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着物で心躍る夏を迎えてみませんか 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.5

着物で心躍る夏を迎えてみませんか 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.5

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京都祇園、ニューヨーク、東京と、3都市の着物スタイルを知る今井茜さん。「女性らしさ」や「上品さ」をキーワードとして、装う方の魅力を引き出すコーディネートをご提案します。今回は……涼やかに優美、夏の上質な装いのヒントを。

2023.06.25

まなぶ

この時期に着たくなる夏紬 「今井茜、季節の着物コーディネート」vol.4

メキシコの記憶を辿りに

茜さん

先日、古代メキシコ文明の奥深さと魅力にせまる特別展『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』を見に東京国立博物館へまいりました。

大好きなメキシコ。

世界遺産のひとつでもある古代都市テオティワカンのピラミッドへ行った時のことが思い出されます。

メキシコ展
ピラミッド

テオティワカンは、まだ解明されていないことも多く歴史的に謎が多い古代都市。今一度その背景などを確認したくなったのです。

展示物01
展示物02

マヤ文明のパレンケで発見された『赤の女王』は、日本初上陸。斬新で迫力のある展示スペースはとても見ごたえがありました。

この夏、東京国立博物館でメキシコを感じてみてはいかがでしょう。

特別展『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』のご紹介も!

2023.07.05

よみもの

『ガウディとサグラダ・ファミリア展』 東京国立近代美術館「きものでミュージアム」vol.23

夏の正統派フォーマルとは?

友禅を着ることが多い私は、盛夏に色を添えて映える着物のことをいつも考えています。

今回ご紹介する最初の組み合わせは、染め色みずみずしい京友禅の付下げと、富貴な織りくちの夏の唐織袋帯のコーディネートです。

着物:京友禅付下げ着尺「涼花」
帯:河合康幸 唐織絽本袋帯「清雅鳳七宝文」
帯揚げ:【渡敬】紋紗帯揚げ 七宝文様 アイボリー
帯締め:【渡敬 】平源氏組帯締め 白緑

私の大好きな駒絽の絹地を用いた京友禅の優美な一枚。上品な薄桜色を基調として、くっきりと彩り冴える夏の花意匠が染め描かれています。

古典的な雰囲気でありながら、上前には紫の百合の花がスッキリとモダンに表現されて。

胸の柄やその他の場所は色味を抑え、上前の花意匠が引き立つようになっているところが好みです。着物で感じる四季の風情を存分に楽しむことができます。

『清雅凰七宝紋』の唐織帯

帯:河合康幸 唐織絽本袋帯「清雅鳳七宝文」

帯合わせは、河合康幸さんの『清雅凰七宝紋』を。

いかにも夏帯らしいシャリ感ある絽地に、光をはらんでつやめく絹糸をふんだんに用いて織り上げた贅沢な唐織袋帯は、コーディネートにこの上ない華やかさと女性らしさを加えます。

河合康幸さんと言えば、唐織一筋の織り元さん。着物を邪魔しない優しい色味と丸みのある七宝文様があいまって、とても上品な印象です。着ているご本人や周りの雰囲気までをも明るくしてくれることでしょう。

京友禅の絵画的な美しさに、夏の唐織という帯地の特別感、さらには意匠センスが融合した夏の正統派な装いです。

帯締め帯揚げの色のチョイス

メインのコーディネートでは、清涼感を出すべく帯締めにはクリアな薄鶸色(淡いグリーン)を選びました。他に、淡いブルーやピンクも合わせやすいでしょう。

”私好み”としましては、白とシルバーの帯締めを用いた”引き算のコーディネート”もおすすめ。「白×シルバー」の帯締めは一本持っておかれると本当に重宝します。

小物には清涼感を。

帯締め:【渡敬】平源氏組帯締め

また帯揚げは、帯との色の調和やアクセントをつける役割を果たしますので、夏らしい明るい色や爽やかな柄を選ぶと、コーディネートに軽やかさや華やかさが加わりますね。

もうひとつのお気に入りコーデ

こちらは、京友禅の絽の訪問着と、またまた大好きな河合康幸さんの夏の唐織袋帯のコーディネート。

丁寧に染め上げられた夏の極上の一枚ですね。絽地は夏の定番生地ですが、透け感があって目にも涼やか。すうっと風を通します。

菖蒲が藍白の絹地にくっきりと染められ、銀彩の輪郭が夏の涼を感じさせます。

見惚れるほどに、美しい仕上がり。

白色のぼかしがあることで華美になりすぎず、涼やかな美しさをしっかりと引き立てるデザインは、夏のさまざまなお席にお召しいただけます。控えめながらも風格ある帯地が、一段と気品のある佇まいを盛り上げます。

爽やかさを引き立てるアイテム

帯締めや帯揚げ、小物類の選び方は、コーディネート全体の印象やバランスを左右する重要なポイント。

今回は、黒塗りの夏扇子をつけることをイメージして、帯締めにはアースカラーを使いました。

帯留めをお使いになるときには涼しさを出すため、象牙や銀製のもの、クリアな透明のものも合うと思います。

ぜひ、夏らしく爽やかさを引き立てるアイテムを選んでみてください。

和装ヘア、夏場のポイント

夏の髪型にも少し触れてみたいと思います。

通常私は「耳隠し」と言って、少し耳にかかる髪型をすることが多いですが、夏には耳にかけたアップスタイルもおすすめです。首元を涼やかに見せることができますね。

心踊る夏

夏の盛りには暑くて着物を着ることが減るかもしれませんが、今回ご紹介したような素敵な夏の友禅と唐織帯を身に纏い、心躍る夏を迎えてみてはいかがでしょうか。

和装の美しさと、涼やかさ。

季節ごとに異なる着物の魅力を感じつつ、ぜひこの夏は、日本の美しい感性を堪能くださいませ。

着物で愉しむ夏

静物・着姿撮影/スタジオヒサフジ

ITEM

記事に登場するアイテム

着物:京友禅付下げ着尺 「涼花」

着物:京友禅絽訪問着 「菖蒲花文」

帯:【河合康幸】 唐織絽袋帯 「軽錦百寿菱華文」

帯揚げ:【渡敬】紋紗帯揚げ 七宝文様 アイボリー

帯揚げ:【和小物さくら】絽銀霞帯揚げ 白

帯締め:【渡敬 】平源氏組帯締め 白緑

まなぶ

「今井茜 着ものがたり ―京都・ニューヨーク・東京」

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