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着物も春を先取りして楽しみたい 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.9

着物も春を先取りして楽しみたい 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.9

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一般的に「梅春」というのは、冬の終わりから春の訪れまでの期間をいいます。お正月から2月末あたりでしょうか。

2023.12.27

よみもの

寒い季節を楽しく乗り切る!着物姿での防寒のコツ 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.8

気分を新たにする心を装いに

子どものころはお正月にきれいな着物を着せてもらい、ちょっと”おしゃれさん”になった気がしました。

大人たちも新しい足袋を履いたり、半衿を付け替えるなど、気分を新たにする心を表していましたね

新しい年を迎える。

新しい年を寿ぎ、春を先取りするのは着物に限ったことではありませんが、その楽しさや着こなしなどについてお話しします。

厳しい寒さが続く季節ですが、せめて気持ちの上では春を楽しみたいですね

新年らしい柄で一年をスタート

黒壁前、大久保先生

新年らしい柄といえば「松」「竹」「梅」「宝尽くし」「鶴亀」「扇子」、おもしろいところで「茶の湯」。これは初釜にちなんで「茶道具尽くし」(釜、杓子、棗、茶筅などが描かれた柄)のことですね。

もちろん、吉祥文様はいうにおよびません。どの柄も自身の長寿や家の反映、家族の幸せを願う意味が込められています。

気分を新たにしてまた一年、元気に暮らす。この思いは今も昔も変わりはないようです。縁起のよい柄を纏うと、それだけで活力になると思いますよ。

「梅春」は春の訪れを感じさせてくれる言葉

振り返る大久保先生

一般的に「梅春」というのは、冬の終わりから春の訪れまでの期間をいいます。お正月から2月末あたりでしょうか。

梅は春の先駆けの花といわれ、古くは万葉人の心を捉えた花。そのかぐわしい香りが清らかな気分に誘ってくれ、心身ともに生まれ変わる心地がしたのではないでしょうか?

「梅春」は春を待つ心なのかもしれません。

梅柄の着物や帯で季節を先取り

梅柄の着物や帯で季節を先取り。

着物の柄にも梅はよく描かれています

尾形光琳の苔むす古木に咲く梅を描いた『紅白梅図屏風』をモチーフにした着物や帯などを目にしたことはありませんか?

華やかななかにも梅の凛とした風情が気持ちをピシッとさせます。

その他にも、5弁の花びらを繋げた「繋ぎ向こう梅」、紅白の梅を描いた「紅白梅」など梅文様はたくさんありますから、選ぶのも楽しい。ひっそりと咲く梅が描かれた小紋など、厳しい寒さをそっと和らげてくれそうです。

寒さの厳しい季節、梅柄で春を待ちわびる心を表してはどうでしょう。

大久保先生

色柄で春を先取り

やはり淡い色を纏うと、春らしい気分になります。

甘くなり過ぎないピンクや水色、春の野原をイメージさせる若草色などを取り入れてはどうでしょうか?「淡い色は苦手」というなら、色の分量が少なめなものを選んでも。

例えば染め分けの着物

濃淡で染め分けた着物は大人っぽくて素敵です。また裾から順に色をぼかしていく着物は、まるで春霞のようでいいのでは。

着物はいつものもので、帯に梅を入れてもいいと思います。梅文様は品があり、大人の装いに最適です。梅の他にも春を感じさせる水仙や椿の柄もおすすめです。水仙のクリーム色の着物も春らしくて素敵です。

季節を表す柄は、それを過ぎると野暮に見えてしまいますから、注意してください。

今しか着られない、ひとときの贅沢を味わうのも一興です。

小物使いで春を先取り

着物を新調するのはそうそうできることではありませんよね。

ならば、帯揚げや帯留めなどの小物類で春を感じてはどうですか?

枝に梅の花が咲いたような景色に見立てて、5弁の花びらを形どった帯留を茶系の紐に通してみてはどうでしょう。手持ちのブローチなどで花をモチーフにしたものがあれば、帯締めに留めてみたり……アイデアで春を取り入れると楽しいですよ。

帯揚げも梅を絞ったものがありますから、それをちょっとだけ帯からのぞかせてみたり。春らしい色を帯締めに使うだけで、ぐっと春らしい装いになるから色選びは大事です。

構成・文/大澤はつ江
人物撮影/五十川満

ITEM

記事に登場するアイテム

工芸刺繍袋帯 金駒刺繍「摺箔宝尽くし」

(仕)手刺繍名古屋帯「吹雪地宝尽くし」

【人間国宝 故:森口華弘】友禅染め帯「白梅図」

【日本工芸会準会員 大村幸太郎】 京友禅塩瀬帯「紅梅」

本場琉球南風原花織紬着物「石目地間道暈し・濃梅鼠」

京友禅付下げ「霞ぼかし・薄桜色」

【美しいキモノ掲載】 染匠市川 京友禅九寸名古屋帯「紅白梅」

【和小物さくら】 染繍舗多ち花別注 摺型友禅帯揚げ

[京都富小路きねや] 綸子梅絞り帯揚げ (05)黄色

[京都富小路きねや] 綸子梅絞り帯揚げ (01)赤

友禅小紋着尺 「道長唐花」

【龍村美術織物】 九寸名古屋帯 「華文菱段文」

【京都富小路きねや】うずらちりめん帯揚げ「甲辰-きのえたつ- ローズ」

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