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扇を帯に挿して前を向く「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.100

扇を帯に挿して前を向く「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.100

扇を帯に挿して前を向く「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.100

2025.09.18 （2025.09.24 更新）

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大西さんを取材してから、「扇子は、してもしなくてもどっちでもいいや」ではなく「必ず帯に挿しておくもの」になりました。着付けの最後に、心を込めて挿す扇子は、どことなく儀式のよう。おめでとう、や、今までありがとう、という気持ちを扇子に込めるのです。

目次

明るく前に進む人だった大西里枝さん
心を込めて挿す扇子
扇子を挿して、前を向いて

とかく「こうあるべき」と言われがちな、京都という伝統ある町の、老舗と呼ばれる店の後継者となりましたが、あがくとか、もがくとかいう様子をさっぱり見せず、からからと笑いながら明るく前に進む人でした。扇子を買いに行けば、ラフなきもの姿にほぼすっぴんで対応してくれました。

すっぴんという言葉は、素顔でも別嬪、の略なのだと聞いてから、これは大西さんのことだなと思っていたのです。次に会ったらそのことを言おうと思っていたのにな。

わたしのフォーマルの扇子は、大西常商店のものです。お祝いの席のときは、黒塗りに蒔絵が施された末広。悲しみの席のときは、黒の喪服扇。

大西さんを取材してから、「扇子は、してもしなくてもどっちでもいいや」ではなく「必ず帯に挿しておくもの」になりました。着付けの最後に、心を込めて挿す扇子は、どことなく儀式のよう。おめでとう、や、今までありがとう、という気持ちを扇子に込めるのです。

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。

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