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黒染屋 柊屋新七 5代目 馬場麻紀さん (後編)【YouTube連動・体験編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.4

黒染屋 柊屋新七 5代目 馬場麻紀さん (後編)【YouTube連動・体験編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.4

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京黒染の老舗『馬場染工業』さん。5代目・馬場麻紀さんに教えていただきながら、紗月さんが『花個紋』体験に挑戦しました!6代目となる馬場さんの息子さんにもお話を伺っています。

2023.06.26

まなぶ

黒染屋 柊屋新七 5代目 馬場麻紀さん【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.3

修学旅行生にも大人気の『花個紋』体験とは?

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

紗月さん

撮影/松尾カニタ

「紗月がみつけた!和の新風」は伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画。

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

明治3年の創業以来150年以上、京都の柳水町を拠点に黒染め一筋でやってきた『馬場染工業』さん。

そこで黒紋付染の伝統を守りながらも、時代に合わせて洋服の黒染めも請け負っている“五代目柊屋新七”こと、馬場麻紀さんにお話を伺っています。

『馬場染工業』の5代目・馬場麻紀さん

『馬場染工業』5代目・馬場麻紀さん

割烹着を着せてもらう紗月さん

割烹着を着せてもらう紗月さん

今回はそんな馬場さんが力を入れる『花個紋』体験に、紗月さんが臨みました。

割烹着を着て気合十分!

紗月さんの奮闘をご覧ください。

型染めは一発勝負!緊張の花個紋体験

366日を四季折々の花であらわした花個紋

366日を四季折々の花であらわした『花個紋』

『花個紋(はなこもん)』とは、四季折々の花々を「紋」にあらわした、366日(※閏年の2月29日を含む)のバースデーシンボル。

「家紋をもっと身近に感じてほしい」との思いから、馬場さんが考案しました。

留袖や喪服など、礼装の着物には、

・背の中央
・両袖の後ろ
・両胸

の五か所に家紋を入れるのが一般的。家紋は先祖代々伝わってきた、自らの家系をあらわす大切なシンボルですが、実は「ご自身の家紋を知らない」という方も今は多いのではないでしょうか。

割烹着で花個紋体験に臨む紗月さん

割烹着で花個紋体験に臨む紗月さん

自分の家紋を知らない人が増えている……

黒染めを通してそのことを実感した馬場さん。そこで少しでも家紋に興味を持ってもらうことで文化の継承ができたらと、花個紋体験を始めたのです。

そして今では手軽にできる体験として、修学旅行生などに大人気だそう。そんな花個紋体験に紗月さんが挑戦します!

黒巾着の好きな場所に花個紋を入れることが可能

黒巾着の好きな場所に花個紋を入れることが可能

今回は、黒の巾着に、自身の花個紋を型染めしていきます。

花個紋を入れる場所は自由!

まずはどこに入れたいかを決めたら、そこに上から型を重ねます。

失敗しないようにシミュレーションを重ねる紗月さん

失敗しないようにシミュレーションを重ねる紗月さん

「これは一発勝負になります。でも、真剣に話を聞いていただけたら失敗しません!」

馬場さんの言葉に思わず背筋が伸びます。

塗料をヘラにとっていきます

塗料をヘラにとっていきます

なんとしてでも、綺麗に染めたい紗月さん。馬場さんにコツを教えていただきながら、念入りにシミュレーションを重ねました。

馬場さんに教えてもらい、今度は自分で挑戦

馬場さんに教えてもらい、今度は自分で挑戦

イメージができたら、今度はヘラの先に塗料を載せていきます。ポイントは「かまぼこ」のように、バランスよく量を載せて形を整えること。

あとはいよいよ型の上から塗料を引いていくだけです!

ついに本番。紗月さんも緊張の表情

ついに本番。紗月さんも緊張の表情

緊張の瞬間!

先ほど馬場さんに教えていただいたように、ヘラを90度から斜め45度にしてスーッと手前に引いていきます。

手に入れる力は強すぎず、弱すぎず。この加減が意外に難しいのです。

最後は塗料を掬い取るように

最後は塗料を掬い取るように

最後はヘラを反対側に折り返して、残りの塗料を掬い取るイメージで。

さて、出来上がりのほどはいかに……!

恐る恐る型を外す紗月さん

恐る恐る型を外す紗月さん

やったー!大成功です!

花個紋が綺麗に入って紗月さん大興奮!

花個紋が綺麗に入って紗月さん大興奮!

恐る恐る型を外した紗月さんですが、完成品を見て大興奮。どこも欠けることなく、ムラもなく、綺麗に花個紋が入りました。

「学生時代なかなかもらえなかった100点頂きました!」と嬉しそうな表情です

「学生時代なかなかもらえなかった100点頂きました!」と嬉しそうな表情

「いい感じの力加減でした。100点です!」

と馬場さんからもお褒めの言葉をいただき、ますます喜びが募ります。

7月25日に生まれた紗月さんの花個紋は『丸に緋衣草(まるにひごろもそう)』。

それぞれの花個紋には、花がもつ性質や文化的意味から連想された“個意ことば”が添えられており、緋衣草は「正義」となっています。

花個紋にはそれぞれの“個意ことば”が添えられています

馬場さんからいただいた用紙には、

「他人を助ける心を持ち、世の中を変えていくことができる人」

と書かれていました。インタビューを通して、日本の文化を担う人たちの声を届けている紗月さんにぴったりの言葉ですね!

黒染めで人々の笑顔を引き立てたい

6代目である息子の健悟さんにも、あらためてお話を伺うことができました。

左から紗月さん、馬場さん、息子の健悟さん

左から紗月さん、馬場さん、息子の健悟さん

健悟さんにとってお母さんはどのような存在なのでしょうか。少し照れながらも健悟さんはこう答えてくださいました。

「僕にとっての親というのは、コンパスのように先を標してくれるような存在だと思っています」

普段はなかなか聞けない健悟さんの言葉に馬場さんも思わず笑顔に

なんと、素敵なお言葉でしょう。

さらに、健悟さんは「6代目としてここを守って行こうという心は決まっていますか?」という質問に「決まっています」と即答!

なかなか聞けない息子さんの本音に、馬場さんも思わず笑みがあふれます。うれし恥ずかし、とっても心温まる親子の姿を見せていただきました。

お母様である馬場さんの前で決意を語る健悟さん

黒紋付で健悟さんが魅力に感じているのは、前回も馬場さんが教えてくださったように家族や親戚、ご先祖様を表す五つの家紋が入っているところ。

ご先祖さんたちの想いをちゃんと引き継いで伝えていく家紋のように、家業である黒染めを引き継いでいきたいと健悟さんは決意を語ってくださいました。

馬場さんにとって、黒染めとは

馬場さんにとって、黒染めとは

そんな健悟さんとともに、京都の「黒染め」という文化を後世に伝えるべく奮闘されている馬場さん。

ご自身にとって、黒染めとは一体何なのか。その思いを色紙にしたためていただきます。

「黒笑」と書かれた色紙

黒に笑いと書いて「黒笑(こくしょう)」。馬場さんが考えた造語です。

歌舞伎において、黒の衣装を身にまとい、目立たないように役者の演技や舞台の進行を助ける黒子。

他にもお顔を綺麗に見せたり、スカーフやネックレスの美しさを際立てたりと、黒は色んな場面で最高の引き立て役を担ってくれます。

「黒笑」という造語に込められた思いを語る馬場さん

そんな黒を使って人々の笑顔を引き立てたいという馬場さんの思いが「黒笑」という造語には込められていました。

「笑顔が一番なので、いろんな人の笑顔を見られるようにこれからも頑張って黒で染めていこうと思います」

黒紋付姿の写真を馬場さんにプレゼントする紗月さん

最後に紗月さんから、芸妓時代に撮影した黒紋付姿の写真を馬場さんにプレゼント!

紗月さんのサインとともに『馬場染工業』さんに飾られているはず。ぜひ体験に立ち寄った際にはご覧ください♪

馬場さんと息子の健悟さんと記念撮影

これからも馬場さんと健悟さんのご活躍をお祈りしています!ありがとうございました。

マスコットキャラクター『感謝くん』のステッカーをいただきました

マスコットキャラクター『感謝くん』のステッカーをいただきました

「黒紋付の世界はとても奥が深かった」と今回の体験を振り返る紗月さん。

「黒色といってもいろんな種類があったり、新たなことにチャレンジする馬場さんの姿勢にもすごく勇気付けられました。6代目である息子さんとも和気あいあい、楽しくお仕事されている姿もとても印象的でした!」

紗月さんファン必見!オフショット

撮影前の一幕。何やらスタッフさんとお話しされています

撮影前の一幕。何やらスタッフさんとお話しされています

お店の前で撮影中。間道ぼかしの小紋がとってもお似合いです

お店の前で撮影中。間道ぼかしの小紋がとってもお似合いです

今回は花個紋体験。着物が汚れないよう、カメラマンさんに割烹着を着せてもらいました!

今回は花個紋体験。着物が汚れないよう、カメラマンさんに割烹着を着せてもらいました!

一発勝負ゆえ失敗はできないので緊張しました

一発勝負ゆえ失敗はできないので緊張!

うまく染められてとっても嬉しそうな紗月さん

うまく染められてとっても嬉しそうな紗月さん

花個紋が綺麗に入った黒巾着とともに
お店に飾っていただくサインを書く紗月さん

お店に飾っていただくサインを書く紗月さん

その様子を馬場さんと健悟さんが撮影されています

その様子を馬場さんと健悟さんが撮影されています

写真をプレゼントしたらとっても喜んでくださいました!

写真をプレゼントしたらとっても喜んでくださいました!

紗月さんファンのみなさまもぜひお立ち寄りください

紗月さんファンのみなさまもぜひお立ち寄りください

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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