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コンプレックスや老化を受け入れる 「きものとわたしのエイジング」vol.3

コンプレックスや老化を受け入れる 「きものとわたしのエイジング」vol.3

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自分のコンプレックスや老化をいかに受け入れられるか。ありのままの自分であることを誇れたり、人目を気にしすぎることなく自由に表現できる潔さが「美しい」と評価される社会であってほしいと思います。

2023.02.14

よみもの

グレイヘアへの移行 「きものとわたしのエイジング」vol.2  

日本人の美意識

日本人の美意識

先日、日本へ旅行に行った台湾人の友人から、「街ですれ違う日本人はみんなかわいくて綺麗にしていた」と報告を受けました。

一瞬、日本人の美意識を褒められたことにうれしくなりましたが、実はその後、複雑な感情が湧き上がりました。

日本では、身だしなみを整えることは自分のためというよりも他人の目を意識してのこと。

街中には「アンチエイジング」「可愛い」「脱毛」「美肌 美白」「ダイエット」「二重まぶた」などといった広告があふれています。

人々は若さ信仰とルッキズムに洗脳され、若く身綺麗にするのは義務であり常識であるかのような同調圧力の上に成り立っているのが、日本人がみんなかわいくて綺麗にしている理由のように思えたからです。

綺麗にしなくては外出できなかったーー

あの窮窟さを思い出しました。

日本人の美意識2

約10年間におよぶ海外生活(タイと台湾)のなかで感じたことは、(日本人以外の)海外の人は他人の身なりへの関心が低く、ノーメイク率も高いということです。

ところが同時に、タイ人も台湾人も、バッチリメイクに別人のような加工を施した自分の写真を、携帯の待ち受け画面にしていたりもします。

この、メイクをしない素顔の自分、そして別人に見える加工画像の自分、どちらをも堂々と見せることができるということは、「外見」にとらわれない自己肯定感の高さのあらわれ、とも解釈できるのではないでしょうか。

皮肉なことに、「いつも綺麗にしている」日本人は、世界一自分の見た目に自信がないという調査結果があるそうです。

ありのままが「美しい」

自分のコンプレックスや老化をいかに受け入れられるか。

ありのままの自分であることを誇れたり、人目を気にしすぎることなく、自由に表現できる潔さが「美しい」と評価される社会であってほしいと思います。

写真の加工について

アンティークの着物

こちらの写真は夫がiPhoneで撮影したもので、珍しいことに無加工ですが、私もよく写真加工アプリを使っています。

去年の記事にも書きましたが、写真の加工については、実際にお会いした時に、違和感なく会える程度がベストだと感じています。

2022.01.14

よみもの

重ねた年齢と写真の加工について 「台湾きものスタイル考」vol.13

これはお顔だけのことだけではなく、最近8等身ならぬ10…いえ、さらにびょーんとのびた、もはやきもの姿に違和感を覚えるほど身体の加工をされているかたもお見受けし、驚いた次第です。

きもの姿はもともと日本人の標準体型に合わせて作られてきました。

スーパーモデル級プロポーションに加工しなくとも十分に、きもの姿は美しいと感じます。

後ろ姿

きものを味方に

きものを味方に

40代や50代で、今まで着ていた洋服が何となく合わなくなって、という話をよく耳にします。

私もヒールの高い靴を履くのが苦痛になった時、歩きやすい靴に合うファッションへと移行しました。

いくつになってもヒールを履いて颯爽と歩く姿にも憧れていましたが、外反母趾の痛みに耐え、タイのガタガタした歩道にヒールを取られまくった結果、諦めたのでした。

そして、浴衣やきものを普段に取り入れるようになって、草履や下駄は足を締め付けることなく、思っていた以上に足に優しいとわかりました。

ヒールの高さがない分、身長も誤魔化せなくなりましたが……

変化していく身体に馴染むきもの

足に負担をかけず、変化していく身体に馴染む、きもの。

歳を重ねてきた今こそ、きものを味方につけてみませんか?

他人からの視線のためでなく、新たな自分と出会うために。

日本人はもともときものが似合う、さらに歳を重ねると、きもの姿により味が出る体型と顔立ちを持っているのだと思います。

すらっと伸びた手足の長い身体や、つるんとしたお顔でなくても、きものは受け止め、包み込んでくれる衣装といえます。

「着るを愉しむ」

洋服では楽なことを優先するようになった私ですが、きものを着る時には、今のところは髪型やメイクなどにあまり手を抜くことはありません。

なぜならそれが「愉しい」から。

私の、「自分のために着物を着る」「着るを愉しむ」はまだ当分続きそうです。

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