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のびやかな染め帯を主役に 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.2

のびやかな染め帯を主役に 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.2

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京都祇園、ニューヨーク、東京と、3都市の着物スタイルを知る今井茜さん。「女性らしさ」や「上品さ」をキーワードとして、装う方の魅力を引き出すコーディネートをご提案します。桜の後は……藤の開花を待ちわびて。

2023.03.20

まなぶ

写実的な意匠で春を満喫 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.1

祇園甲部歌舞練場にて、7年ぶりの『都をどり』

4月1日より、京都祇園甲部歌舞会『第149回 都をどり』が開催されています。

令和の大改修を経て生まれ変わった、新開場の柿落し公演。7年ぶりに祇園甲部歌舞練場で開催されることを大変楽しみにしていました。

今井茜さん

今回はこの記念の会を、主宰する京風きつけ教室の生徒様方と一緒に観覧し、その後、芸舞妓さんにも来ていただいての宴会を楽しむ予定です。

桜から藤に変わる時期の衣装や、都をどり中にしか見られない芸舞妓さんの装いも、毎年楽しみにしていることのひとつ。

ひと月にわたり、1日3回の公演を頑張る芸舞妓さん方の姿を、ぜひともみなさまにもご覧いただきたいです。

コーデの主役は、絞りの染め帯

春から初夏に向かう今の季節にぴったりな組み合わせとして、藤花柄の染め帯と、信州伊那紬の淡いラベンダー色の着物をセレクトしました。

染め帯は、藤の花姿を手絞りの技法で表現した美しい作品で、まろやかなクリーム色の地に澄んだ白、そこに、青みの強い紫が締め色になります。

用いられた絹地は、紗綾形に菊と蘭があしらわれた本紋の綸子地。シルクならではの上品な光沢感が感じられますね。

葉に用いられた濃淡のグリーンもみずみずしく、写実と抽象の間を行くような絞りならではののびやかな魅力とともに、この染め帯の美しさが、今回のコーディネートの主役となっています。

女心をくすぐるラベンダーカラー

伝統的工芸品にも指定される「伊那紬」は、100年以上にわたって変わらない技術が継承されつつ、今では久保田織染工業さん一社で作られるのみとなりました。

この美しいラベンダー色には、どなたもが一瞬で魅了されるのではないでしょうか。

伊那紬の白生地を後染めした作品で、紬ならではの素材感とお色の発色の美しさ、両方をお楽しみいただける一枚。

単衣、夏物に先駆けて、なんとなく軽やかに装いたい今のムードにもぴったりですね。

軽やかなリズムを添える小物使い

帯揚げと帯締めは、帯の印象を大きく変えるアイテムです。

今回は、落ち着いた鶸色の帯締めで藤の帯に統一感を持たせ、白場が多い帯揚げで帯周りをすっきりとさせました。

帯揚げの太細のぼかしが軽やかなリズムを生み出し、淡い珊瑚色のぼかしがほんのりと匂やかに、全体をかっこよくしすぎないポイントとなっています。

帯締めのさりげない金糸使いも、現代女性のスマートカジュアルにぴったりなきらめきを添えて。

カジュアルだから、フォーマルだから、というのではなく、演出したいと思われるイメージや全体の印象から、心おもむくままに取り入れてまいりましょう。

”はじまり”を楽しんで

女性らしいエレガントな装いが好きな方にご提案したい今回のコーディネートは、観劇やご友人との会食、お稽古の場面にぴったり。

早く着たくてたまらない!お袖を通すその日を心待ちにする、ウキウキとしたムードとともに、みなさまにご覧いただけましたらと思います。

5月のコーディネート

4月、はじまりの季節。みなさまはどんなスタートを迎えられましたでしょうか。

少しのドキドキと、一歩を踏み出した達成感。

お気に入りの着物コーディネートは、きっとみなさまの背中をそっと後押ししてくれるはず。

静物撮影/スタジオヒサフジ

ITEM

記事に登場するアイテム

伊那紬 草木下染無地紬着尺「薄藤色」

手絞り染九寸名古屋帯「藤」

帯揚げ 三色段ぼかし「 撫子/抹茶/卵色 」

道明帯締め「 冠組 縞柄 鶸色/金」

よみもの

「今井茜 着ものがたり ―京都・ニューヨーク・東京」

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