織物好きの方なら誰もが恋い焦がれ、
一度は袖を通したいと願う、最上級の紬織物…
幻と名高い、草木染郡上紬のご紹介でございます!
【仕入れ担当 田渕より】
今回のお品は証紙が付いていないということで、
目利きにはなりますが、大変お値打ち価格でご紹介させていただきます。
この風合い…
ご存じの方はひと目でおわかり頂けることでしょう。
年々制作数が減少し、御仕立て上がりのご紹介も極々僅か…
迎えゆく冬の季節に温もりの良色を、是非お手元にお迎え下さいませ。
まずはじっくりとご覧下さいませ…
【お色柄】
こっくりと味わい深い茶色を基調に
一面に段模様を織りなして。
優彩の緯糸がアクセントに郡上らしさを醸し出しております。
厚地でふっくらあたたかい織り。
そして、着れば着るほど身体になじむ着心地。
生活から生まれた素朴な紬本来の姿が、その色彩と地風に感じられます。
【状態について】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
洗いに出されたと見られるしつけ糸がついており、
お手元に届いてすぐにお召しいただける状態でございます。
【郡上紬について】
水と踊りの町、郡上八幡。
澄んだ空気に、やさしい川のせせらぎ。
やがては長良川に流れ込む清流が寄り添い…山々の緑はどこまでも奥深い。
そんな美しい環境で、郡上紬は生まれます。
幻の織物――
それが、呉服のプロにも共通した認識でしょうか。
紬ものに強いと言われている問屋さんでも、普段はまずお見かけいたしません。
今回偶然にも出会うことができました、希少な逸品紬でございます。
郡上紬は、平家の落人が野生の繭から糸を紡ぎ、植物染料で染めた糸で織った織物がその発祥とされております。
草根木皮などで着色され、手織り機で丹精に織り上げられたそれらに模様らしいものはなく、様々な色糸が織り交じったものでした。
ところが江戸期に入ると郡上紬は急速に衰え…
その技術はかろうじて、細々と伝えられているのみになっておりました。
それを、戦後になってはじめて再興させたのが、故宗廣力三氏でした。
氏は昭和57年(1982)に、国の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に、紬ではじめて個人認定されました。
郡上紬の魅力は、草木染による素朴な色合いと光沢です。
糸を少しずつ引き上げたり、染料液を減らしたり…
ひとえに経験のみによる細やかな気配りが命の、本当に微妙な染め方です。
そうして染めた糸を組み合わせて生み出される美しい織りのぼかしは、郡上紬にしか表現しえない、独特のものでございます。
糸、染料、意匠にこだわり、研究努力を重ねた宗廣氏。
生涯目指したのは、「技を感じさせない技」だったといいます。
郡上紬が堅牢で、着るほどに、洗うほどに、深みとつやを増す一つの秘密はここにあるのでしょうか。
≪織五省≫
一、糸を経(たて)に 心を緯(よこ)に
一、常に技法の研鑚に務めむ
一、一すじの糸の命を大切に
一、正された仕事を美が追いかけてくる
一、自他一如
自らの仕事(作品)が永遠に生きる道なり (力三)
品質の高い糸は、この地方に自生している植物で草木染めされます。
一度だけではなくて、何度も何度も染め返され、色彩の深い、郡上紬独特の色目が生み出されます。
平凡な柄を非凡に。
一見さりげなく見えるのですが、大変に奥行きある、深い織物です。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
背より身丈158.5cm(適応身長153.5cm~163.5cm) (4尺 1寸 8分)
裄丈67cm (1尺 7寸 6分) 袖巾34.5cm (9寸 1分)
袖丈49cm (1尺 3寸 0分)
前巾25cm (6寸 6分) 後巾29.5cm (7寸 7分)
◆八掛の色:雀茶色
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈70cm (1尺 8寸 4分) 袖巾35.5cm (9寸 3分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 観劇、女子会、街着、お稽古、ランチなど
◆あわせる帯 洒落袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯、半幅帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。