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『山田松香木店』で私だけの“匂ひ袋”体験を 「京都できもの、きもので京都」vol.7

『山田松香木店』で私だけの“匂ひ袋”体験を 「京都できもの、きもので京都」vol.7

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以前から贔屓にしている『山田松香木店』で、オリジナルの匂ひ袋を作る体験があると知り、ぜひ参加したいとさっそく出かけました。

2023.11.27

よみもの

妙心寺塔頭『桂春院』、紅葉狩りは静かにゆったりと 「京都できもの、きもので京都」vol.6

よみもの

山崎陽子さんのコラム「つむぎみち」(全13回)はこちら!

江戸から続く京の老舗『山田松香木店』へ

我が家は毎朝、夫が仏壇に線香をあげるので、和の香りが身近です。

きものを着るようになってからは、引き出しに防虫香を入れることもあり、ますますそこはかとない日本の香りを親しく感じるようになりました。

山田松香木店

以前から贔屓にしている『山田松香木店』で、オリジナルの匂ひ袋を作る体験があると知り、ぜひ参加したいとさっそく出かけました。

香原料には、私たちが料理でよく使うスパイス類も

「お香は仏教の伝来とともに日本に伝わりました。香木と香原料は仏前に供えるだけでなく、平安時代には部屋や衣装にたき込める「薫物」として教養と趣味の分野に広がり、やがて室町時代に「香道」が確立されました

こう教えてくれたのは、『山田松香木店』の藤原康教さん。

『山田松香木店』の藤原康教さん

「香木」とは樹木から採れる香料で、通常は伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)を指します。

一方、「香原料」は桂皮(けいひ)・大茴香(だいういきょう)・丁字(ちょうじ)などで、それぞれシナモン・八角・クローブと言い換えれば、私たちにもお馴染みのスパイスですね。

8種類の香原料

今回の体験では、白檀、大茴香、丁字、龍脳(りゅうのう)、桂皮など数種類の香原料を使って、藤原さんの指導のもと、調合しました。

調合すると互いを引き立て、優雅な香りに変化

8種の香りをそれぞれ嗅ぐと、どれもが個性的

8種の香りをそれぞれ嗅ぐと、どれもが個性的で、単独で「いい香り」と思えるものはあまりありません。

ベースになるのは白檀

そこに酸味や甘さを加えたり、沈静効果があるもの厚みを増すもの、まとめ役としてピントを合わせる役割を持つものなどを、匙で混ぜていきます。

“匙加減”とはよく言ったもので、ちょっとした増減で香りのバランスが変わります

龍脳をほんの少し足しました。

基本となるおすすめ比率を教わりながら、最後に自分らしさを出すために、少し調整

ちょっとした増減で香りのバランスが変わります

私はパチョリという呼び名でアロマでもよく使われる藿香(かっこう)と、「煩悩を消す」という藤原さんの言葉に反応して(笑)龍脳(りゅうのう)をほんの少し足しました。

好みの巾着袋を選んで匂ひ袋に、少量を紙に包んで文香に、残りは不織布に入れて持ち帰ります。

自分らしさを出すために、少し調整
好みの巾着袋を選んで匂ひ袋に

2021.09.26

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『çanoma』クリエイター 渡辺裕太(後編) 「彼らが”和”を想う理由」vol.1-2

息子が贈ってくれた「御所袋の匂ひ香」

山田松香木店

私が『山田松香木店』の香りに出合ったのは、2017年5月のこと。

誕生日に京都から届いた宅急便の箱を開けると、御所袋に入った匂ひ香が出てきました。当時、京都でひとり暮らししていた二十歳の息子からの贈り物

袋を抱いて、しばらくその雅な香りに浸りました。

御所袋に入った匂ひ香

翌年の5月に京都を訪れたときは「聞香体験のチケットがあるから一緒に行かない?」と誘われ、「源氏香体験」に参加しました。

『山田松香木店』の香りに出合った

5つの香木を聞き分けるのはとても難しく、息子も私も2つしか正解できませんでしたが、香りを聞く時間は優雅で、集中力が高まり、終わってお店を出た時には何か清々しい気持ちになったのを覚えています。

香りを聞く時間は優雅

贈り物の匂ひ袋は香りのもちがよいことに甘え、そのままになっていましたので、今回、詰め替え用の匂ひ香を求めました。これでまたしばらく楽しめます。

2021.04.06

インタビュー

香りを”聞く”ー 御家流香道講師 堀井暁蓉さん

和の香りの奥深さを日常にも

店内には宝石級の価格の伽羅や沈香の香木

店内には宝石級の価格の伽羅や沈香の香木もあり、鑑定も行っているとのこと。店名の「香木店」に、その矜持がにじみます。

一方で、和の香りを日常生活に取り入れるさまざまな取り組みや商品もあり、香りの体験を通して、より理解が深まります。

和の香りを日常生活に

我が家のお線香は、今、こちらの『華陽』です。私の名前が一文字入っているので求めましたが、すっかり朝の香りになりました。

我が家のお線香は、今、こちらの『華陽』

持ち帰ったお香は、便箋や封筒、葉書、名刺などと一緒に文箱に入れています

箱を開けるたびに、ふっと心が落ち着きます。洋の香水のようなパッとした華やかさや高揚感はないけれど、静かで奥ゆかしくクールな香りは、日本人の精神性にしっくりくるように感じます。

今日の着こなし

12月の京都は紅葉が散り、南座に上がる顔見世のまねきとともに師走の風情も極まります。

今日の着こなし

1年の最後の月、少し改まった装いで出かけました。

江戸小紋の着物は小宮康正さんによる『替り均通し』で、型は喜田寅蔵による道具彫り。紫味のある藍錆色と、ところどころよろけたような縞に惹かれました。

帯は『齊藤織物』

帯は『齊藤織物』の見本布を切り嵌めて作った名古屋帯。たくさんの端切れから好みのものを選び、仕立ててもらいました。

高貴な柄の唐織の袋帯は持つことはないですが、それらを切り嵌めた名古屋帯でしたら、気軽に締められます。ちょっと重めにしたいとき、重宝しています。

羽織紐と帯締めは『道明』

羽織は濃紺で地紋が入った色無地で作りました。羽織紐と帯締めはともに「道明」。笹浪組の帯締めは、浴衣本の出版祝いに友人から贈られたものです。

横見菊の刺繍が入った利休バッグは、日本刺繍作家の臼井美也子さんにオーダー。「面影」という銘をつけていただきました。

撮影/弥武江利子

2023.09.19

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有職組紐 道明(東京都台東区上野・組紐)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.6

2023.06.24

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道明が切り拓く日本の美の未来形 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.16

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