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アジアの魅力を世界に向けて 「MariMaedaの着物クリエーション」vol.2

アジアの魅力を世界に向けて 「MariMaedaの着物クリエーション」vol.2

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2016年に開催された『アジアモデルフェスティバル』。25カ国のアジアのモデルが集結した舞台は、圧倒的な迫力です。衣装は伝統的な日本の着物素材を用いつつ、大胆かつ堂々と、優雅に表現することに力を入れました。

フランス在住のファションクリエーター、MariMaeda

みなさま、こんにちは。
フランス在住のファションクリエーター、MariMaedaです。

2020年も残すところわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今年は、世界中に猛威をふるうコロナウィルスの影響で、例年とは異なる年末年始を予定されていらっしゃることと思います。
私もこの一年は、日仏間の渡航も1度きりと、自由に行き来することの難しさにストレスを感じておりました。しかし従来の活動ができない今だからこそ、自分の今までの生き方やビジネス、生活のありかたを見直すことができました。

依然としてコロナ禍のパリですが、例年ほど華やかではないもののクリスマスの飾りつけやイルミネーションが施されています。
例年ですと、この季節は着物を着てクリスマスパーティーに参加させていただいておりました。まだまだ注意が必要な生活環境ではございますが、どうぞ、健康でお健やかな日々をお過ごしいただきますようお祈り申し上げます。

パリのクリスマス

『アジアモデルフェスティバル』日本代表選考コンテスト

2016年に開催された『アジアモデルフェスティバル』。
このフェスティバルは毎年韓国で開催されていますが、まずはアジア25カ国の「国別地域予選大会」にて国ごとの代表モデルを選びます。

日本では六本木ヒルズアリーナで日本代表を選考するコンテストが行われ、栄えて代表に選ばれた男女のモデルが、韓国で開催されたアジアモデルフェスティバルに出場いたしました。

日本での予選審査会

私は日本での代表選考コンテストにて審査員を務め、また同時に、韓国で発表する『MariMaedaコレクション』の一部を、ショー形式にてお披露目させていただきました。

(六本木ヒルズアリーナ会場)

華やかな朱赤の京友禅の振袖(仮絵羽)から制作したドレスを作品紹介。

私が当日着用したコートジャケットも、10代の頃に誂えてもらった訪問着から制作いたしました。

メンズコートは、黒留袖(仮絵羽)から制作したもの。
また右のコートも、実にダイナミックに、勢いのある松の柄が描かれた豪華な振袖(仮絵羽)から制作いたしました。

※仮絵羽=仕立て上がっていない状態の着物地。
仕立て上がり着物のリメイクではなく、京友禅の染め元による仮絵羽のものを贅沢に用いております。

美の追求・アジアの魅力を世界に向けて

水原華城チャンリョンムン

日本代表のモデルたちは、韓国で一週間のハードなレッスンを受けた後、韓国・水原華域での華やかな大舞台に臨みます。

ファッションショーは、実に3日間にわたり華々しく開催されます。
屋外にある水原華城の蒼龍門(チャンリョンムン)にて『アジア伝統服のファッションショー』が、また『MariMaedaコレクション』(次章)は、室内となる水原室内体育館にて行われます。

『アジア伝統服のファッションショー』では、アジア25カ国からデザイナーが招待され作品を発表。
私は日本招待デザイナーとして作品を発表させていただきました。

水原華城Suwon Hwaseong

この大会は、アジアから世界市場への進出や活動のための登竜門として開催されています。
すべてのエンターテイメント、ファッション・ビューティー・医療・メイキャップなどの関連産業、また韓流スターを含むアジアのスター・モデル・デザイナーなどの相互交流を通じたbusiness market placeとしての役割も果たしています。

「KBS WORLD」とオンライン生放送を介して、世界中に配信されました。

振袖絵羽からの羽織物とミニスカートとの組合せ

こちらは、振袖(仮絵羽)から創作した羽織ものにミニスカートを組み合わせたもの。

バックスタイルも華麗に表現いたしました。

バックスタイルも華麗に表現
鮮やかなグリーンを基調に松の柄を用いた振袖絵羽から制作

あざやかなグリーンを基調として、松の柄を用いた振袖(仮絵羽)から制作。

留袖絵羽から制作したメンズコート

黒留袖(仮絵羽)から制作したメンズコート。番傘が様になります。

白袴の裾は、私が、墨でテキスタイルを描きました。

家紋入りの羽織と白袴。

白袴の裾模様は、私がテキスタイルに墨で描きました。

「夢こうろ染」の絵羽から制作。大胆なポージングに会場がざわめきました。

日本男子の、実に凜とそして颯爽とした姿!

それぞれの個性を生かしつつ、大胆な演出を披露させていただきました。

それぞれの個性を生かした大胆な演出
壮大な舞台設置の中で堂々としています。

壮大な舞台の中で、実に堂々と。

アジアのモデルたちの中でも、ひときわ輝いています。

アジアのモデルの中で一際、輝いています

25カ国のアジアのモデルが集結した舞台は、圧倒的な迫力です。

こちらは屋外でのショーでしたので、衣装は、伝統的な日本の着物素材を用いつつも、大胆かつ堂々と、優雅に表現することに力を入れました。
なかなかこのような機会を得ることはありませんので、非常にやりがいを感じました。

25カ国のアジアのモデルが集結、圧倒的な迫力です。

『MariMaeda』collection

翌日は、私のブランド『MariMaeda』のコレクションを発表させていただきました。
日本代表としてのショーですので、もちろんのこと、日本の伝統衣装である着物素材をふんだんに使用しました。

会場は、韓国の水原室内体育館です。

水原室内体育館
MariMaedaのコレクションを発表させて頂きました

こちらは、大きな牡丹の花模様が描かれた京友禅の訪問着(仮絵羽)から制作。

深い紫をシックでモダンな表現に

着物ならではの深い紫を、シックでモダンな表現に。

羽織からアレンジし、独創的な世界へ。

羽織からアレンジし独創的な世界へ
ウン感覚で新感覚な着こなし

ガウン感覚で新感覚な着こなしに。

留袖の家紋が入るパーツで制作したボレロ

黒留袖の、家紋が入るパーツで制作したボレロ。

白生地の反物から制作した燕尾服と袴の組合せ

白生地の反物から制作した燕尾服と、袴の組み合わせ。

制作の大半は、パリで行います。
国際的な感度でクリエーションができる大切な環境であり、特に着物素材で制作をするときは、あえて、必ずパリで制作をするようにしています。
なぜなら、日本人である私自身のアイデンティティが、伝統的な着物の着方からなかなか抜け出せなくさせてしまうからです。

本来の着物のスタイルが最も美しいと思っていますが、ファッションの世界に落とし込んだ時に、パリの人々が私の新感覚のクリエーションを認めてくれるのか、そんなことに常に気を留めながら制作しています。

世界中の人々に向かって日本の着物を発信していきたい。

そのような信念を持ち、現代の生活の中で、着物のアイテムを優美に美しくそしてかっこよく表現したいと、ファッションデザイナーとしての思考を巡らせています。

「着る」「装う」という行為の醍醐味は、和装・洋装の区別なく「洗練された着こなし」にあり、進化したおしゃれを考え表現していきたいと思います。

オフショット

エッフェル塔をバックに。

エッフェル塔をバックに
牡丹柄の着物が青い空に映えます

清らかな牡丹の花模様が、青空に映えます。

アクセサリーを大胆にコーディネートし、モダンな表現を演出。

洋服に着物を羽織ったスタイル
帯締めでシルエットを引き締める

帯締めでシルエットを引き締めて。

艶やかな牡丹柄にネックラインを構築的にし、インパクトのあるデザインに。

衿元の装飾を華やかに。

エキゾチックなバックスタイル。

薔薇を飾り、PARISのアトリエにて。

黒留袖の家紋部分を用いたボレロ、ニュー礼装感覚。

家紋の部分を利用したボレロ
和気あいあいと楽しそうです

和気あいあいと楽しそうです。

アジアのモデルの中で、ひときわ印象的な日本人モデル。

モデルの皆さんも楽しそう

舞台裏の様子。
このモデルさんは、インドの方でした。

モデルさんとともに。

ショーの前には、舞台で私の衣装を着ていただくモデルさんをセレクト。

=ショーの前に舞台で私の衣装を着て頂くモデルさんをセレクト

常に全力投球で疲れきってしまいましたが、大変満足感を感じました。
いつも多くの方々に支えられ、このような活動ができますことを心からありがたく思っております。着物素材での制作におきましては、京都染匠組合の方々に大変お世話になりました。そして、友人、知人は、韓国まで応援のお手伝いに来てくれました。本当に恵まれていると思います。
これからも走り続けていきます。ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

MariMaeda

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