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和装小物の店『きねや』で学んだ、京都らしい色づかい 「京都できもの、きもので京都」vol.1

和装小物の店『きねや』で学んだ、京都らしい色づかい 「京都できもの、きもので京都」vol.1

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学生時代を京都で過ごした息子が誕生日に贈ってくれたのが、今日締めている苧環の帯締め。どうやら私が『きねや』に通っているのを覚えていて、女将の松下典子さんに相談して選んだということが後日わかりました。

よみもの

山崎陽子さんの前連載「つむぎみち」(全13回)はこちら!

6月の京都の静かさやしっとり感が好き

6月の京都

きもので京都に行き始めて10年が経ちます。

四季折々、それぞれの季節に合った支度で旅に出るのは、準備の段階からウキウキするものです。

きもので京都に行き始めて10年が経ちます。

6月は比較的人出が少なく、緑滴る景色が美しいこともあり、土砂降りの雨でなければ好きな時期。

今回は長く通っている和装小物の店『きねや』を訪ねました。

きもので京都に行き始めて10年が経ちます。

はんなりした色柄、帯周りの小物にときめいて

私が通い始めた頃はまだ河原町にあり、古い木の引き戸を開けると表の喧騒が嘘のように静かで、はんなりした色と柄が迎えてくれました。

表の喧騒が嘘のように静か

きもの初心者だった私は、そこで京都らしい色の効かせ方を教わりました。

京都らしい色の効かせ方を教わりました。

小物を同系色で馴染ませていた私に「こんな色も案外合わせやすいですよ」と、帯締めや帯揚げを提案してくださり、以来、赤味が入った帯揚げやセミフォーマルに使う帯締め、かわいい三分紐は、コーディネートの絶妙な隠し味になっています。

京都らしい色の効かせ方を教わりました。

息子が選んだ誕生日祝いの帯締めにびっくり!

学生時代を京都で過ごした息子が誕生日に贈ってくれたのが、今日締めている苧環(おだまき)の帯締めです。

苧環の帯締め

宅急便で送られてきた箱を開けたときの新鮮な驚き!

ピンクとラベンダーのコンビだなんて、絶対自分では選ばない色でした。

でも実際に締めてみるといいアクセントになり、細めの紐が半幅帯にもぴったりで、初夏から夏にかけて特に活躍しています。

どうやら私が『きねや』に通っているのを覚えていて、女将の松下典子さんに相談して選んだということが後日わかりました。

その後、還暦のお祝いにと赤い帯揚げをもらいましたが、それもやはり『きねや』。すっかり女将さんとも顔馴染みになったようです。

女将と

女将の松下典子さんと。おすすめの紐や帯揚げを見せてもらうのも楽しい時間

千鳥の帯揚げ

夏の近江麻や千鳥が染められた絽の帯揚げなども愛用

涼やかな小物で、心おどる夏じたく

2019年に移転した富小路の店舗は広々として、商品も見やすくなりました。

「きねや」の小物

6月はたいてい麻の足袋を新調したり(今年は在庫がないようですが)、京都らしい夏の帯揚げや三分紐を選びにいきます。

2階の仕事場では、職人さんがちょうど絽の帯揚げに型染めを施しているところでした。作って売る、その距離の近さにも和まされました。

職人さんがちょうど絽の帯揚げに型染めを施している

『きねや』はご主人・松下佳憲さんの祖父様が刺繍作家で、終戦の日に河原町に店を設立。先斗町が近いこともあって、芸妓さんのお客様も多いそう。

きねや

そんな出自を伺うと、なるほどと納得し、ますます気持ちが上がります。

京好みの色と柄は私の引き出しのなかで、思い出とともに輝いています。

「きねや」の小物

さまざまな用途に合わせて豊富に揃う品揃えは圧巻

「きねや」の小物

帯締め、帯揚げ、三分紐、帯留め、根付けなどの帯周りの小物のほか、バッグや髪飾り、足袋なども

ミニサイズのバッグ

洋服にも持てるリントン・ツイードのミニバッグは隠れた名品

「きねや」の小物

”うなぎの寝床”な店舗を探索するのも楽しい

「京都きもの市場」のサイトにも素敵な小物がセレクトされています。

絞りの綿麻浴衣を単衣風に着て、気軽な街着に

雪花絞りの綿麻浴衣を単衣風の着こなしで

暑い日も雨が降る日もある6月の旅は、雪花絞りの綿麻浴衣を単衣風の着こなしで。

比較的しっかりした備長炭入りの綿麻の生地は、梅雨どきのしっとりした空気感に似合います。麻の半衿をつけた夏の長襦袢に重ねて着ると体感的にもちょうどよく、街着として活躍します。

帯は博多織の小袋で、菱文様と藤の花のリバーシブル。今日は菱形を表にして、吉弥結びにしました。

今日は菱形を表にして、吉弥結びに

帯締めは『きねや』の細めの紐で、ピンクとラベンダーの端は苧環になっています。横から見たときの苧環の表情がなんとも可愛くて。

今日は菱形を表にして、吉弥結びに
手編みのバッグは「yunahica」のリネンヤーン

手編みのバッグは『yunahica』のリネンヤーン、シナ布の木草履は、夏のお出かけ用。

足袋は『きねや』でリピートしている麻素材。梅雨も気持ちよく過ごせるコーディネートです。

撮影/弥武江利子

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