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きもの×タップの華麗なステージで魅了!『レディ加賀』 「きもの de シネマ」vol.43

きもの×タップの華麗なステージで魅了!『レディ加賀』 「きもの de シネマ」vol.43

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。すでに石川県で先行公開している『レディ加賀』が、いよいよ全国ロードショー!優美な加賀友禅のきものが画面を華やかに彩る本作は、きものファン必見です。

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見よ!新米女将のピンチに負けない底力

立春大吉

ごきげんよう、椿屋です。今年の節分祭は、須賀神社へ行ってまいりました。

節分祭は、須賀神社へ

提供:椿屋

須賀神社は、平安時代には「西天王」と称された由緒ある神社。昭和時代には、かつて京の都で流行した「懸想文(けそうぶみ)売り」を復活させたことでも知られます。

懸想文
懸想文
提供:椿屋
懸想文1,500円。引換券を購入し、境内にいる懸想文売りから手渡しでいただく

わたくしのお目当てももちろん、この懸想文でございます。

烏帽子に水干姿で覆面をした「懸想文売り」が梅の木の枝に文を結びつけて売り歩いたという江戸時代のスタイルで授与していただけるのは、節分限定。

懸想文

提供:椿屋

懸想という名から恋文を連想しますが、縁談や商売繁盛といった人々の欲望を叶える符札で、人知れず鏡台や箪笥の引出しに入れておくと「きものが増える」というご利益が!きもの愛好家としては見過ごせないお守りなのです。

来年は懸想文を目的に京都で節分を過ごすのもよろしいかと存じます。

さて、前置きが長くなってしまいましたが……

今回ご紹介する作品は、時代劇ではないのにきものがたっぷり登場する『レディ加賀』です。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

タイトルのとおり、舞台は加賀。

10年前に加賀温泉郷旅館の女将たちが結成した実在のプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得た本作は、タップダンスチーム結成への挑戦を通して、ヒロイン・樋口由香(小芝風花)が「女将ゼミナール」の仲間と共に“真のおもてなし”を学んでいくハートフルムービーです。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

タップダンサーという夢に破れて実家である旅館へ帰ってきた主人公は、何をやってもうまくいかない現実にやさぐれ、酔い潰れ、一所懸命が空回りしてばかり。

タップダンスも女将修業も中途半端なまま、「あなたには女将にとって最も大事なものが欠けている」という母・春美(檀れい)の言葉に思い悩みながらも、満身創痍で奮闘する姿を描きます。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

幼馴染のあゆみ(松田るか)、東京からやってきた元ナンバーワンキャバ嬢・麻衣(中村静香)日本の伝統文化に興味があるカトリーヌ(八木アリサ)など、それぞれの事情を抱えた女将見習いの面々と一緒に厳しい修業に励むなか、イベント開催に向けてトラブルが続出。

次から次へとやってくるピンチを解決し、果たして夢のステージは成功するのでしょうか。

心奪われる、加賀ならではのきものたち

肝心のきもののお話をいたしましょう。

温泉、棒茶、和菓子、九谷焼……名産・特産は数多あれど、加賀を代表する伝統の品といえば、やはり加賀友禅でございます。

ふんだんにきものが登場する本作で、最もきものファンの心を湧き立たせるのは、元は主人公の部屋だった一室をガッツリ模様替えした「衣装部屋」です。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

衣桁に掛けられた美しいきものと帯に囲まれて、由香はこの部屋で寝起きし、女将修業のための勉強に励みます。

女将の制服とはいえ、これほどの衣装持ちに憧れないきもの好きはおりますまい。この部屋が出てくる度に、うっとりしてしまうのは必至です。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

また、たくさんの素晴らしい和装のなかでも、やはり檀れいさん扮する大女将の着こなしは隙がありません。凛々しい所作はもちろんのこと、派手すぎない上品な加賀友禅がこれほど似合う女優さんはそう多くないと思われます。

ちなみにエンドロールでは、「きもの監修・きものスタイリスト・衣装提供」として金沢市加賀友禅プロモーションマネージャーなる肩書のお名前があったり、着物衣裳提供として8社が名を連ねたり。

さらには着付け応援23名&着付け準備協力12名に加えて、エキストラ和装ヘアメイクといったクレジットまで。本作でいかに多くのきもの業界の方々がご尽力くださったのか、意気込みが伝わってきます。

また、「女将ゼミナール」の講師・白石朋子を演じる佐藤藍子さんのお召し物も素敵です。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

ドラマ『イタズラなKiss』主人公・相原琴子役のドジで真っ直ぐな憎めないキャラのイメージが未だに印象深いですが、本作では講師然とした姿勢で、檀れいさんとはまた違った魅力を放っておられます。

そんな彼女が指導する「女将ゼミナール」の特訓で興味深かったのは、襦袢姿から5分で着替えるという課題。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

仕事着としてきものを着るとなると短時間ですっきりと着付けられるようになるのが理想なのでしょうが、20年のキャリアでもなかなか高いハードルです……

クライマックスのイベントを拝見していて、ステージ衣裳としてのきもののポテンシャルの高さにも、改めて感じ入った次第です。

©映画「レディ加賀」製作委員会

©映画「レディ加賀」製作委員会

和傘・扇子・水引の髪飾り・桜吹雪といった和の小道具も、パフォーマンスに最適。軽やかにステップを踏む足首と共に見え隠れする襦袢も差し色になるから素晴らしい。

ところで、この映画は2024年能登半島地震への復興支援のため、配給収入の5%を石川県の義援金窓口に寄付することを発表されました。

作中、「これまでも加賀は能登地震、東日本大震災、コロナショックと何度もピンチを乗り越えてきたから、今回だって大丈夫!」といった話が出てきます。各人の思うところはいろいろあるでしょうけれども、映画を観ることが間接的であるにせよ被災地の応援に繋がります。

ぜひ、映画館に足を運んで石川県を応援してくださいませ。

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