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思い出の色無地をアップデート! 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.3

思い出の色無地をアップデート! 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.3

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着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!「20代の思い出の色無地をアップデートしたコーディネートが知りたい」というゲストKさんが、大人上品な春色コーデに挑戦します。アフター写真はすらりとモデルのよう。ぜひご注目を♪

お二人の2ショット

パーソナルスタイリングvol.1、2はこちらから。
「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」

大好評!コバヤシクミさんのパーソナルスタイリング

コバヤシさん

着物スタイリスト・コバヤシクミさんが読者の着物姿を丸ごとプロデュースする「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」。

大好評だった前回に引き続き、今回もコバヤシさんのセンスあふれるコーディネートが次々に飛び出します。

これまでに5000人以上を手掛けたという個人スタイリング。

顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や、その方の内面性をふまえた論理的なアドバイス、さらには思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといったコバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

コバヤシさん後ろ姿

そんなコバヤシさんの今回の着物は、「大好きな色」という青藤色と藤色のぼかしが美しい単衣の紬。

帯は西陣織の名古屋帯で、更紗模様が現代的にアレンジされたものを銀座結びにして粋に。コバヤシさんが「メロン色」とユニークに例える帯締めも、爽やかに調和しています。

袖からチラリとのぞく水色の長襦袢は、早くも麻のもの。

「白い麻だと真夏の素材というイメージですが、色があると初夏からでも使いやすいんです。単の季節でも現代は暑いですから、襦袢で調節するといいですね」と実用的なコメントが。

コバヤシさんの着こなしは、思わずメモを取りたくなるものばかりです。

ゲストKさん、思い出の色無地でご登場

さて、今回お越しくださったゲストは、きものと読者のKさん。
以前からコバヤシさんのファンで、前回の記事を読んでこの企画に熱いメッセージとともに応募してくださいました。

Kさんビフォー正面

鮮やかな橙色の色無地に、金糸で梅と松が織り出された豪華な袋帯を締めて登場されたKさん。

アクセントカラーは、セルリアンブルー。絞りの帯揚げと伊達襟がリンクしています。帯締めは締め色としてえんじを合わせました。

「この色無地は、20代で婚約した際に、夫の実家から贈られたものなんです。私が着物好きと話すと、後日反物が届いてびっくり。鮮やかな橙色に心奪われて、うきうきしながら仕立てました」

聞いていてうっとりするような、美しい思い出がつまった着物です。

50代になった今、この橙色を活かしながら、今のご自身をより素敵に見せてくれるコーディネートを模索したいそう。

Kさんビフォー後ろ姿

大人の品格ただよう袋帯をセレクト

座って微笑むコバヤシさん

そんなKさんのために、京都きもの市場のWEBサイトの3000点近い帯の中から、コバヤシさんがセレクトされたのがこちらの3点。

3つの袋帯
有職文様 袋帯 川島織物・西陣織本袋帯「瑞花鳥鏡裏文様」 川島織物・西陣織本袋帯「花苑文様」

1つ目は、金糸で花や葉が降り出された、モダンで華やかな袋帯。

花柄の帯を当てる

「色無地は柄がないぶん、帯の模様が映えます。この帯はオレンジに近い金やシャンパンゴールドなど、色々な金色が使われているのがおしゃれですよね。Kさんのお顔立ちはエキゾチックな雰囲気もあるので、紫がお似合いになるのでは」とコバヤシさん。

Kさんも「金の分量が多く豪華。アールヌーボー調の花も好みです。この色無地と色が合いますね」と頷きます。

2つ目は、鏡裏紋が織り出された袋帯。その名の通り、鏡の裏に松や鶴など、おめでたい柄が表現されています。

「格式があり厳かな雰囲気の帯です。着物よりもシックな色合いで、コーディネートにメリハリが生まれます。落ち着いた地色なので60代以降も使える、まさに一生ものの帯といえます」とコバヤシさん。

Kさんも「3つの帯の中で最初に目に留まりました。金糸がふんだんに使われていて、地色はグレーだけど華やかな印象ですね」と顔を輝かせます。

3つ目は、明るい地色に向かい鶴菱文様の袋帯。有職文様の菱と吉祥文様の鶴が組み合わさって、格式が高く重厚感のある帯です。

鶴菱の帯を当てる

「着物の明度が高いので、帯の白色がすっとなじみます。お顔が明るく見えますね」と鏡を覗き込みながら微笑むコバヤシさん。

「素敵です。お茶会にもよさそうですね」と納得された様子のKさん。

それぞれ違った個性を持った3つの帯。

「せっかくなので、コバヤシさんに決めてもらいます!」とKさん。

「そうですね、色無地の橙色の鮮やかさが引き立ち、お顔がパッと明るく見える、鶴菱の帯がいいと思います」との、コバヤシさんの“鶴の一声”で決定です!

話すお2人

洗練された着姿を印象づける小物選び

そして、重要なのが小物選び。

用意された小物

「やはり帯締めがコーディネートの要です。やさしい色味のものから順に合わせていきますね。

着物が暖色なので、帯締めは寒色で爽やかに引き締めるもの。
すっきり、さっぱりと同系色もの。
きりっと、濃いめの青緑のもの。
おなじく青緑だけど、緑が濃いめのもの…」

帯締めを試す

どれも素敵、と迷うKさんに、コバヤシさんがアドバイス。

「青みの似合うお顔立ち。鼻筋がすっと通り、凛とした雰囲気になる3つ目の帯締めがいいのではないでしょうか」

さて次は帯揚げです。

帯揚げを試す

「コーディネートにすっと溶け込むような、白に限りなく近い紫。同じくふんわりとしたやわらかい緑。上品かつクールなブルーグレー…」と順に帯揚げをあてていくコバヤシさん。

Kさんの「好きなのは最後のブルーグレーですが、今日は出会いを楽しみに来たので、春らしい爽やかな緑にしてみます!」との言葉で決定しました。

そして今回盛り上がったのが伊達衿選び!

伊達襟を試す

「きものの橙色が引き立つクリーミーな緑。きものとなじむ辛子色…」と一枚ずつ伊達衿を合わせていくコバヤシさん。

おすすめはなんと、明るいグレー!

「グレーと言ってもベージュがかっていて、肌なじみがいいんです。着物より一段抑えめの明度ですが、帯の柄全体にグレーが含まれているので統一感もあるんですよ」とコバヤシさん。
Kさんは「伊達衿はアクセントカラーだと思っていたので驚きです。たった3ミリほどのことなのに、とても変化しますね」とのコメント。

スタッフもその変化に驚きつつ、「グレーがエレガントでおしゃれ!」と絶賛。完成したコーディネートがこちらです。

完成したコーディネート

ヘアメイク、着付けもプロの手で

着付けをする薬真寺さん

着付け、ヘアメイクを担当するのは、きものとコラム「きもの、着てみませんか?」を連載中の薬真寺香さん。

「明るい着物の色に負けないよう、洋服よりも気持ち濃いめにメイクします。リップは春らしく華やかな色味。ボブヘアをふんわり巻き、片方だけ耳にかけて大人の可愛らしさを出しました」

メイクをする薬真寺さん

剣道をされていたというKさん。もともとの姿勢の良さにプロの着付けの技が加わり、さらにすらりと背が高く見えます。みるみるうちに着付けが終わると、そこには春の暖かな日差しのような明るい表情のKさんが。

Kさんアフター正面
Kさんアフター後ろ姿

橙色の色無地と白地の帯がよくなじみ、顔色をパッと明るく、華やかに引き立てています。

グレーの伊達衿は顔色と着物の間を自然に繋いで上品な印象。そこにすっと通る青緑の帯締めがキリリと着姿を引き締めています。

ビフォーアフター拝見

それではあらためて、今回のビフォーアフターを拝見してみましょう!

ビフォー

Kさんビフォー全身

アフター

Kさんアフター全身

アフターでは、思い出の着物とともに磨かれてきたKさんの内面を映し出すかのような、さらに洗練された着姿となりました!

Kさんも「みなさんに勧められたコーディネートは着付けてみるとしっくりきてびっくりです。今日は憧れのコバヤシさんに会えて嬉しかった」とにっこり。

「このままホテルのランチにでもいきたい気分♪」と足取り軽く、春風の吹き抜けるような明るい笑顔でお帰りになったKさんでした。

笑顔のお二人

撮影/湯澤藍
文章/都留詩織

作家・綿矢りささんの柔らかで凛とした着物姿

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!

「きもの、着てみませんか?」

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都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!

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