【仕入れ担当 田渕より】
彩り豊かな紅型の世界…。
製作数も大変少ない、城間家三代の合作による逸品九寸帯のご紹介です。
意匠・図案は栄喜氏。
その図案を元に、現代のお着物・帯に合わせた「型合せ」「型彫り」を栄順氏。
そして、栄順氏のご子息・栄市氏によって染色がされたお品。
まさに琉球紅型の本流を受け継ぐ「城間家」による、次代へ向けた創作品です。
涼感のあふれる絽麻も用いた貴重な傑作帯、どうぞこの機会をお見逃しなく!
【お色柄】
力強さの中に含まれる穏やかさ。
伸びやかでありながら確実に踏襲された技とその趣…
帯地は細やかな絽目の透け感が美しいざっくりとした手触りの麻地。
繊細な藍色の濃淡で染め上げました。
その地に六通にわたって染め上げられた琉球花を添えた雪輪や橘文。
城間家に受け継がれてきた紅型への情熱、高い感性が盛り込まれた作品です。
琉球紅型の美しい彩りの世界。
豊かな彩りがみずみずしく、ふんわりと水分を含んだような、
絶妙ないろどりが意匠に奥行きを感じさせます。
【状態について】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
お手元に届いてすぐにお召しいただける状態でございます。
【城間家について】
琉球王朝時代より、その伝統の技が引き継がれてきた紅型。
絵師が図案を描き、彫り師が型紙を彫り、それを紅型三宗家と言われる
「城間家」「知念家」「沢岻家」を中心とした染め師が完成させる
という形態で匠の技が守られてまいりました。
廃藩置県や第二次世界大戦といった歴史の波によって一時、
紅型の技は消え去ろうとしていました。
終戦後、その技の復興に努めた中心人物は、
戦禍を逃れた城間家の城間栄喜氏と知念家の知念績弘氏でした。
廃材の中から、「宗家」の名にかけて琉球王朝の彩りを
蘇らせるその苦労と情熱は、想像するだけでも胸が熱くなります。
「色や型を崩すことを好まない。
父の教えから離れられないのかもしれない。
でも、父が頑固に守ってきたものを自分も頑固に守りたい。」(栄順氏)
城間栄順氏は、その人間国宝・城間栄喜氏の長男として生まれました。
幼い頃より、職人気質を貫き通した父の背中を見て育ち、
本物の紅型と共に生きてきた、いまの琉球紅型を代表する方です。
そして城間栄市氏は栄順氏の長男として生まれた16代目。
100年前に技術が途絶えてしまった紅入藍型を現代に蘇らせ、
日本伝統工芸展で日本工芸会新人賞を受賞するなど、
次世代を担う新進気鋭の若手作家さんでございます。
【琉球紅型について】
紅型は、丁寧にひとつひとつ細かな型を彫り、
白生地に糊置きをし、顔料を用いて色を挿していきます。
そのあとに、筆で色を挿して、刷毛でこすってぼかし染めのようにし、
水で糊を洗い流します。
各工程に何人もの職人さんが携わり、力を注いで丹精込めて仕上げていきます。
紅型は顔料と染料を用います。
顔料には朱、石黄、洋紅、藍蝋、群青、胡粉、 墨などで、
無機顔料や有機顔料があり、
染料には琉球藍、フクギ、蘇芳、ウコン、
楊梅、綿腑脂などの植物染料が用いられていました。
顔料や蘇芳、綿踊脂は、沖縄に産するもではなく、
王朝時代の海外交易によって入手していたものです。
麻100%
長さ約3.75m
六通柄
◆最適な着用時期 盛夏(6月末~9月上旬)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、お食事会、お出かけ、カジュアルパーティーなど
◆あわせる着物 色無地、小紋、織の着物
※仕立て上がった状態で保管されておりましたので、折りたたみシワがついております。この点をご了解くださいませ。