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日本家屋の残る昭和町をふらり 「きもので歩く台北 2022」vol.2

日本家屋の残る昭和町をふらり 「きもので歩く台北 2022」vol.3

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。 人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第3回、あなたならどんな装いで愉しみますか?

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。 人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第2回、あなたならどんな装いで愉しみますか?

きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?

どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?

日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。

人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第3回目!
あなたならどんな装いで愉しみますか?

昔の面影を残す東門昭和町

青田茶館

東門駅の南側に「昭和町」と呼ばれる地区があります。

現在では青田街及び永康街、温州街、和平東路の一部の地区ですが、日本統治時代の昭和初期までは、台北近郊の農村地帯だったそうです。

1928年(昭和3年)に台北帝国大学が設立され、それに伴い市街地が形成されていきました。

当時、大学の先生などが住まわれた庭園のある日本家屋が、大切に保存・リノベーションされて昔の面影を残しています。

それぞれのきものコーディネート

この日の前後は、気温が31度を超えていたのに急に気温が下がり、にわか雨の降る1日となりました。

台湾では、夏が来たと感じる4月後半から7月まではよく雨が降ります。日本の梅雨のようなイメージです。

大きく分けて「雨季」と「乾季」しかないと言われる台湾ですが、台北は、1年を通して1ヶ月に12日〜15日は曇りであったり雨が降る地域となっています。

単衣にレースの羽織やショール

すっかり夏きもの(絽や紗)を用意していた私たちは、あわててコーディネートを組み直しました。

23度という心地よい気温ですが、乗り物や建物内には冷房が入っています。

3人とも洗える単衣きものにレースの羽織やショールをかけて、といういでたち。3人とも淡い色味のきものですが、半衿や帯周りに個性がでます。

コーディネート1
コーディネート2

毎回なんとなく打ち合わせてはいますが、それぞれお互いのコーディネートを実際に拝見するのが楽しみで、待ち合わせの段階からワクワクします。

ひとりできもので出かける時には味わえない醍醐味です。

コーディネート3

有名すぎる老舗『鼎泰豐』

鼎泰豐
鼎泰豐 ※写真はHPより引用

日本でも有名な小籠包の『鼎泰豐(ディンタイフォン)』は東門の駅を出てすぐのところにあります(現在は持ち帰り専用店舗となっています)。

1958年に台湾台北市で食用油を取り扱う油問屋として創業した鼎泰豐。1972年に小籠包を始めとする点心料理の販売を始めたそう(HP参照)。

1993年にはニューヨークタイムズ紙で「世界の人気レストラン10店」のひとつにも選ばれ、台湾国外からも多くの観光客が来店する世界的なブランドとなっています。

コロナ禍で一時は待たずに入れるようになりましたが、最近では観光客が居なくても列ができるほどの名店です。

陳さんとマスコット

街歩きが楽しい永康街を進む

永康街の公園

鼎泰豊を左に見ながら「永康街」へと進みます。かつては観光客で賑わっていた通りです。

小さな公園を挟んだ道路沿いにはお洒落なカフェや趣のあるレストラン、小物や雑貨のお店などが並びます。

小さなハンドメイドアクセサリーのお店『Ops手工飾品設計』で見つけたブレスレットを、羽織り紐用の金具に付け替えていただいたゆりえさん。

作家さんも感激されていました。

作家さんも感激して記念撮影を。

私の肩にかけているショールも、一昨年前にこの通りの別のお店で購入したものです。

きもの小物が手に入りにくい海外ですので、和物でなくても、きものに合わせられる可能性のあるものに目が光るようになりました。

聚落山海‧ 茶館‧ 山海豆花の前にて

公園の横で目を引くのが、ティールーム『聚落山海‧ 茶館‧ 山海豆花 』です。

お茶セット
豆花

何度も経営が変わっているのか、私が最初に訪れてからメニューは変化し続けていますが、植木や小さな池など、店構えや内装は日本と台湾との歴史を感じさせ、懐かしい雰囲気そのままでした。

マンゴーの実がなる日本家屋と台湾茶

青田茶館門にて茶器

台湾茶を楽しむ茶藝館も多いのが、この地区の特徴でもあります。

ひとつのお茶に小さなお菓子、お湯代と、軽く700元〜1000元(約2800円〜4000円)を超える価格帯ですが、小さな茶器でいただく台湾茶は、茶葉の香りや味わいの変化を楽しみながら何煎でも淹れられますので、お時間があればぜひ体験してほしいです。

お茶を楽しむゆりえさん
本格的な台湾茶をいただく

その本格台湾茶がいただける『青田茶館』はかつて大学教授が住まわれていた旧日本家屋ですが、大切に手入れされてきたことが伺えます。

台湾茶を味わう

庭のマンゴーの木はオーナーさんの自慢。

100年近い年月、この土地の変化をこの家の住人と見てきた大きな木は、それはそれは立派なものでした。

今でも毎年6月には甘い実をたくさん実らせています。

オーナーさん自慢のマンゴー
青田七六の前にて

その青田茶館のほど近くに『青田七六』という、やはり旧日本家屋をリノべーションしたカフェ兼文化施設があります。

なんと、ご一緒していただいている台湾人陳さんはこちらで、アイシングクッキーや和菓子の講師を務めていらっしゃいます。

陳さんは茶道と日舞の師範というだけでなく、お料理もお得意。

さらに、私も彼女に習った時期がありますが、中国語と英語と日本語をフリーランスで教える先生でもあります。多才すぎますね!

アイシングクッキー
縁側に座るヒロコさん

昭和町にあるような日本家屋は、すでに日本の都市部には残っていないのではないでしょうか?

若者に人気の昭和レトロなカフェ

翌日珈琲店の前にて

懐かしい気持ちになりながら歩いていたら、まさに昭和を思わせるカフェ『翌日咖啡店』に出会いました。

客層は、昭和を知らない若い人達でしたが、台北ではこういうレトロな雰囲気が新鮮のようです。

こちらの営業時間は午後1時から深夜1時まで。深夜まで営業しているレストランやカフェは、台北では珍しいですね。

独特の空気感のある町、昭和町。

きものを着た日本人や、日本人として生きた台湾の人々の息づかいが聞こえるような、独特の空気感のある町、昭和町。

少し行けば近代的でモダンな建築物が立ち並ぶ場所でもあります。

台北の中でも、きもの姿が馴染み、他の地区よりもなんとなく歓迎してもらえているように感じるのは、この地区に住まわれた先人達のおかげなのだと思います。

歴史の事実と成り立ちの複雑さ。

反面「日本人」として生きたはずの人々の戸籍の問題や、戦後の補償などでまだ解決していない問題もあると聞き、日本では習わなかった歴史の事実と、台湾のなりたちの複雑さを肌で感じる場所でもあります。

室内の窓際

B級グルメの長蛇の列に並んで

この日、陳さんから「名物」「有名」という情報をもらって、私とゆりえさんは初めて台湾ローカルフードである『蘿蔔絲餅』を買う列に並びました。

蘿蔔絲餅

なんと、待つこと小1時間!

私たちはそれぞれ家人の喜ぶ顔を楽しみに自宅に持ち帰ったのですが、男性陣からの第一声は「肉は入っていないのか?」でした(苦笑)。

大根しか入っていない『蘿蔔絲餅』。けれどたっぷりの油で揚げられたそれは、はたしてヘルシーなのでしょうか?!

不思議なお味でしたが、ひとつで十分にお腹は満たされました。台湾のB級グルメがお好きな方はぜひ挑戦してみてくださいね。

「海外できもの」お役立ちメモ

あると便利なもの。

①晴雨兼用折りたたみ傘

陽射しが強く雨の多い台北では、必需品といえます。バッグに必ず入れておきましょう。

ちなみに、台湾では傘を人にプレゼントするのはタブーとされています。

その理由は、「傘」は中国語で(sǎn)サンといいます。そしてこの(sǎn)サンという発音は「散 (Sàn)」サンという字の発音によく似ています。

そのせいで傘(sǎn)は「散→別れ」を連想させてしまい、贈り物には向かないということのようです。

着物を着ることが自分の世界を広げていく

着物がクローゼットに加わったことで、私の人生はそれがなかった頃より少しだけ豊かに広がりをみせています。着物は洋服に比べて、着るのに少しの準備と気合いが必要になります。それは面倒でもある反面、丁寧な時間でもあります。丁寧にする身支度は、自己肯定感を上げながら、自然との繋がりや季節を強く意識することとなります。

②消毒用除菌シート

手指の消毒にはもちろん、イスやテーブルを拭いたりと、旅先ではあらゆる場面で「持っていて良かった」となるでしょう。

③流せるティッシュペーパー

台北市内のお手洗いには、使用したトイレットペーパーを流さず、個室内に設置された大きなゴミ箱に入れる仕様の場所があります。

大抵はゴミ箱の大きさで判断しますが、迷うことも…。慣れないと無意識のままトイレ内へ落としてしまうと思います。また稀にトイレットペーパーが設置されていない場合もありますので、どちらにしろ、「流せるティッシュペーパー」は持っていると安心でしょう。

④安全ピンまたは両面テープ

半衿つけや、襦袢と長着の袖が合わない時、糸や布がほつれた時などにあると便利です。

⑤手拭い(または風呂敷)

手を拭くというより、食事の際にきものや帯を守ったり、急に雨に降られた時などに帯の後ろにかけたり、ベンチや腰掛けたい場所に敷いたりできます。

また台湾ではスーパーやコンビニで買い物をした際のビニール袋は有料で、こちらから頼まなければ袋に入れてくれることはありません。そんな時に包めるものがあるのは助かりますし、スマートですね。

旅にハプニングはつきもの。

旅にハプニングはつきもの。
以前タイ在住時、タクシーに乗り込んだ時に、座席の奥に座ろうと頑張って移動した友人のおしりの布が縫い目から裂けてしまったことがありました。

強い力がかかったことと、アンティークのもので、糸が弱っていたのかもしれません。

旅先ではタクシーに乗ることも多くなります、そんな時手拭いと安心ピンがあれば応急処置ですが、裂けた部分は隠せます。

あげればキリがありませんが、きもの姿には小さめのバッグの方が似合うと言われていますので、このくらいで。

台北のまちなかには、コンビニも多いですし、ジュースやお茶を気軽に買えるスタンドのようなお店も多くあります。

カフェに入らなくとも喉を潤せる場所には困らないもの。

優雅にゆっくりお茶を楽しむのも、コンビニ内にある座れて休めるコーナーを利用するのも、ドリンク片手に観光するのも台湾ならでは。

遠くない未来にぜひ、「きものでふらり台北」を体験してみてください。

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