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日本舞踊家 YÛKÔ FUJIMA 藤間裕凰さん(後編)「MariⅯaedaが訪ねる、パリで活躍する日本人」vol.8(最終回)

日本舞踊家 YÛKÔ FUJIMA 藤間裕凰さん(後編)「MariⅯaedaが訪ねる、パリで活躍する日本人」vol.8(最終回)

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パリではこの季節、シャンゼリゼ大通りをはじめとして街中に眩いばかりのイルミネーションが輝いています。連載最終回を飾っていただきますのは、パリを舞台に邁進中の日本舞踊家 YÛKÔ FUJIMA 藤間裕凰さんです。

2022.12.02

よみもの

日本舞踊家 YÛKÔ FUJIMA 藤間裕凰さん(前編)「MariⅯaedaが訪ねる、パリで活躍する日本人」vol.7

冬のパリより

みなさま、ごきげんよう。今年も早いもので残すところ数日となりました。御多忙の日々をお過ごしのことと存じます。

後編が始まります!

パリではこの季節、シャンゼリゼ大通りをはじめとして街中が眩いばかりのイルミネーションに輝いております。

さて、ルヴァロワ=ペレ市庁舎撮影協力のもと行われました藤間裕凰(ふじまゆうこう)さんへのインタビュー、後編をお届けいたします。

美しい市庁舎にて

インタビューの舞台となりましたのは、ルヴァロワ=ペレの美しい市庁舎。Belle Époque(ベルエポック:美しい時代)に建てられました。

市庁舎ルヴァロワ=ペレ

花壇と噴水に囲まれた美しい市庁舎

パリが繁栄した華やかな時代だけに、風格のある趣があります。ベルエポック時代には、ビザンチンやネオゴシック、アールヌーヴォー、アールデコとさまざまなスタイルの建築物がありますが、こちらはオスマン様式です。

この時代、パリでは万博も開催され、産業の発達とともに経済が豊かに発展した黄金期であり、当時の雰囲気が浮かび上がります。

アーチ型の天井には、豪華な装飾が施されて。

アーチ型の天井
壮大な大階段

ルヴァロワの紋章である蜜蜂や平和と希望の象徴を意味するヤシの葉のタピスリーが敷き詰められた大階段にて。

着姿がシーンにとても映えて、深い臙脂色の着物がひときわ深みを増しているようです。

パリで学ぶ日舞の所作

裕凰さんのこれまでのご経歴などにつきましては 前編でじっくりと伺いましたので、後編は野外に移動しまして、実践編とまいりましょう!

着物ファンのみなさまでしたらお分かりいただけると思うのですが、着物での撮影では、ポージングに実に苦戦するもの。

どのように立つべきなのか、手の位置はどうしたらよいか、また目線や表情など…悩み出したらきりがありません。

せっかくの裕凰さんへの取材ですので、日本の美の象徴とも言えます”日舞の所作”から学ぶ機会ともいたしましょう。

野外に移動します。

MariMaeda(以下、Mari)―――
日舞の経験のない私ですが、なんとか素敵なポージングをマスターしたいもの。日舞の動きやポーズにあらわれるしなやかで美しい所作は、どのようにして実現できるものでしょうか。

藤間裕凰さん(以下、裕凰さん)―――
日本舞踊は、常に「中腰」を維持しながらゆったりとした動きを取り、そのため普段あまり使わない筋肉や下半身を鍛えることができます。骨盤底筋が鍛えられることで下腹部が引き締められ姿勢も改善されますので、心身ともに美しく磨きをかけたい方におすすめです。

日舞の基本姿勢

・立った時に背筋を伸ばして頭のつむじが上に引っ張られるような意識で立つ。

・両肩甲骨を近付けるようにして胸を張り、両手は自然に身体の脇に下ろす。

・完全に真正面を向かず、右か左の肩を、どちらか引き気味にする。

パリ式の窓

中庭では、お囃子のように鳥たちの囀り声が聞こえてきます。

白い砂岩で造られた典型的なパリ式の窓には可憐な花々が設えられ、なんとも穏やかで清々しい風景。

裕凰さんのレクチャーを聞きながら、インナーマッスルや体感を鍛えるトレーニングジムを思い浮かべてしまいました。

中庭

和傘のポージング

和傘にはさまざまな種類がありますが、今回は、番傘のような大振りの傘でなく、日舞用の傘でのポージング・レッスンをさせていただきました。

和傘のポージング

この時のポージングでは、片方の肩を気持ちだけ少し落とすのですが、なかなかうまくいきません。

手の位置の指導。

番傘とは持ち手の位置も変わってきます。手の位置から、まさにマンツーマンの指導です。

優しく丁寧なご指導。
なかなか難しいものですね。
藤間先生のお手本

やはり、藤間先生のポージングはさすがのものです。

扇子のポージング

ぎこちないポージング

続いては扇子を持って。ぎこちない私の手の位置など、真剣にご指導下さいます。

扇子は竹でできている「骨」の部分の下部分を持ち、「要(かなめ)」の部分に親指があたるよう握ります。

扇子の握り方。
目線が決まらず難しい。

伸ばした手の中心に扇子をのせ、手を内へ返し、親指と他の指の間に扇子を握ります。親指と腕は一直線になるように。

日本舞踊のポージング「キマリ」には、「三つ首」と呼ばれる動きがあるそうです。

「左」の立ち姿時には、まず「右」を向いて(1)少し左に首をかしげてから(2)「右」に首をかしげつつ、やや上に視線を定めます(3)(※反対の場合も同様)。

私の感想としましては…

きちんと体験してみますとなかなかに難しいものであるということ。とりわけ目線の位置が自分ではなかなか決められませんでした。

藤間先生のお手本3

やはり、すっきりとかっこよく決まっていますね。

そのほかのTIPSも

こちらは、胸に引き寄せた扇子の持ち方。着物での撮影でマスターしたいポージングですね。

胸に引き寄せた扇子の持ち方
着物の姿に合うポージング。

着物の袖を持つだけでも、いつもと違う雰囲気の写真が撮れそうです。

いつもと違うものが撮れそう。
日本舞踊で最初に学ぶ「お辞儀」

「お辞儀」のしかたもご指導いただきました。

日本舞踊で最初に学ぶのがお辞儀ですが、相手に礼を尽くすことが一番重要だと考えられています。指先から爪先までの全身で感謝の気持ちを表現することで、それがまた日本の精神を理解しつつ心身の美しさを磨くことにも繋がるのだと実感いたしました。

ご指導ありがとうございました。

カフェにてのひととき

お店の方とご一緒に。

カフェのギャルソンとともに

市庁舎の近辺には、市庁舎を取り囲むように素敵なカフェやレストラン、ブティックが立ち並びます。

笑顔が素敵なお二人
藤間紋入りの扇子。

パリのカフェを着物で過ごすひととき、二人で扇子に見入りながら、話に花が咲きます。

話に花が咲きます。

裕凰さんがこちらの市庁舎にて結婚式を挙げられた時の思い出話にも…

その時の写真がこちら。

ウェディングドレスはMariMaedaにて制作させていただきました。

藤間先生の結婚式

目指すところは違えども、日本人として、海外の方々に日本のすばらしさや伝統文化を理解していただききたいという思いは同じ。

ファッション業界に生きてきた私には業界の友人が多く、異業種の方と知り合う機会がほとんどありませんでした。20代後半に思い切って渡仏し、同じ学び舎にて裕凰さんと出会ったこと、そして裕凰さんからもパリでの最初の友人が私だと言っていただけたことはなんとも光栄なことです。

二人の関係は、これからも永遠のものとなりそうです。

藤間裕凰さん後編

あとがき

二人の関係は、これからも永遠のもの

この一年、コロナ禍中にてみなさまの渡仏もままならないなか、少しでもパリの今をお伝えしたいと、こちらで活躍する日本人の方々にスポットをあててインタビュー記事を書かさせていただきました。

少しずつ海外との往来も復活しつつあるなか、来年は新企画として、パリにお越しになられた際にぜひ着物姿で訪れていただきたい、また体験していただきたい内容をご紹介していきます。

どうぞ、お楽しみにお待ちくださいませ。

撮影/助友利矢子

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