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茶師 山北祐士さん【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.1

茶師 山北祐士さん【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.1

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昨年めでたくママとなられた紗月さんの新連載がスタート!和の文化の発信地である京都で伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々にお話を伺います。記念すべき第一弾は茶師の山北祐士さんにインタビュー!山北さんは、取材翌日の大会で優勝も!オフショットとともにお楽しみください。

まなぶ

紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技

まなぶ

元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代

紗月さん復帰後初の新連載がスタート!

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画がスタート。

MCを務めるのは、祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんです。ご出産と育児でしばらくお休みされていましたが、この度、再び「きものと」に帰ってきてくれました!

そんな復帰第一回目の撮影で紗月さんが降り立ったのは……

日本緑茶発祥の地、京都・宇治田原(うじたわら)町。美しい茶畑や山々に囲まれた自然豊かなこの町で、世界に日本茶を広めるべく奮闘されている方にお話を伺います。

本編に移る前に、まずは恒例!紗月さんの装い紹介から。

紗月さんの全身スタイリング

信州の伝統工芸である上田紬は、女の子のママとなられた紗月さんのハッピーオーラに満ちたキレイ色。

そこに縹(はなだ:淡いブルー)、洗柿(あらいがき:赤味の薄オレンジ)、珊瑚朱(さんごしゅ:サーモン)などの多彩な彩りにて、細かな縞模様に織り上げられたおしゃれカジュアルな一枚です。

コーラルピンクの紬に加え、さらに春の訪れを感じさせるのが穏やかな青藤色の塩瀬帯。3月に撮影したため、紗月さんがセレクトしたのは先取りの桜模様でした。

流れるような桜の配置で後ろ姿がとっても映えますね。

お茶をイメージした帯締めをセレクト

また、今回は撮影の舞台に合わせて新緑や茶葉のグリーンを思わせる帯締めをコーディネート。

パッと周りが明るくなるようなスタイリングで……早速撮影に向かいましょう!

緑茶の町で育つも、お茶を飲む習慣がなかった幼少期

紗月さんが訪れたのは、宇治田原町の湯屋谷にある施設『宗円交遊庵やんたん』。

宇治田原町湯屋谷の観光交流施設『宗円交遊庵やんたん』

宇治田原町湯屋谷の観光交流施設『宗円交遊庵やんたん』

この施設は、地元住民の方が、江戸時代に緑茶の製法を開発し「日本緑茶の父」と呼ばれる永谷宗円(ながたにそうえん)ゆかりの地である湯屋谷を盛り上げるべく、共同製茶場跡をリノベーション。お茶を通じ、町を訪れた方をもてなす観光交流拠点施設として2018年6月にオープンさせたスポットです。

こんなに大きなお茶筅も!

こんなに大きなお茶筅も!!

落ち着いた空間でお茶はもちろん、手作りスイーツや地元の食材を使ったお食事がいただけたり、茶葉や特産品の購入、お茶に関する様々なプログラムに参加できます。

そんな施設で今回紗月さんがお話を伺うのは……

茶師(ちゃし)であり、日本茶の魅力を世界に発信する会社『Hokuzan』の代表を務める山北祐士(やまきたゆうじ)さんです。

茶師の山北祐士さん

茶師の山北祐士さん

山北さんは、まず「茶師(ちゃし)」という肩書きについて、

「実は明確な定義というものは存在しないのですが、僕が考える定義としては、お茶を目利きし、仕入れや焙煎加工という過程を経て自分のお店のお茶を作る人」

と語ります。

茶屋に所属して活動される方もいらっしゃいますが、山北さんの場合、現在はご自身のブランドを立ちあげて活動されています。

宇治田原町の茶畑

宇治田原町の茶畑

そんな山北さんが生まれ育ったこの宇治田原町は鎌倉時代から日本茶の栽培を続けてきたお茶の町。学校で茶摘みの授業があったり、お茶が出てくる蛇口があったりと、山北さんにとってもお茶は身近な存在でした。

しかし、普通のサラリーマン家庭で育った山北さんはある時まで全くお茶に興味がなかったそう。家には急須もなく、お茶を飲む習慣もなかったのだといいます。

必然と仕事の選択肢にも入ってはおらず、もともと海外で仕事がしたかった山北さんは、大学在学中にカルフォルニアへ留学。

海外で仕事がしたいという思いはさらに強まり、帰国後は商社に絞って就職活動を始めました。

山北さんのお話に耳を傾ける紗月さん

山北さんのお話に耳を傾ける紗月さん

自身の経歴を語る山北さん

そんななか、宇治田原町に隣接する滋賀県・信楽(しがらき)ご出身の商社の方と知り合います。

その方が、町の名産品である「狸の信楽焼き」を世界に広めたいと考えていることを知り、「地元のものを海外に持っていくという発想がおもしろい」と思った山北さん。

自然と頭に浮かんだのが慣れ親しんだ地元のお茶で、「これからはどんどんお茶を飲んでいこう」と思ったそうです。

山北さんの人生を変えた玉露を試飲

山北さんのお話を聞く紗月さん

世界にお茶の魅力を発信するためには、まず自分がその知識をつけなければならない。

そう思って参加したのが、宇治田原町で年に一度開催される「新茶まつり」。

ここで山北さんは、運命の出会いを果たすことになります。

施設では地域の歴史を感じさせる写真が飾られている

施設では地域の歴史を感じさせる写真が飾られている

それは、玉露。

宇治田原町に育ちながらも「新茶まつり」で生まれて初めて玉露を飲んだ山北さん。

口に含んだ瞬間にこれまで味わったことのない感動を覚え、「これは絶対、海外に持っていきたい!」と強く心に誓いました。

なんと今回、その山北さんの人生を変えた「玉露」を試飲させていただくことに。

玉露を淹れる山北さん

玉露を淹れる山北さん

お茶を淹れていただいている間、紗月さんが気になったのは「通常の緑茶」と「玉露」の違い。

山北さん曰く、茶葉が育つ木自体は同じですが、栽培の仕方で違いが出てくるのだとか。

玉露の茶葉

玉露の茶葉

茶葉は旨み成分であるアミノ酸を蓄えて成長しますが、そのアミノ酸が日光に当たると渋み成分のカテキンに変化するそう。

そのため、日光に当てれば当てるほど渋みが出てしまうのですが、玉露の場合は「覆い下栽培」という、日光を遮光しながら育てた茶葉を使うため、甘く旨みのあるお茶になるのです。

ゴールデンドロップと呼ばれる最後の一滴

さて、そうこうしている内にお茶が淹れ終わりました。

ゴールデンドロップと呼ばれるお茶の成分が詰まった最後の一滴までしっかりと湯呑みに注ぎ、いただきます!

玉露の香りに驚く紗月さん

玉露の香りに驚く紗月さん

香りを味わったのち、一口飲んだ瞬間「ん!?」と驚きの声を挙げる紗月さん。

「今までいただいた玉露より香りが強いし、お出汁をいただいているみたい!!」

と、その感動をうまく言語化していただきました。

旨み成分たっぷりの玉露に紗月さんも感動

旨み成分たっぷりの玉露に紗月さんも感動

さすがは山北さんの人生を変えただけあって、その後引く旨みに、紗月さんも感動が冷めやらない様子です。

玉露は、少量を淹れて飲む

玉露は、少量を淹れて飲む

ちなみに、量が少ないと思われるかもしれませんが、玉露の場合はこれが普通。

玉露にはアミノ酸やカフェインなど色々な成分が詰まった味の濃いお茶なので、あまりごくごく飲むものではないそう。

それよりも少量口の中に入れてゆったりと味わうのが、本来の楽しみ方。豊かな時間ですね!

お茶の大会で見事優勝!山北さんからのコメントも

山北さんと紗月さん

山北さんはこのお茶に出会った後、大手日本茶メーカーに就職。

そこで2年半ほど働いた後、より知識を深めるために京都府にある茶屋や茶問屋を6年間ほど渡り歩きながら、お茶の知識や経験、人脈を深めていったそうです。

湯呑みを見つめる紗月さん

その間、お茶の目利きを競う「京都府茶審査技術競技大会」にも参加。名だたる茶匠も参加した100人規模の大会で2014年、山北さんは見事2位に選ばれたのです。

山北さんの経歴に驚き!

山北さんの経歴に驚き!

その頃はまだ、本人もまさか自分が選ばれるとは思ってはいなかったそうで、その出来事が山北さんにとって、お茶を仕事にするひとつのターニングポイントになったといいます。

ちなみに、現在は「京都府茶審査技術」四段で現役の茶匠の中では2番目に位置する山北さん。

実はこの日はなんと、翌日に2023年の「京都府茶審査技術競技大会」を控えているというなかで今回の撮影に応じてくださいました。

「京都府茶審査技術競技大会」で見事優勝を果たした山北さん

そんな山北さんから後日、取材翌日の大会の結果を報告する動画が届きました。

なんと、山北さんは撮影翌日に行われた「第94回 京都府茶審査技術競技大会」で優勝!同時に、農林水産大臣賞も受賞したとのことだったのです!

「これからますます力を入れて頑張らないとなと思っています。あの日、パワーをいただいたのでこれからもよろしくお願いします!ありがとうございました」

という、うれしいお言葉もいただきました。

オリジナルブランドの日本茶を淹れる山北さん

オリジナルブランドの日本茶を淹れる山北さん

来月公開の後編では、そんな山北さんが展開するオリジナルブランドの日本茶を、紗月さんがいただきます。

どうぞお楽しみに!

紗月さんファン必見!オフショット

みなさまお待たせいたしました!紗月さんの新連載スタートです

みなさまお待たせいたしました!紗月さんの新連載スタートです

お母さんとなられた紗月さん、以前よりも凛々しくなられたような!

お母さんとなられた紗月さん、以前よりも凛々しくなられたような!

でもこの笑顔は健在!復帰後から周りの方を癒してらっしゃいました

でもこの笑顔は健在!復帰後から周りの方を癒してらっしゃいました

こちらも、変わらぬお茶目さが伺える一枚

こちらも、変わらぬお茶目さが伺える一枚

でも、お話を聞いている時は真剣です

でも、お話を聞いている時は真剣です

玉露をいただいた時には、あまりの旨みにびっくり!思わず笑みがこぼれます

玉露をいただいた時には、あまりの旨みにびっくり!思わず笑みがこぼれます

じっくりと口の中でお茶を味わう至福の時間

じっくりと口の中でお茶を味わう至福の時間

綺麗な空気を吸い込む紗月さん。本当に緑豊かな素敵な町でした

綺麗な空気を吸い込む紗月さん。本当に緑豊かな素敵な町でした

季節柄、雛人形も飾られています

撮影は3月。季節柄、雛人形も飾られています

山北さん、改めて「京都府茶審査技術競技大会」での優勝おめでとうございました!

山北さん、あらためて「京都府茶審査技術競技大会」での優勝おめでとうございました!

撮影/弥武江利子

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