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多様な文化が集まる場所、西門町から龍山寺へ 「きもので歩く台北 2022」vol.4

多様な文化が集まる場所、西門町から龍山寺へ 「きもので歩く台北 2022」vol.4

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第4回、あなたならどんな装いで愉しみますか?

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。 人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第2回、あなたならどんな装いで愉しみますか?

きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?

どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?

日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。

人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第4回目!
あなたならどんな装いで愉しみますか?

LGBTの聖地

西門町

西門町(せいもんちょう/シーメンディン)は、台北市万華区にある商業地区。

この「町」という漢字、中華圏では「街」という意味では使わないので、日本統治時代の名残りだということがわかります。1890年代に日本の浅草のような繁華街や娯楽施設ができ、1930年代には映画館街として栄えたそう。

その後1950年から60年代にはダンスホールが立ち並び、暴力団などの拠点となり、街の様子が変わっていきました。そのせいか、観光客には人気ですが、台湾に長く住む人々の間には、治安のあまり良くない場所という認識が残っているようです。

1990年代以降には若者に向けたカルチャー発信地として発展し「台北の渋谷」とも呼ばれているそうですが、私には、昔の新宿といった印象でした。

その国らしさ、その土地らしい風景を期待して旅に出るものですが、駅を出るとすぐに目に入ってくるのがナイキのビルというのがグローバル化の象徴のようで少々残念ですが、中はとてもスタイリッシュ。

西門紅樓

その手前にレトロな雰囲気の時計台、その奥に期待どおりの、レンガ造りの「西門紅樓(シーメンホンロウ)」があります。

建築家近藤十郎によって建てられてから既に100年以上。もともと台湾で初めて政府が建設した公営市場です。今は手作りのアクセサリーや、クラフトアートショップなどが出店しています。

コロナ禍前には2階部分や屋外にも、小さなショップが所狭しと軒を連ねていましたが、今は1階部分がひっそり営業しているのみ…以前の賑わいが戻るとよいですね。

新たなスポットとして注目したいのは、MRT西門駅の6番出口を出たとろにペイントされた「彩虹地景」と呼ばれる横断歩道。

同志(LGBT)のシンボルである6色の虹をあらわしています。

彩虹地景

台湾では2019年5月に、アジアで初めて同性婚が認められるなど、ジェンダー運動の多様性と統一性を世界にアピールしています。

もともとゲイエリアとして知られていた西門地区は「知る人ぞ知る」出逢いを求める人が集まるカフェや、カップルが楽しめるクラブなどが存在しており、多様な文化が集まる街として特徴的な場所となっています。

グラフィティー通りで映え写真を

臺北市電影主題公園

西門の駅前から「臺北市電影主題公園」へ。

こちらは公園となっていて、野外映画が上映されたり、ダンスやスケートボードエリアなどがあり、若者で賑わっていた場所です。

グラフィティーアート

壁のいたるところに、グラフィティーアートが描かれていて、写真を撮るのが楽しめます。

それぞれのコーディネート

厳しい暑さと、今回は若者の街を探索ということで、ドレスコードは「浴衣」にしました。衿はつけず襦袢もなし。浴衣らしい着こなしにしよう、と。

いろいろなご意見もあるとは思います。
ですが、私はこの台北ふらり旅では、いろいろな着姿を提案したいとも考えて連載を始めました。

浴衣に襦袢を着れば「きもの風」として綿の単衣を着ているようには見えますが、浴衣に襦袢を着ること、特に綿に綿を重ねることは、気温が30度を超え、湿度の高くなる台北の夏にはおすすめできません。

せっかくの「きもの旅」も具合が悪くなっては元も子もありません。

ドレスコードは「ゆかた」

気温も湿度も高い台湾の7月には綿やポリエステル素材のきものより、天然素材である麻や絹のきもののほうが、熱をこもらせることなく、涼しいと感じます。

ただし、汗をかくことは必須となりますので、出かけた後のお手入れの問題も発生します。

ならば、汗をかいても自分でジャブジャプ洗える気軽な浴衣を涼しく着こなし、颯爽と闊歩するほうが、この季節とこの場所には似合うと思います。

羽織りものについても、暑い時にさらに暑苦しく見えるのは本末転倒。冷房対策として備える感覚以外の理由では必要ないでしょう。

この連載では、きもの仲間である台湾人陳さんや、台湾在住歴の長い日本人ゆりえさんとともに、リアルクローズとしてのきものコーディネートを、またシーンや訪れる場所によっての変化をお見せしたいと考えています。

いろいろな着姿

私は昨年仕立てた個性的な「片身がわり」の浴衣に、縞の半幅帯の裏面の黒を前側にし、粋な結び方で。

黒の薄羽織は冷房の効いた乗り物でのちりよけ用に、外では1枚でも重ねるものが少ない方が良いので脱ぎました。

足元はブーツにしました。

足元は、全体の色バランスから、黒の分量を増やしたかったのでブーツにしました。

私は、夏でも洋服にもブーツを合わせたりしますがやはり暑かったです。浴衣姿にもきまる、おしゃれなサンダルブーツが欲しいですね。

モダンな印象のゆかた
紺地にピンクの柄が入ったゆかた。

陳さんは鮮やかなターコイズブルーの地に黒の模様のモダンな印象の浴衣。ちりよけにしたショールは、前々回ご紹介した永楽市場で購入したレースで作ったものです。

ゆりえさんも紺地の浴衣、柄のピンクにアクセサリーの色を揃えるなどセンスが光ります。ショールはやはり永楽市場で調達したものを持参されていました!

3人とも偶然、濃い色目のゆかた。

3人とも偶然、濃い色目の浴衣でした。

淡い色の浴衣は見た目も涼しげなのですが、室内では気にならずとも、陽射しが強い屋外では、思っている以上に腕や脚が透けることがあります。

下に着る物を減らしたい、透けや汚れなどを気にせずに過ごしたい時は、濃い色目の浴衣はおすすめです。

観光客に大人気の龍山寺

西門町からほど近い、観光客に大人気の「龍山寺」には公園の脇からタクシーに乗って向かいました。台北に住んでいると、意外にもなかなか行く機会のないスポットです。

龍山寺
観光客に大人気

「いつも観光客で混んでいる」のと「いつでも行ける」だろうと、都内に住む人が東京タワーに登らないのと同じような理由でしょうか。

台湾人の陳さんは初めて、ゆりえさんと私は、今回が2回目の訪問でした。

お寺に入るときに決まりがあります。

お寺に入る時は、神様から見て左側の龍(吉)の口から入り、右側、虎(凶)の口から出るのが決まりだそうです。

中に入ると、なるほど人気の理由が伺える厳かな雰囲気。柱に施された鮮やかな彫刻や朱塗りの柱が印象に残ります。台北市内では最古の廟寺です。

100以上の大小さまざまな神様が祀られており、参拝の人々は7つの香炉を順番にまわります。

1980年代の中華民国における戒厳令解除を要求する政治運動「五一九緑色運動」で群集数百名が集まった場所でもあり、大きな提灯にかかれた「国泰民安」の文字の重さを感じずにはいられませんでした。

台北市内では最古の廟寺。

カフェtokyobike

特徴のあるカフェ巡りが楽しみ。

毎回楽しみなのが、特徴のあるカフェ巡り。

今回はなんと!東京発祥の『tokyobike』 の支店(?!)ブログによれば、世界で流通しているハイエンドからローエンドまで、スポーツ自転車のほとんどが台湾で生産されているそうです。

そのカフェにお邪魔しました。

tokyo bike

若者を中心に、自転車もカフェも人気で、平日で予約なしでしたが、運良く3席あいたタイミングで店内でコーヒーやパンをいただく事ができました。

隣の建物は日本統治時代の歴史的建造物で、馬蹄形の商業ビルでしたが、リニューアルされ、今はカフェや地域の歴史などが学べる文化施設となっています。

新旧入り混じる、下町の雰囲気漂う場所でした。

下町の雰囲気漂う場所

夕刻、私達が帰路につくころになると客引きと思われる人の姿が目に入りました。これも、この地区ならではの特徴だそう。

この辺りの路地には「茶室」と呼ばれるスナックやクラブなどがあり、台湾人のほか、中国人やベトナム人の女性従業員が性的サービスを提供したりする店もあるとのこと。

昼間明るい時間帯とは様子が一変する地区でもありますので、くれぐれも警戒心をお忘れなく。

台湾の入国後の隔離措置の期間も短縮され、日本と台湾を行き来する人も出てきたようです。

観光が開くのはまだ少し先になりそうですが、ぜひ私達とご一緒されている感覚でお読みいただけたら幸いです。

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