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着物好きで知られる東山アキコさんの自伝的エッセイが映画化!『かくかくしかじか』 「きもの de シネマ」vol.64

着物好きで知られる東山アキコさんの自伝的エッセイが映画化!『かくかくしかじか』 「きもの de シネマ」vol.64

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。今回注目するのは、人気漫画家・東村アキコさんの自叙伝的代表作『かくかくしかじか』の実写化作品です。

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2025.04.05

よみもの

武家の妻の矜持を描く本格時代劇『陽が落ちる』 「きもの de シネマ」vol.63

人気漫画家と恩師が重ねた9年間の物語

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

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原作となった傑作漫画『かくかくしかじか』は、作者である人気漫画家・東村アキコさんが泣きながら描いたという不朽の名作。

生まれ育った宮崎、大学進学で移住した石川、漫画家として生活する東京の3都市を舞台に、彼女の人生を変えた恩師とのかけがえのない9年間の日々を描きます。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

漫画家になりたいという夢を持ちつつも、これといって努力も挑戦もしないでぐうたらな毎日を過ごす高校生・林明子(永野芽郁)が、大学受験のために通うことにした絵画教室でスパルタ教師・日高健三先生(大泉洋)と出会うところから物語は始まります。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

日高先生の口癖は、「描け!」

いまならコンプラ的に完全アウトな竹刀を振り回し、「描け!」「描け!!」と明子を追い込みます。本当は漫画家になりたいだなんて、口が裂けても言えない……

最初は恐怖しかなかったものの、先生の絵画への愛、生徒への情を知るにつれて、明子の心は段々と変化していくのです。

マンガ大賞の授賞式で身にまとう一張羅

作中唯一の着物シーンは、売れっ子漫画家になった明子がマンガ大賞の授賞式で壇上に立つこちらの場面。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

ギリギリまで仕事をしていた明子が式に遅れそうになって華やかな着物の裾をたくし上げて廊下を駆けていくあたり、東村先生をモデルとしたキャラらしいなぁといった感じですが……スピーチの内容はもとより、その着こなしにも注目してご覧ください。

ちなみに、原作は実際に2015年の「第8回マンガ大賞」を受賞しており、冒頭から自伝エッセイの要素が散りばめられているのも見逃せません。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

きものと読者の中にはご存じの方も少なくないと思いますが、原作者である東村アキコさんは、かなりの着物好き。

メディアでも多くの着物姿を披露されていますし、過去には『海月姫』(講談社)をイメージしたクラゲ柄の振袖をコラボ販売されたことも。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

さらに、現在『銀太郎さんお頼み申す』(集英社)を絶賛連載中。憧れの着物美人・銀太郎さんを追ってキモノ道を突き進んでいく主人公を、自身の着物沼経験と照らし合わせながらリアルかつ詳細に描いておられます。

同作では、日本橋三越本店とコラボレーションしたイベント「銀太郎さんお頼み申す×三越のゆかた2024」も実現。作中のキャラクターをイメージしたコーディネートなどが展示されました。

原作者の制作参加で実現した本物の風景

本作のキャスティングについて、日高先生役の大泉洋さんの起用は東村さんからのリクエストだったといいます。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

主人公・明子を演じた永野芽郁さんの「教室で竹刀を持っている姿が原作から出てきたのではないか、と驚くほどぴったりで感動した」という言葉通り、まさに、日高先生そのもの。

撮影現場を訪れた日高先生の教え子たちも「本当に先生に似ている!」と感動したといいます。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

キャスティングリクエストに留まらず、東村さんは連載を休んでシナハン&ロケハンにも同行。エピソードの取捨選択に始まり、セリフの細かな修正や宮崎弁の方言指導、漫画所作指導に至るまでを請け負いました。

なかでも、劇中に登場する絵やデッサンはすべて原作者自らが監修!

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

金沢美大のロケでは実際の学生や教授らが多数出演し、リアリティにあふれた美大特有の空気感を切り取ることに成功しています。加えて、日高絵画教室のシーンは当時の雰囲気を完全再現するために、その時代の生徒たちが大量のデッサンや絵を用意。

実は、教室内に飾られているデッサンの中には、高校生だった東村先生が実際に描いたものも含まれているのです。

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

©東村アキコ/集英社 ©2025映画「かくかくしかじか」製作委員会

人気漫画家・東山アキコが誕生した背景を瑞々しく描き切った話題作は、ぜひ劇場で。

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