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祇園でお座敷初体験 「京都できもの、きもので京都」vol.11

祇園でお座敷初体験 「京都できもの、きもので京都」vol.11

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すべてが非日常でスペシャル。おもてなしのプロの心地よいリードに身を任せ、極楽浄土を旅してきたような3時間。明日への活力が湧いてきました。

2024.03.26

よみもの

祇園『エメラルド美容室』でヘアセット 「京都できもの、きもので京都」vol.10

よみもの

山崎陽子さん「つむぎみち」(全13回)

※本コラム内の写真につきまして、許可を得て撮影掲載しております。

祇園でお座敷初体験、日常を忘れ楽しみました!

春の初め、みなさまのお集まりに加えていただき、初めてお茶屋さんへ上がらせてもらいました。

祇園の名店『多麻』

祇園の名店『多麻』、扉を開けると観光客で溢れる外の喧騒が嘘のよう。

ドキドキしながら美しく整えられたお座敷へ。

秘密めいたディープな世界? お座敷ってどんなところなのでしょう

ドラマ『舞妓さんちのまかないさん』の大ファンであり、元・芸妓さんのきもの友だちとも親しくさせていただいている私は、お座敷に上がり、芸舞妓さんと遊ぶのがちょっとした夢でした。

2023.01.30

よみもの

是枝裕和監督が描く花街の文化 Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』〈前編〉

よみもの

REOさん「あの人と、着物でごはん食べ」(全8回)

その夢が叶う日がくるとは! 春のひと夜、お座敷にお招きいただきました。

『都をどり』の開催を告げる提灯が灯る祇園甲部の春の宵、花見小路は人で溢れていました。

目指すお茶屋さん『多麻』の格子戸を開けると、季節の花が出迎えてくれ、草履を脱いでお2階へ。

季節の花

ご一緒するみなさんとご挨拶し合って席へつくと、舞妓さん、芸妓さん、地方じかたさんが入ってきました。

舞妓さん、芸妓さん、地方(じかた)さん

今日は、明日葉あすはさん、美羽子みわこさん、まめじゅさん、幸苑ゆきそのさんです。

季節の会席料理が運ばれ、一同乾杯し、いよいよ宴席の始まり始まり。

季節の会席料理

舞妓さん、芸妓さん、地方さん、それぞれの装いと美粧にうっとり

舞妓さんの明日葉さんは、蝶々の柄が可愛らしい薄紫色のお振袖に、たっぷり出した赤い帯揚げ、唐織のだらりの帯、裾から覗く長襦袢も真っ赤で、まさに私がいちばん好きな舞妓さんの色の合わせ方

まめ樹さん

舞妓の明日葉さん。簪は水仙(撮影取材は3月)

唐織のだらりの帯

赤が効いた装いに、だらりの帯

ついジーっと見つめてしまいますが、そういうことにも慣れていて、いやな顔ひとつ見せません。その日の装いは、(置屋の)お母さんが決めてくれるそうです。

私がいちばん好きな舞妓さんの色の合わせ方

この見事な帯留め!

芸妓さんのまめ樹さんは赤、美羽子さんは水色のきもので、艶やかに。

芸妓さんの明日葉さんは赤

宴席が一気に華やいで

美羽子さんは水色のきもの

昨秋、衿替えされたばかりの美羽子さん

4人それぞれの色柄がお座敷を彩り、動くたびに畳を流れる裾模様に目が喜び、衣擦れの音が耳に心地よく、春の味覚とシャンパンの口福も合わさり、広間は次第に盛り上がってきました。

広間は次第に盛り上がってきました

お座敷遊び「とらとら」「金比羅船々」で大盛り上がり!

ひと通りお話ししたりお酌してもらったり、宴席が温まったところで、芸舞妓さんの舞が始まりました

芸舞妓さんの演舞

季節に合った『春雨』と、お馴染み『祇園小唄』の2曲

芸舞妓さんの演舞

地方さんの生演奏にのせて

幸苑さんの三味線と渋めのいいお声に乗せた舞は、とても息が合っていて素敵でした。

祇園甲部は京舞井上流。能楽や文楽からの所作が継承され、品格が高い舞がその特徴です。

芸舞妓さんの演舞
芸舞妓さんの演舞

「今年は8年ぶりに~日に『都をどり』を観るんですよ」と話したら、「私、その日舞台に出ています!」と明日葉さん

こうしてお座敷でお話しした芸舞妓さんたちの晴れ舞台を拝見できるというのも、うれしいことです。

芸舞妓さんの演舞

さて、いよいよお座敷遊びが始まります

ジャンケンゲーム「とらとら」

二手に分かれると唄がはじまります

まずはジャンケンゲーム「とらとら」

鉄砲を持った男 (>四つん這いの虎)
杖をついたおばあさん (>鉄砲を持った男)
四つん這いの虎 (>杖をついたおばあさん)

それぞれがどちらかに勝ち、どちらかに負けるというグーチョキパー方式。

ジャンケンゲーム「とらとら」

振りはその場で教えてくださいます。これはあいこでした!

屏風の右左に分かれ、三味線に合わせてジェスチャーしながら外に出て、勝敗が決まります。

振り付けもユーモラスで、勝っても負けても大笑い!

そしてお次は、台を挟んで向かい合い、唄に合わせて交互に手を出す「金比羅船々こんぴらふねふね」。

唄に合わせて交互に手を出す「金比羅船々」

徳利の袴を前に、明日葉さんと相対して

徳利とっくりの袴があるときは掴んで持って帰ってもいいし、そのまま残してもいい。

ただ、「袴を残すときは手のひらはパー」にして袴の上を叩きます。逆に、「袴がないときはグー」にして台を叩きます

最初はゆっくり、だんだん唄が早くなっていき、パーかグーか、ミスした方が負け。これは負けると結構悔しいもので「もう1回!」と挑戦する方もいました。

唄に合わせて交互に手を出す「金比羅船々」

負けたら、おちょこにお酒を注がれるので飲み干しますが、「お姐さんはお強い!」と乗せられて、負けたのに勝った気分(笑)

お座敷遊びは単純だけど、面白くて楽しくて、いい気分で盛り上がって、笑いの絶えない夜が更けていくのでした。

笑いの絶えない夜

2023.02.27

インタビュー

小紋屋主人と現役芸妓も納得! Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』〈後編〉

「おたの申します」のひと言でメロメロに

明日葉さんとは、ゲームのあとにちょっとだけ雑談。

まめ樹さんは京都出身

珍しく京都出身の明日葉さん

他府県の出身の方が多い中、明日葉さんは京都出身。舞妓さんは身近な憧れの存在で、自然と自分も目指したのだそう。

2018年にお店出し(デビュー)した後、たぶんいちばん楽しく忙しく学ぶことの多い時期にコロナ禍に見舞われてしまいました

辛かったでしょう?とお聞きしたら、「もう自分の記憶の中からは消えてしまいました」と。失われた時間のことはもう思い出さない、それより今が大事。「都をどり、おたの申します」とにっこり。

「都をどり、おたの申します」とにっこり

舞妓さんの「おたの申します」を聞いたら、女の私だってメロメロ。「明日葉さん、追っかけます、推します」と誓ったのでした。

すべてが非日常でスペシャルで、おもてなしのプロの心地よいリードに身を任せ、極楽浄土を旅してきたような3時間。明日への活力が湧いてきました。

すべてが非日常でスペシャル

本日の着こなし

訪問着「源氏春秋」

昨年9月に『工芸キモノ野口』で誂え、年末に完成した訪問着「源氏春秋」は、こういうときにも頼りになります。

新春歌舞伎、初釜に続き、3回目の着用。

2023.09.28

よみもの

初めての訪問着を誂えに『工芸キモノ野口』へ 「京都できもの、きもので京都」vol.4

訪問着「源氏春秋」

ヘアセットは祇園『エメラルド美容室』にて

帯は『紫紘』の締切り舞楽菱、西陣織の袋帯でリサイクル品。

年始になにげなく『京都きもの市場』のネットを見ていたところ、期間限定の特別価格で、ポイントで買えることがわかり、ポチッとしたものです。

2024.03.26

よみもの

祇園『エメラルド美容室』でヘアセット 「京都できもの、きもので京都」vol.10

帯は『紫紘』の締切り舞楽

帯締めは『道明』の平家納経、帯揚げは『きねや』の若紫の縮緬

源氏や平家や紫式部や……なんだか平安を引っ張り出したようなコーディネートになってます。

2023.06.27

よみもの

和装小物の店『きねや』で学んだ、京都らしい色づかい 「京都できもの、きもので京都」vol.1

利休バッグは『かづら清老捕』
エナメル草履は『衿秀』

利休バッグは『かづら清老捕』で、ミントカラーのエナメル草履は『衿秀』のもの。祇園の夜にふさわしいコーディネートのつもりですが、どうでしょう?

撮影/弥武江利子

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