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黒紋付・黒留袖・色留袖・振袖とは?シーン・帯や小物の合わせ方【着物の種類 基本中のき!フォーマル編①】

黒紋付・黒留袖・色留袖・振袖とは?シーン・帯や小物の合わせ方【着物の種類 基本中のき!フォーマル編①】

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黒い着物は弔事用、華やかな色柄の着物はお祝い事用など、着物は色によって用途が異なると考えている方も多いのではないでしょうか?着物は色だけではなく、着用するシーンによって種類や合わせる帯を選ぶ必要があります。今回はシーンと合わせて、帯や小物の合わせ方を黒い着物から華やかで色鮮やかな着物まで幅広く解説いたします。

着物にはそれぞれ「格」があり、その格によって着用にふさわしい場があります。
フォーマル寄りの着物の格は、高い順に第一礼装(単に「礼装」とも)、準礼装、略礼装、おしゃれ着です。
この格は、留袖、訪問着等の着物の種類と、紋(家紋)の有無・数により決まります。

紋の数は多いほど格が高く、高い順に、背、両袖外側、両胸にある五つ紋、背、両袖外側にある三つ紋、背のみの一つ紋の順です。
さらに紋には、紋の描き方や紋をつける手法にでも格の違いがあるのですが、その説明はここでは割愛します。

なお、着物をその製造工程から、染めの着物(「やわらかもの」、「たれもの」とも)と織りの着物(「かたもの」とも)に分類をすることがありますが、ここで紹介する着物は全て染めの着物です。

また着物は、色によっても着用するシーンや合わせる帯が異なります。
黒い着物は慶事や弔事の際に着用するというイメージを持たれる方も多いですが、柄のある黒い着物は、他のシーンに着用することができます(黒留袖・色無地以外)。
場にふさわしい装いをするためにも、ぜひお読みいただければと思います。

黒紋付とは?着用シーンや帯・小物の合わせ方

黒紋付

まずは、黒を基調とした着物について解説していきます。

「黒紋付」とは、下記の特徴を持つ着物です。
 ・黒色の無地
 ・紋は染め抜き日向紋の五つ紋を入れる

既婚・未婚を問わず着用することができる第一礼装の着物ですが、現在では喪服として着用することがほとんどであり、単に喪服・黒喪服と紹介されることも多いです。
本来は華やかな帯や小物と合わせることで慶事にも着用することができ、また現在でも、舞台等での衣装とすることがあります。

合わせる帯

喪服として着用する場合、第一礼装とするのであれば黒い無地の黒喪帯(くろもおび)を合わせ、準礼装とするのであれば黒以外の色喪帯(いろもおび)を合わせます。
喪の帯は「悲しみが重ならないように」との意味を込めて名古屋帯であることが多いですが、地域によっては袋帯の場合もあります。

黒喪帯

合わせる小物類

帯締め・帯揚げは、地域により黒又は白の違いがありますが、いずれの場合も無地の物を合わせます。

黒無地の帯締め帯揚げ

「黒紋付に黒喪帯」の第一礼装は、一般的には、故人の親族が、通夜・告別式から三回忌くらいまでの法事で着用します。
ただ現在では親族でも洋装の場合も多く、また地域やご親族の慣習等によっても、黒紋付は告別式のみでそれ以外は色喪服とすることも増えてきました。
なお、喪服は黒紋付とは限らず、白の喪服を着用する地域もあります。

黒留袖とは?着用シーンや帯・小物の合わせ方

「黒留袖」も黒を基調とした着物ですが、無地の黒紋付とは少し異なります。

「黒留袖」とは、下記の特徴を持つ着物です。
 ・黒色地
 ・裾部分のみに「絵羽模様」と呼ばれる縫い目をまたがった模様が描かれる
 ・紋は染め抜き日向紋の五つ紋を入れる

かつては白地の下着の上に着用していた名残から、襟・袖口・裾の内側に「比翼(ひよく)」と呼ばれる白い生地が重ねられています。

黒留袖は既婚女性の第一礼装で、結婚式・披露宴では、新郎新婦の母や親族、仲人夫人が着用します。第一礼装であることから、格としては叙勲等にもふさわしいものではありますが、宮中では「黒は喪の色」とされているため慣習として色留袖が着用されています。

合わせる帯

帯は、丸帯または格の高い袋帯で、金糸・銀糸が用いられた豪華なもの、唐織(からおり)、綴織(つづれおり)といった格調高い織物を合わせます。
模様は有職文様、吉祥文様等の古典的なものや、縁起の良いものがふさわしいでしょう。
黒い着物と金糸や銀糸が用いられた帯を合わせることで、気品のあるコーディネートに仕上がり、お祝いの席にもふさわしい装いになります。

豪華な金の帯

合わせる長襦袢・小物類

長襦袢と小物も、第一礼装用のものを合わせます。

長襦袢は、白地で模様の入っていないものを。
長襦袢地には織りによる地紋が入っていますが、吉祥文様等の慶事用の地紋の他、紗綾形(さやがた)、立涌(たてわく)等の慶弔両用の文様のものも着用することができます。

帯締めは、白・金・銀を用いて組まれたものか、佐賀錦等を締めます。
帯揚げは、白で無地か絞りのものを合わせます。

白地の長襦袢
白地に金銀糸使いの帯締め
末広を持ちます

また、「末広(すえひろ)」と呼ばれる祝儀用の扇子を持ちます。
要(かなめ)を下に、地紙の貼られた方を上にして、左胸の帯の間に挟みます。

フォーマルな場での黒留袖の着用マナー

留袖の中でもフォーマルなシーンでの正装とされる黒留袖には着用マナーがあります。マナーを理解して正しく着こなすことで、お祝いの場にふさわしい装いに仕上がります。今回は留袖の中でも黒留袖に焦点を当てて、柄選びや帯・小物の合わせ方について解説していきます。

色留袖とは?着用シーンや帯・小物の合わせ方

黒以外の着物は、季節や好みに合わせてコーディネートしやすく、着用シーンも幅広いため、帯や小物の合わせ方を覚えておくと便利です。

「色留袖」とは、下記の特徴を持つ着物です。
 ・黒色以外
 ・裾部分のみに「絵羽模様」と呼ばれる縫い目をまたがった模様が描かれる

紋は、
 ・染め抜き日向紋の五つ紋を入れる五つ紋を入れると、第一礼装に(比翼仕立て)
 ・三つ紋または一つ紋を入れると、準礼装に(比翼仕立て/訪問着仕立て)
なります。

そのため色留袖を仕立てる際は、第一礼装とするか準礼装とするかを選ぶ必要があります。なお、かつては第一礼装としての色留袖は既婚女性のものとされていましたが、現在では既婚・未婚を問わず着用されています。

色留袖

第一礼装としての帯や小物の選び方

第一礼装としての色留袖は、黒留袖と同様に「染め抜き五つ紋・比翼付き」であり、本来黒留袖と同格ですが、黒留袖の方が格上という感覚を持たれる方もいるようです。
結婚式・披露宴では、主賓や、新郎新婦のご両親以外の親族が着用することもあります。
また宮中においては第一礼装として色留袖を着用することが慣例になっているため、叙勲・晩餐会等で着用されます。帯や小物の合わせ方は、黒留袖とすべて同じです。

準礼装としての帯や小物の選び方

準礼装としての色留袖は、結婚式・披露宴への知人・友人としての出席、園遊会、格の高いお茶席等で着用されます。合わせる帯は、黒留袖、第一礼装としての色留袖と変わりませんが、帯締め・帯揚げには白以外の淡い色のものも合わせられるようになります。

やわらかな彩りの帯揚げ

なお、準礼装として比翼をつけずに仕立てた色留袖を、着用場面や立場によっては、白い羽二重地の伊達襟を合わせて比翼風に見せ、小物も白のものを合わせることで、第一礼装として着用する方もいます。

振袖とは?着用シーンや帯・小物の合わせ方

華やかな着物姿としてまず第一に思い浮かべる人も多い「振袖」は、袖の長い着物で、未婚女性の第一礼装です。
現在では紋を入れないことが一般的となりました。袖丈の長さにより、袖の丸みがくるぶしくらいの長さ(115cmくらい)の大振袖、膝とくるぶしの間くらいの長さ(95~100cmくらい)の中振袖、膝くらいの長さ(80cm前後)の小振袖の3種類に分類され、袖丈が長いほど格が高くなります。

多くの振袖は、模様付けが縫い目をまたがった「絵羽付け」とされていますが、小紋振袖のように絵羽付けではないものもあります。

振袖
華やかな振袖

成人式をはじめ、結婚式・披露宴・卒業式・謝恩会・パーティ・お正月・華やかな装いが許される初釜等のお茶席等に幅広く着用することができます。

準礼装としての帯や小物の選び方

帯は、丸帯又は格の高い袋帯を合わせます。
振袖自体に存在感があることとの釣り合いから、ひと目見て振袖用と分かるような豪華な帯が好まれ、金糸・銀糸を用いた帯や唐織りの帯等の重厚感のあるものを合わせます。
また、帯結びもふくら雀や立て矢等の華やかな結び方とすることが多いです。

合わせる小物類

伊達襟を合わせ、帯揚げは総絞りのものでたっぷりと見せる結び方をし、帯締めにも丸絎け(まるぐけ)、丸組、幅の広い平組など、振袖と帯に負けないものを合わせます。

重ね衿
絞りの帯揚げ
飾りのある帯締め

TPOに合わせた着物選びを

着物は、種類や色柄によって着用シーンが変わります。
また、帯や小物の合わせ方によっても着用できるシーンが異なります。
まずは、どの着物がどのシーンで活躍するものなのかを整理して、自分だけのこれ!という着物コーディネートを作ってみましょう。

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