだけあって、ふんわりしているけれどもしっかり締まる感じで。合わせてみて、とてもいいなと思いました」

帯留は能口さんのブランド「あふ」のオリジナルアイテム。神戸のガラス帯留ブランド「東風杏」が手掛けたもので、透明感のあるグリーンが新緑に映えます。宇治に工房を構える「昇苑くみひも」に依頼してつくってもらったという夏用の三分紐で。

帯回り

帯揚げは「あふ」の白。扇子も白木で。

2025.07.07

着物でおでかけ

帯匠 誉田屋源兵衛十代目当主・山口源兵衛さんが語る『倭文ー旅するカジの木』 「京都できもの、きもので京都」vol.14

きものコーディネート、7つの法則

能口さんが手掛けた入門テキスト『色彩ときものの基礎知識 きものカラーコーディネート』では、着物を着回すカラーコーディネート7つの法則が分かりやすく解説されています。

色彩の基礎知識を身につけることで、着物の可能性が広がる1冊です。

著書

【法則1】近い色でまとめる
【法則2】離れた色でメリハリ感
【法則3】近いトーンでまとめる
【法則4】離れたトーンでメリハリ感
【法則5】色の面積で役割を決める
【法則6】柄の中から1色取る
【法則7】季節の色を意識する

「7つの法則すべてを守るのではなく、ひとつかもしれないし、ふたつ重なっているかもしれない。どれが一番であっても構いませんし、答えはひとつではないのです」

バストアップ

「色を学ぶことは、センスを広げていくこと。使える色の範疇を広げながら、引き出しをたくさんつくることによって、バリエーションが生まれます。

7つの法則は、そのためのヒントです。色についてお勉強すると、皆さんの人生が豊かになることは間違いありません」

愛犬と

「季節感がなくなりつつあるなか、ベーシックカラーや無彩色が主体となる時代において、色・柄・素材によって季節を感じたり表現したりすることができることは着物の醍醐味です。

色のルールや日本の色の名前や成り立ちなどを知ることで、よりもっと楽しく着物を着ていただけると思っています。ぜひ、着物と色をもっと楽しみましょう」

文/椿屋
スチール撮影/スタジオヒサフジ

2025.07.08

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