着物・和・京都に関する情報ならきものと

『ヽや(ちょぼや)』3代目・櫻井功一さん(後編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.12(最終回)

『ヽや(ちょぼや)』3代目・櫻井功一さん(後編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.12(最終回)

記事を共有する

紗月さんが祇園の花見小路に店を構える履物屋さん『ヽや(ちょぼや)』を訪問。3代目店主の櫻井功一さんに草履作りを実演してもらいました!今回は最後に大事なお知らせもございます。紗月さんのオフショットにもご注目ください♪

2024.02.28

まなぶ

『ヽや(ちょぼや)』 3代目・櫻井功一さん(前編) 【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.11

『ちょぼや』3代目店主が草履作りを実演!

『ちょぼや』3代目・櫻井功一さんと紗月さん

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

「紗月がみつけた!和の新風」は伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

紗月さんが訪れたのは、祇園で1954年から70年愛される履物屋『ヽや(ちょぼや)』

草履作りを実演してくれた櫻井さん

草履や下駄、舞妓さんが履く“おこぼ”も取り揃えた『ちょぼや』で、紗月さんも現役時代にお世話になった3代目店主の櫻井功一さんにお話を伺いました

祇園・花見小路にある『ちょぼや』

どうぞ最後までお付き合いください!

履き心地が抜群な『ちょぼや』の草履ができるまで

見た目の美しさはもちろんのこと、履き心地の良さが評判な『ちょぼや』の草履はどういう風に作られているのでしょうか。

今回は特別に、櫻井さんが草履作りを実演してくださいました。

櫻井さんはソールに鼻緒を挿げる最後の作業を担当

草履作りも京友禅などと同じく分業制となり、職人さんが作ってくれたソールに鼻緒を挿げるのが櫻井さんの役目です。

コルクでできた土台にエナメル加工の牛革や豚皮を巻いたら手前のソールになる

コルクでできた土台にエナメル加工の牛革を巻いたら手前のソールになる

いわば、最後の仕上げを担当する櫻井さん。緊張はしないとのことですが、履き心地はこの“挿げ(すげ)”にかかっているため、責任は重大です。

土台の材質はコルク。そこにエナメルでコーティングした牛革を巻きつけたものがソール部分になります。

ソールに鼻緒を挿げるための穴を開ける櫻井さん

ソールに鼻緒を挿げるための穴を開ける櫻井さん

ここに鼻緒を挿げるための穴を開けるのが最初の作業。櫻井さんは2代目の店主だったお父様から譲り受けた、ピックのような専用の道具で穴を開けていきます。

作業に見入る紗月さん

作業に見入る紗月さん

穴を開けたら鼻緒の後緒を通し、後ろで結びます。

鼻緒の後緒を結んで固定していきます

鼻緒の後緒を結んで固定していきます

一人ひとりの足にフィットするよう、サイズや形を考慮しながら、結んでいく櫻井さん。リピーターが多く、長年愛されているのも頷けます。

これが結構な力仕事なのだそう

これが結構な力仕事なのだそう

お父様からお店を受け継いでから10年。今では、道行く人の草履のつくりや色を見れば、「あ、これはうちのだな」とすぐに分かるのだとか。

それは“おこぼ”も同じ。

紗月さんは舞妓デビューして最初の十三参りの時にはじめておこぼを履きました。おこぼを履くのが、舞妓さんになりたかった一つの理由だったという紗月さん。

何度も履くと後ろのゴムの部分が少しずつすり減っていくため、自分たちで取り換えていたのだとか!

ゴムがすり減ったら自分で取り換えていたという紗月さん

「ハイ集合!ってみんなで草履の裏を見せ合って、『これは換えなあかんな』ってカンカンやってました」

と、紗月さんは当時の思い出を振り返ります。早めにゴムを取り替えないと土台の部分が傷ついてしまうのです。

商売する側としては草履を早めに新調して欲しいので、「僕らはゴムは換えたらあかんっていうんですよ」と櫻井さんはニヤリ(ユーモラスな櫻井さんならではのご冗談です!)。

新品の草履はこんなにもピカピカ

新品の草履はこんなにもピカピカ

そうこうしているうちに、草履が完成しました!新品の草履だからピカピカのツルツルです。

「いろんな種類の草履があるんですが、ほぼ手作業でないと作れないと思います」

と櫻井さん。一つひとつ手作業だからこそ感じられる温もりや履き心地の良さが、『ちょぼや』の草履にはあります。

紗月さんも実際に目にするのは初めての、貴重な工程を見せていただきました。

草履文化を絶やさないための新たな挑戦

「櫻井さんにとって草履とは?」の答えを色紙に書く櫻井さん

最後に、「櫻井さんにとって草履とは?」について伺いました。

櫻井さんが色紙に書いた言葉は……

草履は櫻井さんの「人生」の一部

達筆な字で大きく「人生」の二文字を書いてくださった櫻井さん

そこには、初代から継承されてきた草履あってこその自分、という思いがあります。

「初代から継承されてきた草履を、花街がある限りはこの場所に座り、みなさんに助けてもらいながら、また僕も助けながらお互い繁栄していきたいなと思っています」(櫻井さん)

櫻井さんは草履を履く文化を絶やさないため、これからは着物だけではなく洋服にも合わせられるような草履も生み出していきたいと思っているそう。

櫻井さんにインタビュー中の紗月さん

熱心に耳を傾ける紗月さん

手はじめの一つとして、数年前に櫻井さんはお店の草履箱を新しくしました

それがこちら!

新しくなった『ちょぼや』の草履箱

奥様と娘さんが選んだピンクの箱が、女性客から「可愛い」と評判なのだそうです。

この箱に変わった時に代替わりを実感したという紗月さんも、この可愛らしい見た目がお気に入り。歴代の草履箱も自宅に積んで保管しているといいます。

『ちょぼや』包装紙

包装紙は一転、粋なムード

一方で「包装紙も、もう70年同じのを使ってるので……」と櫻井さんが話し始めると、「これは換えんといてほしい!(笑)」と紗月さん。

「『これ届いてるよ~』と言われた時にこの紙袋が置いてあると『ちょぼやさんや!どんなんやろ!』ってワクワクドキドキするんですよ」

という紗月さんの言葉に、櫻井さんは感激した様子。

「そんなん言われると涙が出てくる……」と言う櫻井さんに、「出てない出てない!」と紗月さんがすかさずツッコミを入れる光景に、スタッフ一同も大爆笑。

櫻井さんと紗月さん

気心知れた櫻井さんと紗月さん

櫻井さん、この度はお忙しい中、ありがとうございました。これからも草履をどんどん広めていってください!

そして、最後にみなさまに大事なお知らせです。

今回で全12回の「紗月がみつけた!和の新風」は最終回となりました。一年間の連載にお付き合いくださり、感謝いたします!

2024年4月からは内容を一新。ちょっと驚くお知らせがあるかも?ですので、また来月からもどうぞお楽しみに!

4月からは新連載をスタート!

紗月さんファン必見!オフショット

店内には初代と2代目の写真が飾られています

店内には初代と2代目の写真が飾られています

草履を作る工程は初めて見る紗月さん。改めて驚きがいっぱいでした

草履を作る工程は初めて見る紗月さん。あらためて驚きがいっぱいでした

櫻井さんの職人技を目の前で見れるのは大変貴重!

櫻井さんが目の前で職人技を披露

作業中もユーモアのある櫻井さんのトークに紗月さんも常に笑顔です

作業中も、ユーモアのある櫻井さんのトークに紗月さんも常に笑顔です!

新品の草履に思わず感激

新品の草履に思わず感激

ピンクの草履箱は紗月さんもお気に入りです

ピンクの草履箱は紗月さんもお気に入り

櫻井さんの足袋がオシャレだったのでパシャり

櫻井さんの足袋がオシャレだったのでパシャリ

力強い2文字を書いてくださいました!

力強い2文字を書いてくださいました!達筆!

最後にツーショットをお届け。とっても楽しい撮影になりました

最後にツーショットをお届け。とっても楽しい撮影になりました

また新連載でお会いしましょう!

また新連載でお会いしましょう!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

CATEGORYカテゴリー

記事を共有する