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モンゴルに行って、ヤギに会って、カシミヤストールできました 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.12

モンゴルに行って、ヤギに会って、カシミヤストールできました 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.12

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旅路は続くよどこまでも。遠路はるばるモンゴルへと向かった古谷さん、1000年続くサステナライフから生まれたカシミア山羊のストールに、着物ファンもうれしい”大判タイプを”と提案。「地球の民」の一員として、そのぬくもりを和姿に感じてみませんか?

2022.11.03

よみもの

筆一本で魅せる線のぬくもり 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.11

コート代わりになるカシミヤストール

冬のきもの姿、コートを着たり脱いだり畳んだり、何かと面倒。そこで、コート代わりになる軽くて暖かくておっきいカシミヤストール、いかがでしょう。

コート代わりになるカシミアストール

撮影:スタジオヒサフジ

手持ちのブローチをつけてもよし、ぐるぐる巻きにするのもお洒落。

モカ色はカシミヤ山羊の毛そのものの無染色、見た目は地味に見えて纏ってみるとすごく素敵に映えるから不思議。モンゴルのカシミヤと日本の絹、天然素材同士はやっぱり相性抜群なんです!

さて、事の始まりは夏。

土壌の研究を志して某国立大学に通うモンゴルからの留学生、アリウンちゃんから母国のカシミヤ産業についての考えを聞いたのがきっかけで、旅先としては考えてもみなかったモンゴルに行ってしまいました。

ウランバートル市街

親族に遊牧民がおり、幼少時からカシミア産業が身近だったアリウンさん

あるプロジェクトに同行して4泊5日の弾丸トリップ。

カシミヤ山羊を育てる遊牧民の暮らしをちょっとだけ覗かせてもらいました。

ウランバートル市街

ウランバートル市街

モンゴルの魅力を体験しにゲルキャンプへ

モンゴルと言えば大地の民、遊牧民ですよね。『スーホの白い馬』物語を絵本で読んだことのある方も多いのでは。

モンゴルは日本の約4倍の国土に人口は約1/40=約320万人。ほぼ半数が首都ウランバートルに住み、遊牧民の割合は1割程度しかいないのだそう。

まずはモンゴルを知るためにゲル泊を体験しようと首都ウランバートルから西へ250キロのゲルキャンプ「スイートゴビ」へ。

市街地を抜けるとそこから先は果てしなく続く草原と青く広い空。

羊、山羊、牛、馬の群れにしばしば道路を占拠されながら、6時間かけて今宵の宿スイートゴビキャンプに到着。

スイートゴビキャンプ

スイートゴビキャンプ。オレンジや黄色の扉が可愛い

ゲスト用ゲルの内部1

想像していたより広く快適なゲスト用ゲルの内部。

ゲスト用ゲルの内部2
トイレ
一番大きなゲルがレストラン

黄色い幕で覆われたところがトイレ。一番大きなゲルがレストランで、チベット仏教の影響がうかがえる5色のリボンがかかっています。

同行してくれたモンゴルのカシミヤメーカーの若き社長、トゥブシンさんも「今夜はすごい星空が見られると思いますよ!」と、ちょっとワクワクしているみたい。

とにかく、見渡す限りの地平線。

見渡す限りの地平線01

何キロ先まで見えているかわからないほど遠くまで視界に入ってしまい、ずんずん歩いて、途中からは裸足になって砂の丘に登ると茜色の夕陽が歓迎してくれました。

見渡す限りの地平線02

広大な景色の中、モンゴル人とか日本人とか関係なく、みんな「地球の民」なんだという大きな気持ちになるのでした。

「人生の道に迷ったらモンゴルに来るといい。あまりの雄大さにたいていのことはどうでもよくなるから」

広大な景色

1000年前からサステナライフを実践してきた遊牧民

来た道を引き返して一旦ウランバートルに戻り、今度は東へ100キロほど、カシミヤの原毛生産者の遊牧民チャトゥラさんを訪ねました。

カシミヤ山羊たちの群れ

ダート道をひたすら走って訪ねあてたチャトゥラさんのゲルは夏の家で、冬の間は風が当たらないような山間部に移動するのだそう。

チャトゥラさん一家

カシミヤ山羊たちの群れとチャトゥラさん一家

「遊牧民は地域の中でどこにゲルを建ててもいいんだ。来年ここにいるかはわからないよ」

と、チャトゥラさん。山羊や羊、ヤク、牛など全部で1000頭ほどを所有している中堅規模の遊牧民。

寒暖の差が激しい山間部に生息するカシミヤ山羊は、外側の剛毛の内側に産毛のような柔毛を生やして厳しい寒さに耐えます。

この柔毛がカシミヤの原毛。

冬毛から夏毛に変わる3~5月の間、専用のクシ(バリカンのような電動ではなく、繊細な毛のための専用のクシ)を使って手作業で柔毛をすいていくので、1頭につきたっぷり40分くらいはかかるそう。

優しい暖かさに気持ちが和らぎます。

「我々はいつも自然とのバランスを保って1000年やってきた。山羊は牧草を根こそぎ食べてしまうので1000頭のうち20%くらいが理想で、収入の面で山羊を増やす場合もギリギリ40%くらいまで。ウールには国からの助成金があるけど、カシミヤにはないので、トゥブシンさんと直接よい値段で契約できて満足してるよ」

そうなんです。

カシミヤ製品を扱うトゥブシンさんはチャトゥラさんから相場の1.6倍でカシミヤの原毛を買い付け、製毛、紡績、製品化まで”モンゴル国内生産のカシミヤ”として展開、留学経験を生かして日本に会社を設立しています。

そんな志に賛同して、トレーサビリティつきの正直なカシミヤ製品「タドれるカシミヤ」を作ろう!というのが今回のプロジェクトなのです。

トレーザビリティカード

トレーサビリティカードがついています

実直に製品化された天然素材を、着物姿にも

「タドれるカシミア」のメインアイテムは、カシミヤ製品ではあまり見かけないカジュアルなフーディとパンツ。おうち時間が贅沢になるワンマイルウエアです(個人的にこのフーディはzoom会議ウエアとして大活躍しています)。

少し大きめのストール(180×60㎝)もつくると聞いて、きもの姿のコート代わりになるくらいさらに大判のストール(200×80㎝)も作ってもらうことにしました。

いかがです?カシミヤ100%でこんな大判はあまりないでしょ?

天然素材を実直に製品化することが、これからの“ブランド”になるのでは。

手に取ると優しい温かさに気持ちが和らいで、きものの世界とちょっと繋がってる気がしてくるのです。

着物にも合うストール

撮影:スタジオヒサフジ

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