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思い出深い2月のこと 「京都・祇園甲部芸妓、佳つ雛日記!」vol.11

思い出深い2月のこと 「京都・祇園甲部芸妓、佳つ雛日記!」vol.11

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2月は私にとってたくさん思い出のある忘れられない月です。 「見世出し」「お化け」「襟替え」「妹をひく」…などいろいろとありまして、その時の話をさせてもらいます。

立春を間近に春に向かう季節ですね。

まもなく立春を迎え、春に向かう季節がはじまりますね。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

2月は私にとってたくさん思い出のある忘れられない月です。
「見世出し」「お化け」「襟替え」「妹をひく」…などいろいろとありまして、その時の話をさせてもらいます。

雪降って”福振り込む”「見世出し」

10年前の2月は「見世出し」。
お天気は、晴れのち雪。

雪がちらついて、降ったりやんだりのなかのデビューどした。
宝尽くしの黒紋付を着せてもらい、両方に銀のビラの簪(かんざし)と鼈甲(べっこう)を。
髷(わげ)は、出たてさんならでは、小さい舞妓ちゃんの髪型割れしのぶ。

その後ろに「見送り」と言う銀の紙をさし、慣れないおこぼを履いて、まずはお家元さんのところへ寄せてもらいます。
続いてはお茶屋さんを約40件ほど。男衆(おとこし※)さんとまわります。

※男衆(おとこし)…芸舞妓の着付けおよび身の回りの世話をする男性。

4時間ほどかかります。

10年前の見世出しは、雪がちらついたなかのデビューどした。

そのときお茶屋さんのお母さんに言われたひとことが今でも心に残っていて、

「雪が降って寒いやろうけど、”降りこむ”いうのは縁起がええことやで。”福が振り込む”というんや」

とゆうてくれはりました。
その時とてもうれしくなり、これから舞妓としてやっていけるやろかという不安や緊張が、少しほどけたのを覚えてます。

花街の「お化け」、お節分

2月3日のお節分の日(今年は124年ぶりに2月2日が節分とのことですね!)、花街では「お化け」という、普段と違う格好をして鬼から身を守るという風習があります。

花街では節分の日を「お化け」といいます。
降りこむ言うのは、[福が振り込む]こと。

舞妓のころは髷(わげ)を変えることしかできひんのですが、芸妓になると、仮装してお茶屋さんをまわらしてもらいます!
舞妓のころには八坂さんでの奉納舞などにも出させていただき、豆撒きをさせてもうたりしました。

総絞りの衣装もとっても好きどした!

総絞りの衣裳
頭に梵天をつけておふくの後ろに鬼さん、おかめさんのお面!

頭には町娘風の梵天をつけ、おふくの後ろに鬼さん・おかめさんのお面をつけて遊んでました。

『必殺仕事人』で蝶々売りの詐欺師役を

芸妓になり、始めての仮装は「必殺仕事人」でした。

去年はじめて仮装をし『必殺仕事人』をさせてもらいました。
私は、蝶々売りの詐欺師役どす。

時事ネタをいれながら干支のネズミを使うなど、舞は花柳流のお師匠さんに教えてもらい、1月20日からお稽古をし、曲やセリフの構成などを決めていきます!
約10分くらいのネタを考えて、お茶屋さんや料理屋さん、あわせて60件ほどをまわり披露します。

普段と違う格好なので恥ずかしおしたが、なんとか役になりきり、羞恥心を捨ててがんばりました(笑)

今年は、この、当たり前にやっていた「お化け」もなく、また八坂神社での奉納舞もなく…
花街がにぎわうことがおへんどすが、これもみなさまの安全のためどす!

毎年の行事ごとが当たり前のようにできますように。
気をつけながら、乗り切りましょうね!
次回は「襟替え」と「妹の見出し」など紹介させてもらいます。

おおきに。

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