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着物歴3ヶ月のクールビューティ!「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.5

着物歴3ヶ月のクールビューティ!「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.5

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着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!着物歴3ヶ月のHさんが、ラグジュアリーで都会的、洗練された女性へと華麗にジャンプアップ!気になる盛夏の装いとは?

コバヤシクミさんとYさま

着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!すでにセンス抜群のゲストYさんを、さらにステキに魅せるコバヤシさんの魔法とは?

着物スタイリスト コバヤシクミさんがご提案!

コバヤシさん

着物スタイリスト・コバヤシクミさんが読者の着物姿を丸ごとプロデュースする企画「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」。

これまで手がけた個人スタイリングは5000人以上。顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や、その方の内面性をふまえた論理的なアドバイス、さらには思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといったコバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

さて今回はどんなコーディネートを提案してくださるのでしょうか?

着物歴3ヶ月!ゲストHさんをお迎え

今回お越しくださったゲストは、涼やかな目元が印象的なHさん。なんと、着物を着始めてまだ3ヶ月なのだそう。信じられませんね!

Hさんビフォー正面
Hさんビフォー後ろ姿

この日のHさんは、澄んだ美しさのある花柄の白大島でお越しくださいました。ブルーとラベンダーの絣糸使いに現代的なムードが漂う一枚です。

「京都きもの市場でこの着物を見つけた時、『これだ!』と思いました。大島といえば焦茶や濃紺しか知らなかったので、白地のものがあるなんて驚きでした」

Hさんビフォーヨリ後ろ姿

そこに合わせたのは、催事で出会ったという東京染色・岩下江美佳さんの染め帯。やわらかな白藤色の地に和傘と蝙蝠(コウモリ)が染め出されています。

ピリリとアクセントが効いた個性的な柄の帯ですが、Hさんは同系色コーデでさらりと着こなします。帯揚げは薄紅藤と水色と白のぼかしで着物となじませて。帯締めは「道明」のものです。

東京染織の秘密

東京染小紋初の女性伝統工芸士・岩下江美佳さんが染める、女性のためのおしゃれ小紋ブランド『粋凛香』。現代的な色彩に上品で洗練されたセンスが特徴です。作品はすべてが一点もので「流通されない小紋」として密かに人気を誇ります。めったに人前に出ることのない岩下さんに、ものづくりに対する思いを伺いました。

有職組紐 道明

江戸時代より東京・上野で組紐を製作し続ける「道明」。道明が取り組むのは、日本で脈々と受け継がれてきた、組紐の長い歴史の上に立脚したものづくり。

それにしても、初心者とはとても思えないピシッとした着姿。さらに伺いますと、初めての着物でのお出かけは「旅行」というから驚きです。

「きっかけは、コロナ禍で家で過ごす時間が増えたこと。身近に着物好きな先輩がいたので以前から興味があったんです。旅行で着物を着るために、動画サイトを見ながら1ヶ月間集中的に練習しました。

夜、仕事が終わってから練習するのですが、着付けの最中は無心になれます。着付けにはその時の心の状態があらわれるようで、心に余裕がある時はうまくいきますし、そうでない時は慌てたり集中できなかったりして乱れがちに。不思議です」

なるほど、お仕事のリフレッシュとして着付けの練習を!ポジティブで努力家なHさんの人柄に早くも魅了されたスタッフ一同です。

着物×帯の3コーデをご提案!

座って微笑むコバヤシさん

そんなHさんのために、京都きもの市場WEBサイトのお品よりコバヤシさんが3つのコーディネートをご提案。

それぞれ3000点近い着物と帯のラインナップからは無限の組み合わせが生まれますが…

「Hさんの印象は、”ラグジュアリー”で”都会的”な洗練された女性。そのイメージでコーディネートを考えました」

3つのコーディネート

さぁ、じっくりとお話しをしながらのコーデ相談のスタートです!

並んだお2人
ひとつ目の提案コーデ

1つ目は、薄い水色地に唐花が描かれた絽の訪問着。菱取りと花七宝が控えめに織り出された、絽の袋帯が組み合わせられています。

「どこか洋風でドレッシー。実際に羽織って白い襦袢が入るとさらにふわっと、お肌の透明感が際立ちます」とコバヤシさん。

Hさんも「レモンイエローの帯をのせてみると、互いの色が引き立てあってさらに水色が美しく見えます」とコメント。

2つ目は、淡藤色の汕頭(スワトウ)刺繍の訪問着に、花七宝の袋帯。

2つ目の花七宝の帯1

「汕頭刺繍の着物はレーシーな雰囲気。”吹き寄せ”といえば秋冬の柄というイメージですが、これは梅や桜も描かれているので、長い期間着ることができます。
また花七宝の帯は、糸がふっくらと立体的な輪奈ビロード。さりげなく螺鈿細工も施してあり、一見シンプルですが技巧に富んだ優雅な帯ですよ」とコバヤシさん。

2つ目の花七宝の帯2

コバヤシさんの言葉に熱心に耳を傾けながら、Hさんも帯に触れて立体感を確かめます。

3つ目は、多色使いのぼかし染め小紋に、大きく唐花が表現された袋帯をあわせて。小紋はごく淡いレモンイエロー、水色、藤色それぞれが幻想的に浮かび上がり、帯はキラキラと輝く銀糸が清らかに用いられています。

3つ目のコーデ

「先ほどの2コーデはラグジュアリーな雰囲気でしたが、こちらは少しカジュアル。洋服で言えばおしゃれワンピースといったところです。帯は袋帯ですが、そこまで仰々しくないので小紋にも合わせられます」とコバヤシさん。

Hさんも「この帯、おしゃれですね!」と目を輝かせます。

さていよいよ恒例の、実際に着る着物を選ぶお時間ですが…

「これです!」とHさんが即答で指差したのは、1つ目の組み合わせ。3コーデのなかでも、コバヤシさんイチオシのものでした。

「夏の贅沢な着物、絽の訪問着を着てみたいです!
そして、どこか光るコーディネートというのはスポーツと同じく長年やって初めて身に付くロジックがあると思うんです。エイッと感覚でやってできる世界じゃない。標準的で無難な着姿の一歩先を目指したいと思ったら、プロであるコバヤシさんのおすすめしてくれた組み合わせが一番だと思ったんです」

なるほど。着物好きが集まるスタッフも思わず唸る深い洞察。これはアフターの着姿が楽しみです!

小物選びで自在になりたい印象に

コバヤシさんがセレクトした小物

今回も、まずは帯締めから選びます。

「まずは、着物と同系色の爽やかなブルー。次に、寒色系のコーディネートに赤みを加え、可愛らしく見せるラベンター。大人っぽくしたいなら、縁が金色のトーンが低めの水色のものもおすすめです」とコバヤシさん。

ラトーンが低めの水色の帯締めを当てる

続いて、ミントグリーンの帯締めを。当てた瞬間に、顔色がパッと明るくなったのが感じられました。

ミントリーンのの帯締めを当てる

「爽やかで、好感度の高いイメージになりますね」とコバヤシさん。Hさんもご自身も顔色の変化を感じられたようで、帯締めはこれに決定です!

次は帯揚げ選びです。

「帯揚げとは少し違う緑、ライムカラーの帯揚げなんていかがでしょう?」

コバヤシさんが帯揚げを当てながらHさんに問いかけると、「帯締めと帯揚げを同じ色で揃えるのはよくあるけど、違うトーンのグリーンなんですね!」とHさん。

「でも清涼感があって上品!」とニッコリ。

こうして流れるように決定したのがこちらのコーディネートです!

完成したコーディネート

プロの着付けとヘアメイクで洗練された印象に

着付けをする薬真寺さん

今回も着付けとヘアメイクを担当するのは、きものとのコラム「きもの、着てみませんか?」を連載中の薬真寺香さん。ご自身も雑誌『七緒』に登場されるなどご活躍中です。

「着物だからといってぴっちり固めすぎず、洋服同様、ファッションとしての今の感覚を大切にしたい。髪もふわっと毛束を引き出したり、あえてまとめない部分を残したり」と薬真寺さん。

「そうそう!そういう感覚が大事!」と頷くHさん。ファッションや美容トークで、現場は大盛り上がりです。

メイクをする薬真寺さん

その中でHさんの印象に残る言葉が。

「これまでのコラムを読んだんですけど、みなさんすごく若々しくてステキですよね!」

それはスタッフも常々思っていたこと。夢中になれるものがある幸せ。美しい染めや織り、見事な手仕事に触れ磨かれる感性。ちょっとしたお出かけも、着物を着れば特別な体験になります。そんな充実感からくる輝きが、若々しさにつながるのかもしれません。

「着物を着始めてから、毎日が楽しいんです。SNSでみなさんのコーディネートを参考にしたり、動画を見てメイクやヘアアレンジをいろいろと試したり。かんざしなどのアイテムも集め始めたんですよ!」

かんざしなど

そしてなんと、かわいらしい髪飾りやアクセサリーを実際に持参くださったHさん。

その中のひとつを髪に挿して、完成です!

Hさんアフターヨリ

上品なアイスブルーの着物とレモンイエローの帯の色が引き立て合い、ふんわりと発光するような透明感が印象的。クリアな発色のミントの帯締めやライムイエローの帯揚げも爽やかなアクセントとなり、Hさんのお肌の白さをより際立たせて。

そこにいらっしゃるだけで、まわりの温度を数℃は下げてくれるような美しい清涼感に息をのみます。

ラグジュアリーで都会的、まさに”洗練された大人の女性”という印象です。

お喜びのHさま

「夏の訪問着が着られてうれしい!着付けもプロにしていただくとぴったりと体に添って、自然と姿勢も良くなります。

メイクも本当に私好み。キラキラしていてテンションが上がりますし、自分に自信が持てます!」

そう話すHさんは、ますます輝きが増していらっしゃいます。

ビフォーアフター拝見

あらためて、今回のビフォーアフターを拝見してみましょう!

ビフォー

Kさんビフォー全身

アフター

Kさんアフター全身

涼やかなお顔立ちのHさんが持つ個性を最大限に引き出したアフターの装い。盛夏にふさわしい、清涼感あふれる着姿です。

華やかでラグジュアリー、それでいて仰々しくない和姿は、思わず道行く人が振り返るほど。

「今日はこれから、お友達とホテルでワインを楽しんできます♪」

都会的で洗練された女性の感性は、こんなふうに磨かれていくのかもしれませんね!

コバヤシさまとHさま

撮影/湯澤藍
文章/都留詩織

絵本を手にした、作家・綿矢りささん

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!

扉写真

都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!
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