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この夏、褒められまくったアバカの籠バッグ 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.2

この夏、褒められまくったアバカの籠バッグ 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.2

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元『きものSalon』編集長・古谷尚子さんが見つけた素敵なもの。今回は、この夏の思い出に寄り添った自然味あふれるバッグについて。優しい人たちの気持ちが繋がり合い生み出されたプロダクトには、南の島の気配がたっぷりと詰まっています。

「フェルナンブーコ」って、なあに? 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.1

元『きものSalon』編集長・古谷尚子さんがみつけた素敵なもの。初回は、自身もファンという桝蔵順彦氏の作品にみつけた美しいニュアンスカラーについて。…どこからともなく、バイオリンの音色が聴こえてきませんか?

「籠バッグでなくっちゃ!」 なときがあるのです

「そのバッグ、ステキね!何でできてるの?」

この夏、何人に言われたかわからないくらい好評だった私のアバカちゃん。フィリピンで「アバカ」と呼ばれている糸芭蕉で編まれたバッグのことです。

アバカ クラッチ

バショウ科(英名をジャパニーズ・バナナという)には、実芭蕉(バナナ)、花芭蕉、糸芭蕉があり、糸芭蕉の繊維で織られている憧れの自然布がかの芭蕉布です。つまり私のアバカちゃんは芭蕉布と同種類の繊維で作られているのです。

アバカの特徴は軽くて丈夫で水に強いこと。なんと言っても、今夏のような革のバッグを持つ気になれない強い日差しの中で見た目に涼し気なのが、気分です。絹紅梅や奥州木綿の浴衣はもちろん、麻のワンピースや粗いインド木綿のチュニックスタイルに大活躍してくれました。

おしゃれだからSDGsにつながります

フィリピン中部に多く群生する

アバカはもともとフィリピン中部に多く群生していて魚網の縄などに使われてきました。

15世紀頃、その特性に着目したヨーロッパ人が、他の亜熱帯諸国での栽培も試みた歴史がありますがいずれもうまく育たず、フィリピンの特産となっています。

私のアバカのバッグは、栽培から製品化まですべての工程がフィリピン中部のパナイ島マリナオ村の方々の手仕事によるもの。

手仕事による作品
かなり繊細なマリナオ村のアバカ

マリナオ村は4つの川が流れる水の豊かな土地で、同じアバカでも、フィリピンの他の地方のアバカの繊維と比べてかなり繊細で、上品な淡い生成り色をしているのが特徴です。

淡い生成り色が美しい
手仕事によるアバカ

そして、村に古くから伝わるアバカを使った女性の手仕事がマクラメ編みの技法でした。

フェアプラスが注目したアバカ

発展途上国のモノづくりを支援するNPO法人フェア・プラスは、マリナオ村のこの手工芸に注目。デザイナーの井澤葉子さんの協力のもと、長く愛される商品でなければ意味がないという志で、技術指導と商品開発を行い、ひと目で素敵と思わせるバッグや帯にしたてあげたのです。

アバカは貴重な産業

いま、コロナ禍でロックダウン中のマリナオ村。

そんな中でも各自が自宅で編んでいるマクラメ編みは貴重な産業。技術供与により帯を織ることができる職人は3名、バッグは5名、新たにいま7名がトレーニングに励んでいます。

見に行きませんか?

アバカのバッグや帯、見て見たいわーという気持ちになった方、今月京都にて開催されるアバカと日本の藤織りとの共同展示会で自然布の魅力にふれてみませんか?

私も9月20日(月祝)に伺おうと思っています!ぜひみなさまご一緒に。

ふたつの村の布 ~マリナオのアバカと上世屋の藤織り~【日本万国博覧会記念基金事業】

2021年9月18日(土)~9月26日(日)10時~17時 ※9月21日(火)休館
於:京都・長岡天満宮 錦水亭竹生園

アバカの共同展示会

アバカ・マクラメ編みと藤織りは、山間地域の暮らしの中で育まれた繊細な手仕事、フィリピンと日本の農村共同体の営みの象徴と言えます。両者の普遍的な美しさは、そのような中で伝承・昇華してきた技ではないでしょうか。
展示会では幅広い作品とともに、マリナオ村と上世屋の美しい暮らしと自然をご覧いただきます。
イベントでは、民藝研究者鞍田崇先生の講演、作家齊藤麻弓が語る藤織りへの思い、フィリピンとオンラインで結ぶ実演を行います。会場は竹林を望む広々とした空間で、自然の風を感じながら手仕事を間近でご覧いただけます。

◆お問い合わせ
特定非営利活動法人フェア・プラス担当:河西(かさい)
京都市下京区月鉾町52 イヌイ四条ビル3階Flag四条
TEL:075-744-0646 / FAX:075-744-0945
http://fairplus.doorblog.jp/archives/58367135.html

マリナオ村の写真提供/フェア・プラス
商品撮影/スタジオヒサフジ

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