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ノスタルジーを感じる街並みへ 「きもので歩く台北 2022」vol.2

ノスタルジーを感じる街並みへ 「きもので歩く台北 2022」vol.2

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。 人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの第2回、あなたならどんな装いで愉しみますか?

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズのはじまりです!あなたならどんな装いで愉しみますか?

きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?

どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?

日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズの2回目です!

あなたならどんな装いで愉しみますか?

台湾の「問屋街」

大稲埕/迪化街

今回訪れたのは…

大稲埕(だいとうてい/ダーダオチェン)地区の迪化街(ディホァジェ)。

大稲埕(だいとうてい/ダーダオチェン)は、台北の中心の東側にあり、19世紀に開港するまでは穀物乾燥場だったそうです。しかし海外との貿易が始まると、漢方や茶葉・布地や米などの卸売りが集結して、経済、社会、文化の中心地として繁栄しました。

そして迪化街(ディホァジェ)は、かつての商業の中心地。縦に伸びる通りにはさまざまなお店が立ち並んでいます。

最寄り駅は大橋頭になりますが、中山駅からも歩いて行けます。

こちらは、ひとことでいうと「問屋街」。

日本での合羽橋やアメ横をイメージしてもらうと良いかもしれません。台湾で最初に発展し、中心地は移動してしまいましたが、何代も続く老舗の名残がそこかしこに見られます。

今はノスタルジーを感じる昔ながらの佇まいと、それを活かしたリノベーション術で、現代にマッチした観光するのにぴったりな街並みとなっています。

ノスタルジーを感じる佇まい

またこの地区には特徴のあるお洒落なカフェがたくさんありますので、お気に入りの一軒を探すのも楽しいと思います。

3年も続くコロナ禍で観光客の姿は見られなくなりましたが、地元の人にとって、調味料や乾物・お正月(春節)の支度をするのにかかせないお店が、静かにそこでの営みを続けています。

それぞれのきものコーディネート

この町を訪ねた日は、週末から突然気温が上がった月曜日のこと。最高気温は29度。すでに夏の陽気でした。

浴衣にするか、単衣にするか、夏きものにするか…

誰かと連れ立って出かける日のきものコーディネートは、事前に、お互いが着るきものの候補を大まかに話し合っておきます。

それぞれの体感温度は違いますし、好みも違いますから、無理に合わせる必要はないものの、あまりに布の厚みが違う(袷と薄物)、格が違うなどでは、お互いが一緒にいて落ち着かないのが本音です。

でもそれ以上に、コーディネートを相談し合う時間も、出かける前の楽しみのひとつではないでしょうか。

私は透け感が目立ちにくい夏紬に、リバーシブルの麻の半幅帯にしました。

夏紬
暑苦しくみえないように工夫

暑くて迷いましたが、グレイヘアへの移行中で、ちょうど美容室へ行く3日前というタイミングでしたので、ウィッグを装着しました。

暑苦しく見えないようウィッグもかぶりっぱなしにせず、片側に寄せピンでとめたりとアレンジをして。こういった工夫も楽しみのひとつです。

前回に引き続きお付き合いいただいたのは、台湾在住歴20年以上のゆりえさん。彼女は2年前に、私の着付け講座に生徒さんとして訪れてくれました。

爽やかなシャーベットグリーンの洗える単衣に、鮮やかなターコイズ×白のリバーシブル半幅帯。やはり麻素材でした。

センスも良く、すっかり着こなされていて毎回感動しています。

センスの良い、ゆりえさん
ゆりえさんと陳さんと。

もうお一方は、何度か私の「きものと」コラムでご登場いただいている陳さん。茶道と日舞師範の資格をお持ちの台湾人の方です。

竹柄の紗の夏きものに、猫の柄の半幅帯、そして自作の帯留めという出で立ち。

陳さんとプードル。

彼女は、出会った頃はロングヘア、一昨年はベリーショート、今年はプードルヘア(?)と、あまり髪型を変更しないイメージのある台湾人らしからぬ冒険心の持ち主です。

かつ、どんなヘアスタイルでもきものを着こなしてしまうので、毎回驚かされています。

1人ではさほど気にならない視線も、きもの姿が3人となると、さすがにすれ違う際に振りかえられたり、指を指されたりも…

海外できものを着て街歩きをする時には、目立つゆえ、できるだけ広がらずに歩くなどマナーにも充分気をつけたいですね。

マナーに気を付けて歩く

「布市場」でレース地を探す

レンガ造りの永楽市場

迪化街といえば、レンガ造りの「永楽市場」がまず目に飛び込んできます。

1階では野菜やお魚、お肉など生鮮食品を扱っていますが、2階にはありとあらゆる布を扱う小さなお店がひしめきあっています。

数回立ち寄っただけでは、同じ店に迷わず到着するのは難しい!というほど入り組んでいる布市場のフロア。

レースの布売り場

私たちのお目当ては、レースの布売り場です。

半衿や帯揚げ用に、レースを見ながらイメージが膨らむ瞬間。ゆりえさんは、羽織にするレースを何枚か購入されていました。

羽織にするレースを購入

ひとしきり思い思いの布やレースをゲットしたら、永楽市場を出て、次なるパワースポット(?)へ。

縁結びの寺廟へ

霞海城隍廟

永楽市場のすぐ横に、人気の廟(びょう:宗教建築)があります。

台湾には街の至るところに大小さまざまな寺廟があり、恋愛成就から家内安全、商売繁盛、学問成就など、すべてを網羅しています。

お参りが一か所でできるのも、その特徴と言えるでしょう。

霞海城隍廟(シヤーハイチェンホアンミャオ)は道教寺院で、主祭神は金運上昇や無病息災を司る神様である城隍爺。ですが、縁結びの神様として知られている月下老人も祭っていることから「恋愛成就」を願う女性に人気のスポットとなっているそうです。

獅子舞

3年前のお正月に私は偶然、こちらで獅子舞を見ることができました。台湾に来たばかりでしたので、とても感動したのを覚えています。

台湾の参拝の仕方

台湾人である陳さんも、台湾在住歴20年以上のゆりえさんも、参拝の正しいやり方はご存知なく(笑)。廟によっては表示してありますので、きちんと参拝したい方はぜひそちらをご参考になさってください。

2人によれば、台湾ではその家ごとに参拝する決まった寺廟があり、観光での寺院巡りをした経験はほぼないとのこと。ですが寺院を巡るバスツアーは旅行プランとして存在していますので、各家や人によるのかもしれません。

参拝の正しいやり方
お参りめいたことをしてしまいます。

私は日本に居る時から宗派関係なく、ふらりと寺院などに立ち寄るのが好きでしたので、大小様々な廟を見かけると、つい手を合わせたり、お参りめいたことをしてしまいます。

ノスタルジックなカフェと街並み

迪化街の魅力といえば、なんといっても「古さ」と「台湾らしさ」を感じられるところでしょう。

「騎樓」という、典型的な中国南方の建築様式であるアーケードも、レンガ造りで雰囲気があります。

迪化街のアーケード街

これは台湾のあらゆる場所で見られますが、建物の道路に面する1階部分が店舗で、それぞれの店前の歩道部分の敷地が、柱と屋根で半屋外になっていて、それが連続することで、屋根を持つ長い歩行空間となっているのです。

降水量が多く、太陽の日差しが強い台湾において、騎樓は快適な歩道…のはずですが、駐停車するバイクが多すぎたり激しい段差があるなど、必ずしも快適とは言えない場所も多くあるのが残念です。

歴史の名残がある建物

また見上げてみると、古い建物にあるレリーフ模様は、当時そのお店で扱っていたものをあらわしていたとか。

歴史の名残を探しながらの街歩きも楽しいものです。

迪化街にて買い物中

最も古い建物は、1851年築。今なおその形で営業しているのを見られるのも魅力のひとつです。

赤煉瓦造りの建物
林五湖故居(茶店 林さんの建物)
間口からの世界観は計り知れない。

赤煉瓦造りの建物は、奥にこんなに豊かな空間が広がっているとは想像もできないほど。

京都の町屋で感じた驚きと似ています。奥に奥に、中庭や母屋が広がり、間口からは計り知れない世界観があります。

古さを残しながらもモダンにリノベーションされた趣きのあるお店の数々、そのひとつひとつを見て歩くと、西洋でも日本でも中国でもなく、紛れもない「台湾スタイル」の建築様式を楽しめます。

カフェでひと休み
迪化半日の入口

こじんまりした入り口から、奥に緑豊かな空間の広がるカフェ「迪化半日」でひと休み。

趣きのあるお店の数々
緑豊かな空間

この数年で、残念ながら閉店したお店もありながら、新しいお店も誕生しています。

迪化街の古い街並みを、チャイナドレス姿で歩けるレンタル店も魅力的でした。

ランタン

永楽市場の向かい側にあるビジターセンターでも、チャイナドレスのレンタルができるようです。

時間の都合から今回は断念しましたが、台湾に居る間に一度は体験しようと、私は心に誓いました。

そして迪化街といえば、触れないわけにはいかないカゴ屋さん。

コロナ前は、在台の日本人の方と、日本人観光客であふれかえっていました。

高建桶店
高建桶店
カゴバックをゲット

もちろん私たちも例にもれず、和装に合う素敵なカゴバックをゲット。

何と、こちらのお若いご主人が1人にひとつずつ、大人気の漁師網バックをプレゼントして下さいました。

「一日も早く、また日本人観光客に戻ってきて欲しい」とのこと。

カゴバックをプレゼント!
プレゼント
★プレゼントご応募はページ末のご案内を参照ください。

今回は「きものと」より読者プレゼントもご用意していただきましたので、奮ってご応募くださいませ。

ひとやすみして埠頭へ

創業70年の老舗、日本の和菓子屋さん「滋養製菓」でひと休み。

実は私が台北で初めて訪れた和菓子屋さんがこちらでした。名物のいちご大福や最中など、日本と同じ美味しさで感動しました。

店頭のベンチで、一杯の台湾茶と最中をいただくひとときは、旅の疲れを一気に吹き飛ばしてくれます。

これで緋毛氈でもあれば、時代劇に出てくる茶屋のようですね。

慈養製菓

さいごは大稻埕の埠頭へ

大稻埕

街の東側の埠頭が「大稻埕(だいとうてい/ダーダオチェン)」。

清の時代、日本統治時代には、ここがお茶や木材が往来する貿易の港として栄えていたそうです。

今では犬を散歩させたり、海風を感じながらくつろいだり、静かな憩いの場であったり。

旧暦の七夕には花火大会も催されるロマンチックなデートスポットでもあります。

夕陽の柔らかな光

不思議なことに、環境美化のためなのか、この場所には飲み物や食べ物を売る屋台が一軒もなく、台湾とタイの違いを大いに感じました。

この埠頭から日本を含む世界各地に船が出ていた時代に想いを馳せながら…

こうして波の動きを見ていると、日本になかなか帰れないこの数年間がせつなく、少し目頭が熱くなりました。

雲の中に沈む夕陽の柔らかな光。それは、台湾の友人たちの優しさと同じように、私を包んでくれたようにも感じられました。

さて、また次回もきものでふらり…みなさまに台北をご紹介しますね。

読者プレゼントバック

◆ 読者プレゼント ◆

高建桶店さんの、大人気漁師網バックを抽選で3名様にプレゼントいたします。下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

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※応募期間:2022年5月22日(日)まで
※縦30cm(持ち手部分10cm)・横23cm・マチ5cm

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