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脱・無難!地味にならないシック系コーデとは? 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.11

脱・無難!地味にならないシック系コーデとは? 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.11

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着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!「無難になりすぎない」シック色コーデのコツをレクチャーします。

前回のスタイリングはこちら!

2023.08.13

まなぶ

顔タイプと違う色柄が好き 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.10

着物スタイリスト コバヤシクミさんがご提案!

着物スタイリスト・コバヤシクミさんが読者の着物姿を丸ごとプロデュースする企画「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」。

コバヤシさん

これまで手がけた個人スタイリングは5000人以上。

顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や、その方の内面性をふまえた論理的なアドバイス、さらには思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといったコバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

さて今回はどんなコーディネートを提案してくださるのでしょうか?

ナチュラル美人、Uさんをお迎え

今回お越しくださったのは、料理研究家のお仕事をなさっているというUさん。

特に、日本の伝統的な食事をベースとしたマクロビオティックがご専門。

口に入れるものと同様に、身にまとうものも自然素材のナチュラルな風合い、色合いのものに惹かれるそうです。

Uさんビフォー正面
Uさんビフォー後ろ姿

この日は、自然味の感じられる単衣紬でお越しくださいました。薄い青や落ち着いた緑、薄茶系のグラデーションが裾模様にあしらわれ、大人のお洒落心が感じられます。

帯合わせも全体のトーンを崩さずに。大人っぽい深みの紫にわずかな薄ピンク、黄緑から深緑までの太細のラインが絶妙な調和をみせる博多帯をチョイス。

Uさんビフォー素材感

帯揚げは、帯地のピンクとリンクさせた絽ちりめん地のものでそっと匂やかに。濃紫色の冠組帯締めが、全体をキリリと引き締めます!

内面からの健康的な美しさ、自然を取り入れた素敵なライフスタイルが着姿からも感じられる、すでに完成されたコーディネートです。

ここから一体どのような変貌を遂げるのでしょうか……!?

ご提案する3コーデを発表!

そんなUさんのために、コバヤシさんが用意したのはこちらの3つのコーディネート。

(左)着物:紗小紋「葡萄唐草」   帯:絽綴れ八寸名古屋帯
(中)着物:絽小紋「流水吹き寄せ」 帯:紗袋帯「芒に露芝」
(右)着物:友禅生紬「秋草繁れる」 帯:【渡文】八寸名古屋帯 「揺らぎ」

早速、お話しをしながらスタイリング開始です!

コーディネートを選ぶ

コーデ1、ナチュラルな素材感で寄り添う

1つ目のコーディネートは、秋草が描かれた生紬の着物に、真綿紗の手織りの夏帯。

着物:友禅生紬「秋草繁れる」 帯:【渡文】 八寸名古屋帯 「揺らぎ」

「Uさんのお顔は、どちらかというと卵型の大人顔。大人顔タイプの方は、可愛いイラスト風のものより、写実的な柄が似合います。また、ナチュラルな素材が飾らないお人柄と内面からにじみ出る健康的な魅力を引き出します」(コバヤシさん)

納得したように頷くUさんからは、

「大好きな素材感です!着物や洋服だけでなく、こういう色の器も持っていますよ」

とのお答え!さすがは料理研究家。ジャンルにとらわれない、自由で繊細な美意識をお持ちです。

1つ目のコーディネートを試す

1つ目のコーディネートを試すUさん

Uさんが1つ目のコーディネートを体に当てると、スタッフからは「すっごくお似合いです!」と歓声が!

「スモーキーカラーの帯は、夏でも重くなりすぎない絶妙な色味です」(コバヤシさん)

「置いて見たときより、着てみたほうが明るく見えますね」(Uさん)

コバヤシさんおすすめの帯締めはなんと青紫!帯の緑と対照的な色味ですが、驚くほど新鮮です。

大人可愛く、スレンダーに! 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.9 でもおすすめされていたように、紫と緑はこなれ感が出る組み合わせ

「セットで全部欲しくなってしまいます!」とUさんからも笑みがこぼれます。

コーデ2、パーソナルカラーを小物にとりいれて

2つ目のコーディネートは、吹き寄せの描かれた明るい藤色の絽小紋に、露芝柄の紗の袋帯。

2つ目のコーディネート

絽小紋「流水吹き寄せ・藤色」 帯:紗袋帯「芒に露芝」

「明るい藤色が華やかで女性らしい雰囲気の絽の小紋です。柄に楚々としたさりげない雰囲気がありますよね。

帯は華奢で洗練された雰囲気。袋帯ですが仰々しくはないので、素敵なレストランへのお食事などにもぴったりだと思います」(コバヤシさん)

2つ目のコーディネートを試す

2つ目のコーディネートを試すUさん

体に当ててみるUさん。

「帯で白場が入ると透明感が出て明るく感じます!お茶のお稽古や大寄せのお茶会にも良さそうですね」

「シックな色の帯締めは落ち着きがあって良いですが、パーソナルカラーがスプリングでいらっしゃるので、あえてハイトーンの黄緑を合わせて冒険するのもおすすめです」

とコバヤシさんが帯締めをあてていきます。

Uさんは驚いたご様子ながらも、

「自分では絶対に選ばない色合わせで新鮮。小物次第でとても明るくなりますね!」

と楽しげです。

コーデ3、控えめながらもエレガントに

3つ目のコーディネートは、葡萄モチーフの紋紗地小紋に絽綴れの名古屋帯。

「Uさんの問診票に『控えめながらも色気を感じるコーディネートが知りたい』とあり、まさにこの着物だ!と思いました。Uさんはお料理に関するお仕事をなさっているので、食べ物モチーフというのもぴったりだなと」(コバヤシさん)

着物:紗小紋「葡萄唐草」 帯:絽綴れ八寸名古屋帯

「着姿をエレガントに見せるコツとしては、色はシックだけれども柄が華やかなものを選ぶと良いと思います。

特にUさんのお顔立ちは、目鼻立ちがはっきりしておられ、ナチュラルななかにも華やかさが感じられるので、こういった大胆な柄も負けずに着こなせると思います。

帯も抽象柄でモダンな雰囲気。Uさんの持つ現代的な雰囲気にぴったりです」

とコバヤシさん。Uさんは、

「これまでの私のワードローブにはなかった柄。着てみると明るい印象ですね。これでワイン会に行きたいですね!」

とうれしそうです。

3つ目のコーディネートを試す

3つ目のコーディネートを試すUさん

小物を選ぶコバヤシさんからは、

「着てみると紋紗の地紋が立体的に浮かび上がりますね。

帯締めは、優しい印象にしたいなら着物と同じ紫かつ少しトーンの違う多色のものがおすすめ。かっこよくしたいなら、この青と赤の多色のものもいいかもしれません。帯締めでキリッと見せたり、なじませたりと、印象を変えられます」

Uさんは「最初の紫の多色の帯締めが良さそうです」と確信したように答えます。

Uさんが選んだコーディネートは?!

さて、3つのコーデを比較し終えたUさん。

「いつもの私とちょっと違うので、これ!」と指さしたのは、3つめのコーディネート!すでに変身後が楽しみなスタッフ一同から、拍手が沸き起こりました!

決定したコーディネート

さぁ一体、どんなふうに変身されるのでしょうか?

ロングヘアをボブ風に

今回も着付けとヘアメイクを担当するのは薬真寺香さん。

きものとのコラム「きもの、着てみませんか?」も好評連載中で、毎回、着物の知識を活かしたヘアメイクを提案してくださいます。

メイクをする薬真寺さん

「今回の着物はエレガント。そのイメージに合わせて、女性らしさ、柔らかさが出るよう意識しました。髪はくせ毛を活かし、ロングヘアをボブ風に。眉は目と平行になるよう下側を書き足し、太め、短めの可愛らしい印象にしました」(薬真寺さん)

Uさんは「普段ヘアセットする時は美容室にお任せか、自分でひっつめ髪にするくらいであまりアレンジをしないので、今回のボブ風のヘアはとても新鮮!ナチュラルだけど華やかで、さすがプロだなと思います」と表情を輝かせます。

着付けをする薬真寺さん

また、着付けが上達するコツを薬真寺さんに尋ねられたUさん。

「それはもう……とにかく着て出かけることじゃないでしょうか!上手くなってから出かけよう、ではいつまで経っても出かけられません。着物の本場、京都に着物を着て出かけるなんてどうでしょう」

と、一同をどっと笑わせてくれた薬真寺さん。着付けやヘアメイクの高い技術を持ちつつ、ご自身も被写体として雑誌などに登場される薬真寺さんならではのストイックな一面が垣間見えたお答えでした。

さて、メイクと着付けを終えたUさんがこちら!

ヘアメイクと着付けを終えたUさん正面

全体の色合いは落ち着いていますが、ぶどうの柄がモダンで華やか。

またトーンの違う赤紫の帯締め、青紫の帯揚げの色づかいがおしゃれです。抽象柄の帯の白地がコーディネートに軽やかさをプラスし、全体が明るく感じられます。

ヘアメイクと着付けを終えたUさん後ろ姿

初挑戦というボブ風ヘアもとてもお似合い!くせ毛を活かした、Uさんの個性が引きたつヘアスタイルです。

Uさんヘアサイド

ビフォーアフター拝見

あらためて、今回のビフォーアフターを拝見してみましょう。

ビフォー

Uさんビフォー全身

アフター

Uさんアフター全身

ビフォーではUさんのナチュラルでヘルシーな美しさが感じられましたが、アフターでは、Uさんの持つ華やかさ、女性らしさ、モダンさといった別の一面が引き出されたように感じられます。

全体としてはシックな色合いながらも決して地味ではなく、艶感や若々しさも感じられる華やかな装いです。

「今日はとても勉強になり、贅沢な時間を過ごせました。楽しかったです」と微笑んでくださったUさん。

これからもますますのご活躍をお祈りしています!

微笑むお二人

撮影/久野藍
文章/都留詩織

ITEM

記事に登場するアイテム

絽綴れ八寸名古屋帯

【渡文】 八寸名古屋帯 「揺らぎ」

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!

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「きもの、着てみませんか?」

都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!

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「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」

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