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バージニアでのパフォーマンス 「Magnificent KIMONO!」vol.7

バージニアでのパフォーマンス 「Magnificent KIMONO!」vol.7

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和傘から花魁が現れた瞬間、会場全体が「わぁっ!」と大きな歓声に包まれ、その後しーんと静まり返りました。

2023.06.08

よみもの

着物で訪ねるNY・ブロードウェイ! 「Magnificent KIMONO!」vol. 6

天職はいくつでもみつかるもの

「世界を旅する着付け師になりたい」

そんな目標がむくむくと心のなかで湧き上がってきた今日このごろ。

2023.04.19

よみもの

世界を旅する着付師、ラスベガスへ! 「Magnificent KIMONO!」vol.5

そんなタイミングで、久しぶりにパフォーマーとしてのお仕事をいただきました。

ボストンで着付け師のお仕事を

現在、私はボストンで着付け師のお仕事をしていますが、もともと10年ほど東京でプロダンサーをしていました。

着付けの技術を最初に覚えたのは、北島三郎さんの舞台公演のバックダンサーを4年間務めさせていただいた時のこと。

10年ほど東京でプロダンサーをしておりました

東京では約10年、プロダンサーとして活動

北島三郎さんの舞台公演のバックダンサーも

北島三郎さんの舞台公演のバックダンサーも

当時の私はダンサーが唯一無二の天職だと信じておりましたが、その後きものと再度出会い、お仕事にさせていただくようになってからは、

「求め続ければ、人生において天職はいくつでもみつかるもの」

と知ることができました。

そして人生の節目節目でまた私の踊りを求めてくださる方が現れ、踊りこそがすべての原点であり、自分の人生にとって必要不可欠なものである、と再認識させられる機会をいただいています。

趣きあるバージニア美術館へ

今回お呼びいただいたのは……アメリカはバージニア州!

現地の和太鼓グループ『リバーシティ太鼓』さんと『きもの倶楽部』のみなさまとのコラボレーションイベントで、大変趣きのあるバージニア美術館でのパフォーマンスでした。

バージニア美術館

バージニア州はアメリカ合衆国の東海岸側、首都ワシントンDCに隣接する州。大西洋に面しています。私の住むボストンからは真下に2時間ほど飛ぶだけだったので、時差もなく比較的スムーズな出張でございました。

バージニア美術館にも、様々な日本美術のコレクション

バージニア美術館にも、さまざまな日本美術のコレクションがあり、江戸時代の掛け軸から昭和の作品まで、幅広いラインナップがセンスよく展示されていました。

バージニア美術館にも、様々な日本美術のコレクション
バージニア美術館にも、様々な日本美術のコレクション

パフォーマンスは花魁の衣装で

今回のパフォーマンスは花魁の衣装で舞わせていただいたのですが、全体の構成は、和太鼓に始まり『きものクラブ』さんの盆踊り、そして花魁が真っ赤な和傘の中から現れ、会場の至る所を歩きながらパフォーマンスをするという……盛りだくさんな内容でした!

花魁衣装

実はオーガナイザーを務めてくださったYumi・Hwangさんの提案で、この演目はすべてストーリー仕立ての内容になっているのですが、それをお客様にひとつひとつ説明するのは野暮というもの。

言葉を使わない踊りやパフォーマンスは、観る側が好きにストーリーを感じ取ってくれて構わないのです。お客様のなかにだけ見えたストーリーこそが正解。だから答え合わせも要らないのです。

演目は全てストーリー仕立て

傘持ちは古武術の先生、スコットさん。玄人感がすごい

特に私が長く踊っていた「モダンダンス」や「創作ダンス」というジャンルは、踊り手にとっても、このストーリー性やテーマがとっても大事。

ちゃんといただいた「役」にどっぷりと入り込んで踊ると、パフォーマンスの質が全然変わってきます。何十倍も深く”ゾーン”に入れる……といった感じでしょうか。

そんなことを、Yumiさんとは口にせずとも当然のように共有できていたので不思議だなぁ……と思っていたら、なんと高校・大学と、同じ創作ダンスの全国大会に出場していたことが分かりました!

北川聖子さんとYumiさん

Yumiさんと

その年齢のダンサー女子にとって、その大会は青春の全てを懸けて踊る大舞台。

そこでの経験はこうして大人になっても自分のなかに色濃く残り、遠く離れたアメリカでかけがえのないご縁へと繋がるとは……

人生とは本当におもしろいものですね。これこそ「袖振り合うも多生の縁」というのでしょうか。

このバージニア美術館のイベントは金曜日の夜にピクニック感覚で芝生の上に座り、パフォーマンスアートをみんなで楽しもうというカジュアルなものなで、私たちの前の週にもさまざまなパフォーマンスが行われていたのですが、それほどの人出ではなかったようです。

ですので、私も気楽にイベントを楽しもうかしらと思っていたくらいだったのですが……

着物の裾が汚れないよう、ビニール袋を

屋外で着物の裾が汚れないよう、ビニール袋を貼り付けカバー

そこに見えたのは、人!人!人!

目の前で真っ赤な和傘が上がった瞬間、そこに見えたのは、人!人!人!

子供から大人まで老若男女、すごい数の人がひしめき合っていました。この観客の多さは、日本文化への興味関心の高さが如実にあらわれたものでした。

和太鼓、盆踊りまでは、お客様もわいわいガヤガヤ。

リラックスした雰囲気で楽しんでいらっしゃる声が控え室まで届いていたのですが、和傘から花魁が現れた瞬間、会場全体が「わぁっ!」と大きな歓声に包まれ、その後しーんと静まり返りました。

実際にご覧になったお客様からも、

「私は日本人ではないけれど、和傘から現れた花魁がとても神聖なものに思えて、これは居住まいを正して観なくてはいけないと思ったのよ」

と、うれしいお言葉をいただきました。

控え室まで美しい最高の会場

控え室まで美しい最高の会場でした

今回の会場はとても広く、舞台も全く高さがなかったため、会場全体に私の存在を認識してもらうためには、普通のお着物姿ではボリューム不足だと判断。ここは花魁衣装の力を借りなくては……と言う読みが当たった瞬間でもありました。

「花魁」はその裏に複雑な背景があるため、文化紹介イベントで披露することに消極的な方がいらっしゃることも充分承知しております。ですが私はその背景を充分理解したうえで、彼女たちの生み出した文化や芸術を心から尊敬しています。

そして何より、「その歴史はなかった」とするのが一番してはいけないことだと考えます。

きものクラブの皆さんと

衣装替えのお手伝いや、幕間で汗だくの私を一生懸命団扇で扇いでくださる優しさが心に染みました

こういった私の思いとともに、「花魁パフォーマンスがやりたいんです!」とワガママ言った私をまるごと受け入れてくださったYumiさんをはじめとするバージニアのアーティストのみなさまには、心から感謝しています。

きものクラブの皆さんと

『きものクラブ』のみなさんと記念撮影

翌日はイベントに飛び入り参加

「飛龍三段返し」という楽曲に合わせて、もうひと踊り

Photo by Mike Gallan

美術館イベントの翌日は、なんと『Asian American Celebration』というイベントにも飛び入り参加♪

即興で『飛龍三段返し』という楽曲に合わせて、もうひと踊りしてきました!

「飛龍三段返し」という楽曲に合わせて、もうひと踊り

Photo by Mike Gallan

なんか使えそう……と適当に持って行ったヒラヒラ扇が飛ぶ龍のイメージにピッタリで、これもまたピタッとピースがハマるような、完成されたコラボパフォーマンスとなりました。

最初からこうなるように決まっていたんだろうな、と感じられるパフォーマンスができた時というのは演者として最高に気持ちの良い瞬間です。

そしてそれこそがコラボレーションの醍醐味。

完成されたコラボパフォーマンスとなりました

着付けのお仕事も、お客様との出会いも、この感覚に深く通じるものがあります。

自分の感性を研ぎ澄まし続けるためにも、表舞台に立つ機会は持ち続けたいなと思えるバージニア訪問でした!

最後のみんなで記念撮影

みんなで記念撮影。赤いTシャツのみなさんが『リバーシティ太鼓』さん。とってもカッコ良かったです!

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