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色気を纏う男の浴衣 feat. 高橋大輔「きもの、着てみませんか?」vol.10-1

色気を纏う男の浴衣 feat. 高橋大輔「きもの、着てみませんか?」vol.10-1

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着物スタイリスト・薬真寺香さんによるスタイリング連載の第10弾。今回は、この連載が始まって以来初めての男性ゲスト。プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんをお招きして、「自由に愉しむ浴衣スタイル」をご提案しました。

2025.04.12

インタビュー

きもの、着てみませんか?

高橋大輔が纏う、自由に愉しむ浴衣スタイル

着物や和装以外の分野で活躍されている方が、着物スタイリスト・薬真寺 香さんの手ほどきにより、和装を体験しながらお話を伺う本連載。

ものまね女王と昭和にタイムスリップ! feat.清水ミチコ』に続き、ご登場いただいたのはプロフィギュアスケーターの高橋大輔さんです。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

2010年バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権優勝。2012年グランプリファイナル優勝など、「日本人男子初」を冠する受賞歴の数々。

さらに2025年7月に横浜アリーナで開催されるアイスショー『氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-』では演出を堤幸彦さん、音楽をSUGIZOさんが担当する中、増田貴久さんとダブル主演ということで注目を集めています。

またフルプロデュースを手がけるアイスショー『滑走屋』では、プレイヤーとしてだけでなく、若手スケーターの発掘や育成にも注力し、これまでにない氷上エンターテインメントを打ち出しています。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

さらなる活躍の場を広げている高橋さんに、薬真寺さんが提案したのは「自由に愉しむ浴衣スタイル」。

伝統的な文様を独自の視点で現代的にブラッシュアップし、性別を問わず自由に選べるデザインが人気の『西岡ペンシル』の浴衣をセレクトしました。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「おうちで過ごすのんびりしたひと時や、行きつけの場所で趣味を楽しむオフの日をイメージしてロケ場所や衣装を選びました。

花火大会やお祭りで着る浴衣も素敵なんですが、なんでもない日に気楽に着るからこそ味わえる心地よさがあると思っています。

高橋さんの、観るものをぐぐっと引き込むような眼差しや既存の枠を越える存在感と、なんでもない日ならではの風情が交差するさまを楽しんでいただけたら何よりです」(薬真寺)

高橋大輔さん修正

「滑走屋」の群舞のイメージで。金魚の尾鰭が舞う浴衣

まず薬真寺さんが選んだのは、金魚の尾鰭が敷き詰められた躍動感のある浴衣。鮮やかな赤と、色違いの黒を二枚重ねた印象的なスタイリングです。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

この柄をセレクトした背景には、高橋さんのあるアイスショーの印象から受けたインスピレーションがあったそうです。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「『滑走屋』での群舞を拝見して、グループで氷上を滑るさまが泳ぐ魚の群れのようで、さらに風を受けて翻る衣装が金魚の尾鰭のようで美しいなと感じたことが、すごく印象に残っていて。この浴衣はそのイメージで選びました」(薬真寺)

「すごい!ぴったりの浴衣を選んでいただけてうれしいです」(高橋さん)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

ブランドを象徴する人気の柄ですが、赤を男性が、黒を女性が選ぶこともかなり多いそう。大人で金魚柄はちょっと気恥ずかしいと感じる方も、尾鰭だけのデザインなら難なくチャレンジできそう。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

さらに光加減で花尽くしの模様が浮き立つ博多織の帯にも、一工夫がありました。

「八寸の兵児帯なのですが、三つ折りにして男性が使うのもOK、と打ち出されている汎用性が高い帯です。体格や好みにあわせて幅を微調整できるのも良いですね」(薬真寺)

涼感を届ける、雪華の浴衣

二つ目のコーディネートは、フィギュアスケートと親和性の高い雪の結晶が全面に配された浴衣。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「雪は冬の季語ではありますが、雪華柄の浴衣は定番で人気が高く、また帯留など小物で雪のモチーフを取り入れる夏のコーディネートも広く好まれています。雪の柄、雪の結晶をモチーフに遊ぶことで、涼感を誘うことができるんです。

日本の暑い夏を乗り切るための工夫、知恵の表れであり、江戸時代にはすでに庶民の着物に取り入れられていたとされています」(薬真寺)

高橋さんがこの日着た中で、一番着心地が気に入ったというこの一枚。

「普段から、シャツなどもテロンとした肌触りのものが好きなんです。この浴衣の柔らかい触り心地がとても好きでした」(高橋さん)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「こちらは『セオα』という東レ株式会社が開発した高機能素材が用いられた浴衣。汗をかいてもすぐ乾く、洗濯の後アイロン不要などの理由から、近年人気を博しています。さらにプリントはデジタル捺染にて、自由度の高い意匠が実現されています」(薬真寺)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

着心地だけでなく、コーディネートも気に入ったという高橋さんは、普段の洋服の選び方も振り返りました。

「洋服では、着崩れた感じのゆるっとしたものが好み。和装ってきちっとしなければいけないイメージがありましたが、リラックスできる感じがいいですね」(高橋さん)

「今日着ていただいた3パターンの中でも、特に”リラックス”を意識したスタイリングでした。インナーには袴のようなシルエットのパンツ(Ground Y)を合わせています」(薬真寺)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

足を開いて歩いても、ソファにごろりとくつろいでも、安心感のあるコーディネート。夏の浴衣だからこそ肩の力の抜けた着こなしです。

「こちらの『雪紋万華鏡』と、最後に登場する『花尽くし』の浴衣は、西岡ペンシルの2025年新作。ご厚意でこの撮影のために、高橋さんのサイズで仕立てていただきました。マイサイズで仕立てた浴衣は、余計な部分がないのでとにかく着付けがしやすい。着姿も美しくなるし着ていて楽なのでおすすめです」(薬真寺)

氷上の美しさを極める高橋さんを、つい目を奪う牡丹の花に喩えて

最後のコーディネートは、白と水色が涼しげな「花尽くし」。牡丹、菊、なでしこが大胆に咲き乱れる様子が描かれています。

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「花の中でも、菊がすごく好きなのでとてもうれしいです」(高橋さん)

「そうなんですね!喜んでいただけて何よりです。『花尽くし』という名にふさわしい、優雅で華やかな柄ですが、中でも一番大きく描かれているのが『島錦』という品種の牡丹。美しい縞模様が特徴で、昭和49年に島根県で偶然作出され、その後、生産者の方々が研究や工夫を重ねられて定着したお花なんだそうです」(薬真寺)

高橋大輔さん修正

「牡丹の中でも特に人気の品種で、牡丹好きでなくても誰もが振り返ると言われているんだとか。規格外の美しさや、つい目を奪われてしまうといった点が高橋さんのイメージにぴったりだなと感じました」(薬真寺)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「浅草『文扇堂』の手描き網目模様の扇子と、アンティークの煙草入れを合わせたスタイリング。行きつけのお店にふらりと遊びに来たような身軽さと小慣れ感を小物で表現しました」(薬真寺)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣
フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

着心地も軽やかで着やすいと、気に入った様子の高橋さん。「花結び」柄の白の角帯で締めた夏らしいコーディネートを、爽やかに着こなしてくださいました。

「こういった大胆な花柄の浴衣は女性はもちろんですが、男性にもとてもおすすめです。優雅で柔らかな雰囲気がある浴衣を纏うことで、シャープなカッコ良さ、強さがより際立ち、艶やかで凛とした夏姿が叶います」(薬真寺)

フィギュアスケーター・高橋大輔さんが纏う浴衣

「まもなく夏本番。今年は“なんでもない日の浴衣”、“リラックスした浴衣”でいつも以上に楽しんでいただけたら何よりです。」(薬真寺)

公演情報

2025年7月5日~7日に横浜アリーナにて開催される、「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」に高橋大輔さんが出演されます。

©氷艶hyoen2025

©氷艶hyoen2025

チケットなど詳細はこちらのサイトをご参照ください。

浴衣「金魚」「雪紋万華鏡」西岡ペンシル
浴衣と帯「花尽くし」西岡ペンシル × KAPUKI

ヘアメイク/宇田川恵司
構成・文/山本梨央 dejane_rio
撮影/坂本陽 minami.camera
ディレクション・スタイリング・着付け/薬真寺 香 ___mameka_

※下駄、シルバー雪駄、扇子、煙草入れ、サークルパンツはスタイリスト私物

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