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センス抜群のゲストをさらにステキに!「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.4

センス抜群のゲストをさらにステキに!「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.4

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着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!すでにセンス抜群のゲストYさんを、さらにステキに魅せるコバヤシさんの魔法とは?

着物スタイリスト コバヤシクミさんの「色の魔法」

コバヤシさん

着物スタイリスト・コバヤシクミさんが読者の着物姿を丸ごとプロデュースする企画「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」。

これまで手がけた個人スタイリングは5000人以上。顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や、その方の内面性をふまえた論理的なアドバイス、さらには思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといったコバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

さて今回はどんなコーディネートの魔法を見せてくれるのでしょうか?

センス抜群、ゲストYさんをお迎え!

今回お越しくださったゲストは、インスタグラムでこの企画を知ったというYさん。楽しそう!と応募してくださいました。

もともとファッションが好きというYさんの装いは、ご登場するやいなや、スタッフから「すでにステキ!」との声があがるほど。

Kさんビフォー正面
Kさんビフォー後ろ姿

この日初めて着るという『絵絞庵』の明るいブルーグレーの辻が花の付け下げに、白や優しい金色で織り出された有職文様が市松のように配置された袋帯。帯締め、帯揚げも着物や帯になじむ優しいトーンの色味で、やわらかに調和しています。

『Valextra』の台形バッグがクラシカルに大人の女性らしい気品を添えて。”ご自身らしさ”を捉えた、とてもお似合いの装いです。

「着物を着始めたのは、母になにげなく『大島紬持ってる?』と尋ねたのがきっかけ。

『もう着ないから、箪笥ごとあなたに任せるわ』と譲られたそのなかには、幼い母の着付けを手伝った記憶のある着物や、私の結婚式で母が着ていた着物もありました。

それから見よう見まねで着付けを覚え、すっかり着物の楽しさにはまってしまいました」

Kさんビフォーヨリ

家族の思い出とともに、母から娘へと世代を超えて受け継がれる着物の素晴らしさが実感できるエピソードです。

幻の染めとも言われる、伝統的技法・辻が花。その美しさを丁寧に落とし込んだ「絵絞庵」の作品を、京都きもの市場でもお取り扱いさせていただくこととなりました。 後編では作品が完成するまでの細やかな手仕事のひとつひとつをご覧いただきます。

辻が花の着物を活かす帯をセレクト

座って微笑むコバヤシさん

そんなYさんの辻が花の着物を活かす帯を、京都きもの市場WEBサイトの3000点近い帯の中から、コバヤシさんが3本セレクト。

3本の帯
【染処古今】伊勢型手付け染め袋帯 西陣織袋帯「千菱」 工芸総手刺繍袋帯「典雅宮中御所車扇紋」

「事前に問診票を拝見したのですが、言葉が丁寧で感性が豊か、日常を大切にされている方だなと感じました。その印象があったので、繊細な魅力を持つ帯をセレクトしました」

1本目の扇子の帯を当てる

1本目は、扇子の中に御所車や風景など古典的なモチーフが繊細な刺繍で表現された袋帯。

「ストーリー性のある絵で日本画的。手仕事の刺繍が素晴らしいです。濃い色も使われていますが、スモーキーな色使いです」とコバヤシさん。

Yさんも、「扇子の骨の深いブルーグレーがアクセントになっておしゃれですね。繊細な刺繍がとても綺麗です」と見惚れます。

2本目は、織りの袋帯。有職文様の菱文が、さまざまなトーンの金色で織り出されています。

2本目の菱の帯の説明を受ける

「さりげないものの、格式があります。お手持ちの辻が花の着物が繊細な雰囲気なので、その味を活かせるのではと思い選びました。古典的な柄なのにどこか洋風でモダンな雰囲気です」とコバヤシさん。

Yさんも「くすんだラベンダーグレーに優しいゴールド。好きな雰囲気で、手に取りやすいです」とうなずきます。

2本目の菱の帯を当てる

そして、一同の注目を集めたのは、3本目の帯。伊勢型で染められた、銀糸がキラキラと輝く袋帯です。

3本目の伊勢型の帯を当てる1

「袋帯ではありますが、染めなのでカジュアルです。お手持ちの辻が花の着物は付け下げですが仰々しくはないので、少しカジュアルダウンにしたコーディネートになりますね。

洗練されていてクールな印象です。こちらも精緻な柄で、辻が花の着物の繊細さを活かせます」

とコバヤシさん。

3本目の伊勢型の帯を当てる2

Yさんは、

「珍しい帯ですね。なんだか宇宙を連想させます。変化球ですが、挑戦してみたい気持ちや想像力を掻き立てるような通好みの帯ですね」

と目を輝かせます。スタッフからも「作り手の意気込みが伝わるよう!」との感想が。

「どれも全然違う個性があって捨てがたいです。さすがプロの選んだもの…!特に1本目と3本目の帯で悩んでいます。どうしよう(笑)」と選べない様子のYさん。

「それなら、小物を合わせながら決めましょう!」とコバヤシさんがアドバイスします。

コバヤシさんがセレクトした小物

小物を合わせながら帯選び

まずは、1本目の扇子の刺繍帯に小物を合わせてみます。

1本目の帯に帯締めを合わせる

「雅やかな雰囲気の帯なので、帯締めも正統派のものに。こんな、ふんわり優しいお色味はいかがでしょう」とコバヤシさん。

「正統派の帯締めですが、スモーキーカラーだと現代的でおしゃれな雰囲気になりますね!」とうなずくYさん。

続いて3つ目の伊勢型の帯に、ブルーとクリーム色のぼかしの帯締めを合わせてみるコバヤシさん。

伊勢型の帯に帯締めを当てる

「帯がシンプルな分、帯締めは多色のものを選びました。帯留めをつけても映えますよ」とコバヤシさん。

Yさんは「自分では帯締めは”締め色”を選ぶけど、多色でもポイントになりますね。コーディネートに無限のひろがりがうまれて、楽しいです!」と驚いた様子。

そして、「3つ目の伊勢型の帯に決めました!手法は古典的なのに、柄の印象がクール。帯の持つパワーや奥行きが感じられます。着物のやわらかな感じとも不思議と調和がとれています」とにっこり。

次は帯揚げ選びです。

帯揚げを当てる

「着物と同じくブルー系のものだとすっきり。紫のぼかしのものはアクセントに。帯と同系色ものだと帯と着物をふんわりとつないでくれます」

と、次々に帯揚げを当てるコバヤシさん。

そして最後にごく薄いやわらかな裏葉柳色の帯揚げが当てられた時…

一同がハッと息をのむのがわかりました。帯や着物と調和の取れたトーンながら、控えめすぎず、かといって主張しすぎず、絶妙な色味でコーディネートを仕上げてくれる存在。なんと、誰からともなく拍手が沸きおこりました!「コバヤシ流・色の魔法」です!

完成したコーディネート

プロの着付けとヘアメイクで仕上げを!

今回も着付けとヘアメイクを担当するのは、きものとのコラム「きもの、着てみませんか?」を連載中の薬真寺香さん。

着付けをする薬真寺さん
メイクをする薬真寺さん

「着物の時は洋服よりも多少濃い方が映えるので、眉とアイラインをはっきりさせました。まとめた髪を少しだけ引き出して耳を隠し、エレガントな印象に仕上げたのがポイントです」

ヘアメイクは大人っぽく

さて、着付けとヘアメイクを終えたYさん。一周くるりとまわってみせてくれました!

Kさんアフター全身

「ステキ!」とまたもや拍手が沸き起こります。

「着せていただく機会はあまりないから、プロの着付けの技はこんなにも違うのかと実感しました。気分も背筋もなんだかしゃっきり!コーディネートも、色が絶妙!自分でもバッチリという感じです!」とうれしそうなYさん。

Kさんアフターバストアップ
思わずステキ!と声が上がる

ビフォーアフター拝見

今回のビフォーアフターを拝見してみましょう!

ビフォー

Kさんビフォー全身

アフター

Kさんアフター全身

辻が花のやさしい色合いの着物がとってもお似合いのYさん。アフターではそこに帯や小物でさまざまな色が効果的に使われ、より華やかな印象です。

優しい辻が花に伊勢型の帯を合わせたことでコーディネートに意外性が生まれながらも、不思議と調和。無難では終わらない―、そんなおもしろさがある通な装いです。

笑顔のお二人

「プロにヘアメイクをしてもらったり、写真を撮ってもらう機会はなかなかないので貴重な体験ができました。この着物でパリのオペラ座に行きたいという夢が、いっそう大きくなりました!」

その夢、応援しています!

撮影/湯澤藍
文章/都留詩織

絵本を手にした、作家・綿矢りささん

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!

「きもの、着てみませんか?」

都留詩織さん

都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!

「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」

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