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京友禅サリーで民族衣装の融合を 「MariMaedaの着物クリエーション」vol.3

京友禅サリーで民族衣装の融合を 「MariMaedaの着物クリエーション」vol.3

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優美で美しい「着物」に、なんとか世界の人々のご理解とご関心を持っていただきたいという一途な思いから、2016年、手描き京友禅の図案で生地を制作し、インドの民族衣装サリー(Sally)を制作しました。

PARIS point alexandreⅢにて

みなさまこんにちは。
三寒四温のこの時期、いかがお過ごしでしょうか?

昨年から世界を震撼させたコロナウィルスの影響で、すっかり人々の生活スタイルが変わりましたね。以前のような生活を取り戻すには、まだまだ時間がかかります。
どうぞ、ご健康でお健やかな日々をお過ごし下さいますよう心よりお祈り申し上げます。

日本と海外、民族衣装の融合

世界の中には様々な民族衣装があり、その中でも最も美しいと評価されている着物ですが、もっと多くの国の人々にこの素晴らしい伝統文化、着物の魅力を伝えられないものかと常々思案しております。

さて、日本人であっても着物を着付けるのはなかなか容易ではありませんが、ましてや外国の方にとりましては、着物は簡単には着ることのできない衣装です。

しかし、この優美で美しい「着物」をなんとか世界の人々にご理解とご関心を持っていただきたいという一途な思いから、2016年、手描き京友禅の図案で生地を制作し、インドの民族衣装サリー(Sally)を制作しました。
「日本の伝統文化」と「海外の伝統衣装」との融合です。

京都友禅Sally(サリ-)Collection

インドのサリーは、日本の着物文化と精通する華やかで大変美しい伝統衣装です。
人種の坩堝(るつぼ)のようなフランスに生活をしておりますと、ごく日常でインドや中近東、アジア系の方々と接する機会が多くあります。中近東の方々は、宗教的な理由から常に頭から顔を覆いストールを巻き付けております。
こういった「一枚の布地を巻き付けて衣服として身に着ける文化」は、着物文化にも近く大変に共感を得るものです。

「京友禅でインドのサリーを制作するプロジェクト」は、日本文化・産業を広く海外に伝え、産業振興の架け橋となることを目的に進められました。

京都・二条城にて、京友禅サリーのお披露目

京都二条城にて開催されましたSallyのお披露目

京都二条城にて開催されました、京友禅サリーお披露目の様子です。

この日は、5月とはいえ炎天下…
私の装いは辻が花絞りの白い単衣着物にブルーの長襦袢で、ほのかにブルーの透け感をアレンジいたしました。

単衣の辻が花の絞りの白い着物にブルーの長襦袢
各界の方々をご招待させていただきました。

各界の方々をご招待させていただき、またこのお披露目により、インド・バハラ(現バドドラ市)との友好も結ばれました。

お着物姿の方も多く、興味深く関心をもって下さいました。

また、新聞にも掲載いただきました。

新聞にも掲載されました

サリープロジェクト、作品紹介

これらのサリープロジェクトの制作は、京都工芸染匠協同組合の4名の優れた染色家の方々によって実現されました(私はプロデュースを務めさせていただきました)。

西山岳志 先生(に志山染匠) 作 

◆制作意図
京友禅の糸目防染を使わず、濡れ描き無線友禅の技術を用いて製作いたしました。
「無線友禅」とは、糸目糊で防染をする「本友禅」に対して、糸目糊を使わずに直接生地に模様を描いて染める友禅染のことを言います。

Sallyサリーとして纏った姿
サリー(Sally)として纏った姿
迫力のある大胆な図案
迫力のある大胆な図案
流れるようなドレープ感が美しい
流れるようなドレープ感が美しい
ボディーにて、Sally着付けを研究
ボディーにてサリーの着付けを研究・シルクの光沢感が美しい
着物素材で制作した作品
着物素材で制作した作品
1着に3反物が使用されています
1着に3反物が使用されています

生地は着物の反物幅ですので、洋服の反物とは違い生地幅が狭く、3反を縫い合わせて1着分のサリーが制作されています。

金箔のドットと図案がマッチングしている
伝統的な技法でありながらも新鮮なポップさ

金箔のドットと図案のマッチングが、伝統的な技法でありながらも新鮮なポップさを感じさせます。

高橋秀治 先生(高橋啓) 作

◆制作意図
蝶は「胡蝶の舞」等にも登場するように古くから霊的存在として崇められており、また花鳥風月を愛する日本人として華やかさを感じて題材に選びました。

手描き友禅の作業中
手描き友禅の作業の様子
Sallyサリーとして纏った姿
サリーとして纏った姿
伝統的な蝶の図案が新鮮
伝統的な蝶の図案が新鮮
まさに蝶が飛んでいるような構図
まさに蝶が飛んでいるような構図

二ノ湯徹 先生(コマサン) 作

◆制作意図
挿し友禅・色ゴム糸目・ボカシ加工・絞り・ローケツ・版画染等、ほとんどの技術を組み合わせた複合加工による独自の手描着尺を中心に創作。我々の仕事の原点は「ものづくり」であり、当社の座右の銘である「温故知新」をモットーとして着物を創り続けています。
今回のサリーは、ベースは松をイメージして染め、水玉の金彩により豪華な趣をあらわしました。

挿し友禅、色ゴム糸目、ボカシ加工、絞り、ローケツ、版画染
挿し友禅・色ゴム糸目・ボカシ加工・絞り・ローケツ・版画染
緻密な制作過程
緻密な制作過程
Sallyサリーとして纏った姿
サリーとして纏った姿
大胆でモダンなドラマティックな作品
大胆でモダンなドラマティックな作品

竹鼻進 先生(タケハナ染匠) 作

◆制作意図
琳派に代表される波紋様は様々な色形によって表情が変わります。
本作品は、琳派の原点ともいえるオーソドックスな波を施し豪華な金彩のハーモニーといたしました。

◆タケハナ染匠
文久年間の創業から160年続く4代目染匠。
多色使いが多くみられる京友禅において淡彩でありながら格式ある作品創りに研究を重ねる。
「慶長」「寛文」「小袖」に代表される染織文様は日々接するテーマである。
挿し友禅、金彩、刺繍等古くから伝わるオーソドックスな加工技法にこだわりを持った作品創作に意欲を燃やす。

手描き友禅作業中
手描き友禅作業の様子
金箔を入れ豪華に
金箔を入れ豪華に
Sallyサリーとして纏った姿
サリーとして纏った姿
全体の構図
全体の構図
巻くといったストール的な発想も着こなせる

サリーとしての着こなし方に限らず、写真のように「巻く」といったストール的発想の着こなしも可能です。

こちらは、先進的な時計を作り続けている『RICHARD MILLE(リシャール・ミル)』のソワレにて。

華やかなロングドレスの方ばかりの中、注目を集めました。

注目を集めた、夜会パーティーの様子
手描き友禅作業中
手描き友禅作業の様子
Sallyサリーとして纏った姿
サリーとして纏った姿
全体の構図
全体の構図
優美に流れる波模様
優美に流れる波模様

着物がマッチするPARISの街並み

PARIS point alexandreⅢにて
PARIS point alexandreⅢにて

コロナ禍ということもあり、ここフランスでも制約を強いられる生活が続いております。
国と国の往来が規制され文化や産業の活動が難しいなか、観光の街であるPARISにも、観光客はまったくと言ってよいほどみあたりません。

以前のような華やかさはありませんが、PARISの美しい風景がせめてもの心の癒しになっています。ワクチンの普及により少しでも以前のような生活が取り戻せることを願いつつ、ポジティブに明るく清潔感のある装いで気分をアップさせております。

春に向かうこの季節、みなさまと協力しつつ、より良い時代が開けますよう心から願っております。

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