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『五辻の昆布』五代目・久世章斗さん(後編)【YouTube連動・体験編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.6

『五辻の昆布』五代目・久世章斗さん(後編)【YouTube連動・体験編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.6

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老舗昆布屋『五辻の昆布』の五代目・久世章斗さんが2023年5月に昆布と麺のお店『喜一』をオープン!昆布の出汁を使ったラーメンや水出しのテイスティングなど、貴重な体験をレポートします。バーさながらの雰囲気を味わった紗月さんのオフショットも!

2023.08.30

まなぶ

『五辻の昆布』五代目・久世章斗さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.5

昆布屋さんが作ったこだわりのラーメンを実食

『五辻の昆布』本店のショップにて

『五辻の昆布』本店のショップにて

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

「紗月がみつけた!和の新風」は伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

前回よりお話を伺っているのは、京都の老舗昆布屋『五辻の昆布』の5代目・久世章斗さん

10数年前に先代の後を継ぎ、昆布の美味しさを広めるべく活動されています。

『五辻の昆布』の5代目・久世章斗さん

『五辻の昆布』の5代目・久世章斗さん

そんな久世さんが今年5月に、京都市の千本今出川にある本店の2階にオープンさせたのが”昆布と麺のお店『喜一』”

昆布と麺のお店『喜一』

昆布と麺のお店『喜一』

店内では、昆布ダシが効いたラーメンや、ワイングラスで昆布の水出しをいただくことができるのだとか。

どんな味わいなのか早速、紗月さんに食レポしていただきます!

3種類の昆布を水出しでテイスティング

お土産用に京都の絵柄をパッケージに取り入れたり、おやつとして手軽に食べられるハート型の昆布を作ったりと、昆布普及の間口を広げた3代目・喜一さん

そんな喜一さんのお孫さんにあたるのが、5代目である久世さんです。

久世さん

先々代のように、昆布とのかけがえのない出会いを提供したい。そんな想いのもと、久世さんは昆布と麺のお店『喜一』をオープンさせました。

柔らかい光が差し込む店内

「一つのものにこだわる」をコンセプトに昆布はもちろん、内装にもこだわった久世さん。

コンクリート打ちっぱなしのスタイリッシュな店内には、6mにも及ぶ国産の栃の木を使った一枚板のカウンターが。

この日、紗月さんの目の前に並ぶのは3脚のワイングラス

テイスティングに使用するワイングラス

しかし、いただくのはワインではありません。“昆布の試飲”用なのです。

昆布の見せ方にもこだわりが!お洒落なインテリアにしか見えません

昆布の見せ方にもこだわりが!お洒落なインテリアにしか見えません

真昆布(まこんぶ)・羅臼昆布(らうすこんぶ)・利尻昆布(りしりこんぶ)の3種類の昆布を撮影前日の夕方から水につけ、一晩寝かせたものを色と味と香りの違いに注目しながらテイスティング

加熱は一切しておらず、砂糖や塩などの調味料も使用していないそう。

利尻昆布の香りをかぐ紗月さん

最初にいただくのは、利尻昆布の水出し。ワインのようにグラスを回し、まずは香りを確かめます。

「懐かしい香りがする」と紗月さん。口の中いっぱいに広がる利尻昆布の味で、中学生の頃に行った利尻島での海浜留学の思い出が蘇ったようです。

昆布漁が盛んな利尻島ですが、昆布干しが行われるのは夏の間だけ。あとの期間、漁師さんたちはひたすら昆布を選定されているそうで、紗月さんはダンボールに入った昆布を見るとその光景が浮かんでくるといいます。

お店に漂う昆布の香りも、紗月さんには覚えがありました。

ダンボールに包まれた利尻昆布
ワイングラスに昆布の水出しを注ぎます

続いては、函館の真昆布

その水出しは少しとろみがかっており、紗月さん曰く“海藻感”が強めとのことです。また、利尻とは違う甘みがあり、旨味がより出ると久世さんが解説してくださいました。

最後は、知床半島の南側にある羅臼町沿岸で採れる羅臼昆布の水出しです。

利尻昆布や真昆布よりも色が濃く、しっかりと味が感じられ、「うわぁ美味しい」と紗月さんも思わず感動していました。

羅臼昆布の水出しをテイスティング中

利尻昆布、真昆布、羅臼昆布の順番に味が濃くなるそうで、違いをより楽しめるテイスティングのようです。

昆布ごとのオススメの使い方を説明する久世さん

利尻昆布は上品で食材の味とぶつからないため、京都の料亭で好まれていると教えてくださる久世さん。真昆布は甘みが強いので、よく昆布締めに使われるそうです。

久世さんの解説を聞く紗月さん

一方、羅臼昆布は出汁に使うと色が出てしまうため、透明のおすましよりも、おでんや麺つゆなどに使用することを推奨していらっしゃいます。

実際にこちらで試飲してから、目的に合わせて昆布を購入するのもいいですね。

『五辻の昆布』のショップには、ご自宅用から贈答品まで幅広い商品がラインナップされています

『五辻の昆布』のショップには、ご自宅用から贈答品まで幅広い商品がラインナップ

削りたてのおぼろ昆布に紗月さんも感動!

鼻に抜ける昆布の香りで紗月さんが幸せになったところで、次の準備に取りかかる久世さん。

続いては、おぼろ昆布をいただくことに。

おぼろ昆布を作るにあたり、軍手をはめて準備

軍手をはめて準備する久世さん

今回はなんと、紗月さんの目の前で久世さん自ら昆布を削ってくださいます!

紗月さん、職人さん手削りのおぼろ昆布をいただくのは初めてだそう。カウンター越しのライブ感あふれるパフォーマンスにドキドキが止まりません!

特注で作ってもらったという、昆布を挟む機材

特注で作ってもらったという、昆布を挟む機材

通常はお酢で湿らせて柔らかくした昆布を足袋で踏み、片方の手で引っ張りながら、包丁で削っていくのが“おぼろ昆布”。

ですが、「お客さんにもっと身近に感じてほしい」と久世さんは昆布を挟む機材を特注で作りました。見た目がゴールドで高級感があり、スペシャル感も増します。

それに昆布を挟み、幅の太い包丁で久世さんが手早く昆布を削っていくと……あっという間にふわふわのおぼろ昆布が出来上がっていきます。

久世さんが目の前で昆布を削っていきます

裏表削り、残りの白くなった昆布は「白板」と言い、鯖寿司を巻く用にお寿司屋さんなどで使われるそうです。

白くなった昆布は鯖寿司を巻くのに使われる

「昆布って捨てることがないんですよね」と久世さん。万能で一切無駄がない昆布の魅力をひしひしと感じました。

久世さんが削ったおぼろ昆布をいただきます

久世さんが削ったおぼろ昆布をいただきます

それでは早速、久世さんが削ってくれたおぼろ昆布をいただきましょう。醸造酢で柔らかくしただけの昆布本来の旨味を味わうことができます。

手触りはふわふわ、口に入れると滑らかでしっとりとした食感が伝わってくるおぼろ昆布。

噛めば噛むほど感じられる旨味を紗月さんもしっかりと味わいました。

『喜一』のラーメンにはおぼろ昆布の他、チャーシューと筍もトッピングされている

『喜一』のラーメンにはおぼろ昆布の他、チャーシューと筍もトッピングされている

昆布の水出しとおぼろ昆布をいただいた後は、昆布で出汁をとったラーメンを実食。

透き通るようなスープには醤油や香味油などを一切使っていないそう。

代わりに京都の老舗豆腐屋『とようけ屋山本』のお揚げを使っており、あっさりとした昆布出しの中に深いコクを感じることができます。

熱々のラーメンをふーふーしながら食べる紗月さん

麺にもこだわっており、全粒粉でお蕎麦にいただく感覚にも近い『喜一』のラーメン。トッピングのおぼろ昆布で満腹感も得られるそう。

ビシッとエプロンを着こなす久世さん

そんな唯一無二のラーメンを作るために、久世さんは一年という時間を費やしました。

有名なラーメン店や料理人からもアドバイスを受けたという久世さん。そこには昆布の美味しさを多くの人に知ってもらいたいという強い思いがあります。

人生

そんな久世さんにとって昆布とは、”人生”

「消費者の昆布離れもありますし、現役でいる限りは昆布の魅力を発信し続けて次につなげていきたい」と、取材の最後に決意を語ってくださいました。

紗月さんと久世さん

今回の訪問を終え、「カウンター越しに昆布のことを色々お話しされている久世さんはとてもキラキラしていて輝いていました。次はプライベートでも寄せてもらいます」と紗月さん。

次回はどんな訪問が待っているのでしょうか。今後も乞うご期待です!

紗月さんファン必見!オフショット

暖簾からちらり。今回の訪問も楽しみです

暖簾からちらり。今回の訪問も楽しみです

趣のある外観とはまたイメージがガラリと変わり、おしゃれなバーのような雰囲気に驚き!

趣のある外観とはまたイメージがガラリと変わり、おしゃれなバーのような雰囲気に驚き!

懐かしい利尻昆布の香りで中学時代を思い出す紗月さん

懐かしい利尻昆布の香りで中学時代を思い出す紗月さん

目の前で出来上がっていくおぼろ昆布に釘付けです!

目の前で出来上がっていくおぼろ昆布に釘付けです!

ふわふわのおぼろ昆布を味わいました

ふわふわのおぼろ昆布を味わいました

キリッとエプロンを着こなす久世さん

キリッとエプロンを着こなす久世さん

ラーメンの美味しさに紗月さんも思わずこの笑顔

ラーメンの美味しさに紗月さんも思わずこの笑顔

久世さんとの写真撮影でも楽しげな雰囲気が漂っています

カウンター内にお邪魔して……

ショップには商品がたくさんあり、何にしようか迷ってしまいます!

取材終わりには、紗月さんも”リアルお買い物”!撮影クルーも一緒になって楽しみました

昆布の味を楽しめる料理を提供してくださった久世さん、ありがとうございました!

昆布の味を楽しめる料理を提供してくださった久世さん、ありがとうございました!

皆さんも京都にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください♪

みなさんも京都にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください♪

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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