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晩秋に愉しむキレイ色 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.8

晩秋に愉しむキレイ色 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.8

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京都祇園、ニューヨーク、東京と、3都市の着物スタイルを知る今井茜さん。「女性らしさ」や「上品さ」をキーワードとして、装う方の魅力を引き出すコーディネートをご提案します。

2023.09.23

まなぶ

気候に応じた9月の帯合わせ 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.7

芸術の秋

茜さん

高く大きく広がる秋晴れのなか、芸術の秋を堪能すべく、

国立新美術館にて開催中の『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』

東京国立博物館にて開催中の特別展『やまと絵 -受け継がれる王朝の美-』

へ行ってまいりました。

2023.10.05

よみもの

『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館 「きものでミュージアム」vol.26

特別展『やまと絵』は、《源氏物語絵巻》《伴大納言絵巻》《信貴山縁起絵巻》《鳥獣戯画》の四大絵巻を鑑賞することができるすばらしい機会(4件が揃うのは第一期のみ)。

特別展「やまと絵 -受け継がれる王朝の美-」

中国由来の「唐絵」が日本固有の「やまと絵」になっていくさまを、実際の国宝、重要文化財から感じ取ることができます。

きもの視点としては、平安王朝の服装文化を「やまと絵」内に見ることができますので、今なお用いられる有職文様(ゆうそくもんよう)について、一層興味がわくこと間違いなしかと思います。

東京国立博物館

東京国立博物館

秋のキレイ色

コーディネート連載からはや半年が過ぎまして、初回コラムに書いたことを思い出しました。

色合いが美しく、上品で落ち着いた印象を与えながら、見る人を惹きつけるコーディネート

私が得意とする着物コーディネートについてみなさまからこのようにおっしゃっていただくことが多く、また私自身、日頃よりそのようなスタイルでありたいと考えています。

今回も地色の美しい付け下げに目が留まり、テーマを”秋を迎えて気分も雰囲気も華やかにするコーディネート”にしました。

『京染 せい山』の京友禅付け下げは、彩りものびやかに。流水に花筏の菊楓が描かれています。桃山から江戸に流行したこのような意匠には私自身とても興味があり、好んで着る古典柄です。

高台寺蒔絵には桜が描かれていますが、現在では桜以外が使われることも多く、ひとところに留まることなく流れてゆくさまをあらわしたすばらしい意匠ですね。

丹後の楊柳ちりめんが用いられています。

楊柳(ようりゅう)というと単衣向きに考えられますが、しっかりとした生地質は袷仕立てにも問題はなく、10月中旬を過ぎても気温の高い日が続く現代にはぴったり。

私の考えでは、色鮮やかでありながら優しく見える付け下げは、こちらの2点が上品に決めるポイント

色数:抑える
意匠の大きさ:身幅の中に余裕がある大きさにする

キレイ色を着用する時には長襦袢の半衿の色にも心を配り、より白色に近い半衿を選びます。

「きもの一枚に帯三本」ならぬ……

気分をさらに明るく、そして華やかな着姿にするために。

帯には、金彩友禅だけで描かれた染め帯をセレクトしています。

純白の塩瀬地にふんだんに金彩を用いて、雅やかな糸菊の意匠があらわされて。

一切の彩色は控え、お太鼓・前帯部分ともに大きめかつ贅沢に描かれていますので、何にでも合わせやすい作品です。

金彩を施した帯ですので、染めの名古屋帯とはいえお呼ばれなどの少しきちんとしたシーンにもぴったり。こなれた装いになります。もちろん「付け下げ+袋帯」の組み合わせでしたら、よりフォーマル感を演出できます。

そして実はこちらの帯、もうひとつ、江戸小紋にもコーディネートしてみました。

江戸小紋の文様は多種多様で、その柄の細かさの実現には、熟練した技術を必要とします。

2022.08.13

まなぶ

江戸小紋の種類と意味、江戸小紋の着物の着用シーンをまなぶ

寸分違わぬ型付けの仕上がりには奥行きのある独自の美しさがあり、一見無地に見えるが近づくと豊かな表情が浮かび上がるという、文化を楽しむ日本人の心が垣間見れます。

「きもの一枚に帯三本」ならぬ、「帯一本にきもの二枚」。

もっともっと表情を変えた組み合わせも可能ですから……コーディネートとは楽しいものですね。

小物のとりあわせ

付け下げに合わせた小物は、こちら。

帯揚げ:【和小物さくら】 松岡姫使用 段暈し染め
帯締め:【道明】 有職組紐 帯締め 冠組 波の緒 鶸色/源氏鼠

控えめなぼかし染めの帯揚げですが、小葵地紋の白生地が富貴な印象

帯締めには、揺るがぬ人気の道明より、金糸が入った冠組(かんむりぐみ)を選びました。金糸が少し入るだけで、ぐっとフォーマル感が高まります。

帯揚げ:【和小物さくら】 楊柳地帯揚げ 三色段ぼかし「撫子/抹茶/卵色 」
帯締め:【道明】 有職組紐 帯締め 奈良組 四色段

江戸小紋コーディネートでは、帯揚げのラインでアクセントを添えて。

道明の奈良組帯締めは、秋色のグラデーションが深まりゆく季節を予感させます。

2020.07.23

イベントレポート

女性職人がえがく江戸の『粋』 石塚染工5代目 石塚久美子さんの江戸小紋 in 京都きもの市場 銀座店

それぞれに輝く

京友禅と金彩友禅、江戸小紋と金彩友禅。それぞれが出会い、それぞれが輝く。

きものを身にまとうことが楽しく、ワクワクする瞬間になればと願います。

今井茜さん

静物撮影/スタジオヒサフジ
着姿撮影/TADEAI 久野藍

ITEM

記事に登場するアイテム

【京染 せい山】 手描友禅付下げ着尺 「流水に花筏」

京友禅小紋着尺「むじな菊・萌葱」

金彩友禅名古屋帯 「糸菊(白)」

【和小物さくら】 楊柳地帯揚げ 三色段ぼかし「撫子/抹茶/卵色 」

【道明】 有職組紐 帯締め 冠組 波の緒 鶸色/源氏鼠

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