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エルメス×着物―エスプリを効かせた装い拝見「きものとラグジュアリーの交差点」vol.4

『エルメス』×着物―エスプリを効かせた装い拝見「きものとラグジュアリーの交差点」vol.4

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4回にわたり、エルメスのアイテムを取り入れたきものの着こなしをご紹介してきました。最終回は、日本の伝統とエルメスのエスプリが響き合う、まさにそんなコーディネートを楽しまれている着物ラバーの方々にご登場いただきます。

2025.12.21

ファッション

『エルメス』×着物―スカーフ“カレ”を主役に「きものとラグジュアリーの交差点」vol.3

日本とフランスの美学が共鳴し合う

四季の移ろいを宿し、時代を超えて継がれてきた、美と精緻な職人技が息づく、「きもの」。

1837年にパリで創業し、熟練された職人の技と創造性、そして厳選された素材選びを貫き通してきた、世界のトップメゾン「エルメス」。

エルメス専門のサステナブルブティック「LALÙE(ラルー)」

エルメス専門のサステナブルブティック「LALÙE(ラルー)」

銀座並木通りにオープンした、エルメス専門のサステナブルブティック「LALÙE(ラルー)」にご協力いただき、エルメスのアイテムを取り入れた、きものの着こなしをご紹介しています。

きものの装いにエルメスをさりげなく合わせることで生まれる、唯一無二の存在感。今回は、日本の伝統とエルメスのエスプリが響き合う、そんなきものの装いを楽しまれている方たちにご登場いただきました。

大好きな『カチナ』を名古屋帯に 〜Rさん〜

まずは、HさんとMARIKOさんが“きものの大先輩”と呼ぶRさんの装いから。

北米の先住民族「ホピ族」が信仰する精霊(カチナ)をモチーフにした柄を名古屋帯に仕立てられたそうです。

Rさん:エルメスのスカーフ“カレ”の中でも、この『カチナ』という柄がとても好きなんです。

Rさん

Rさん。普段は訪問着などフォーマルな装いが多いそう

エルメスの製品は、どれも数が限られているため一期一会。Rさんはブティックで『カチナ』と出会い、その場で5枚お求めになったそうです。

Rさん:1枚はスカーフとして愛用していますが、2枚でワンピースを作り、残りの2枚で帯を仕立てました。

1992年に制作された『カチナ』

1992年に制作された『カチナ』は、世界のエルメスコレクターの間でも根強い人気のある柄

Rさん:今日の装いは帯が主役です。

地模様が豹柄の黒無地きものに、帯揚げは黒の輪出し、帯締めにも黒を合わせました。帯が引き立つよう他の要素を控えた、引き算の装いです。

Rさん:『カチナ』の柄に合わせて長襦袢は赤色にしました。

紅い長襦袢を差し色にして

紅い長襦袢を差し色にして。ネイルともリンク

帯揚げの絞り、『カチナ』の柄、長襦袢の赤をアクセントにしたスタイリッシュな装いです。

Rさん:バッグは母の形見です。メンテナンスをお願いし、糸のほつれ、カデナも含めた金具部分、レザーの色などすべて補修していただきました。40年前のケリーが驚くほど美しく蘇りました。

お母さまの形見のケリーバッグを装いに

メンテナンスから戻ってきたばかりの、お母さまの形見のケリーバッグを装いに

Rさん:母や祖母から受け継いだきものも着ています。なかには100年以上前の本疋田の総絞りもあります。今ではもうその手仕事ができる職人さんはいないようで、きものに詳しい方が非常に感動してくださいました。

「絞りの細かさや粒の揃い方が精巧で、今ではもうお目にかかれない技術です」とおっしゃってくださって。

代々メンテナンスをして使い続けることのできるエルメスの製品に、母から娘へと受け継がれる、きものと共通する部分も感じますね

あえて袖丈を長く仕立てた色無地。クールななかに優雅さも

あえて袖丈を長く仕立てた色無地。クールななかに優雅さも

Rさん:実は今、エルメスのスカーフで羽裏と八掛を作ろうと計画しています。

八掛は、裾まわりの翻った瞬間が印象的な箇所。どの柄を見せようかと考えているところで、仕立て師さんと相談しながら作っていくつもりです。

はらりとめくれた瞬間や、脱いだ時の艶っぽさなど、裏の美学を堪能したいと思います。

随所にエルメス。でも、さりげなく 〜Yさん〜

格調高い訪問着をお召しのYさん。

バッグやスカーフ、そしてかんざしと、エルメスを随所に取り入れていらっしゃるにもかかわらず、そのどれもが控えめでさりげないのです。

乳白色とゴールドが優しく調和した装い

乳白色とゴールドが優しく調和した装い

Yさん:“カレ”は柄がとても豊かなので、帯揚げで使う際にはどこを出すかによって印象を変えることができるんですよ。

格の高い袋帯と調和します

“カレ”のしなやかな光沢感が、袋帯の格高さを盛り上げて

Yさん:普段は訪問着を着ることが多いので、エルメスのスカーフを帯揚げにする際は、きものや帯と馴染むように合わせています。

Yさん:このかんざしは10年ほど前、同じような配色の訪問着を仕立てた際に、偶然にもエルメスのブティックで見つけました。

エルメスの頭文字「H」が刻まれたかんざし

中央にあしらわれたゴールド部にエルメスの頭文字「H」が刻まれたかんざし

Yさん:バッグは訪問着と調和するように、白の『ボリード』を合わせました。私の母が、きものには必ず『ボリード』を合わせていたんです。私が幼いころの写真を見ると、私の隣に、きもの姿で『ボリード』を持って微笑む母が写っています。母との温かい思い出もあって、私も子どもたちの式典には、必ずと言っていいほどこのバッグを合わせます。

古典的な正装にも溶け込むエルメスのアイテム

古典的な正装にも溶け込むエルメスのアイテム

Yさん:エルメスをフォーマルな装いに合わせている方をお見かけすると、ルールを守りながらもご自身のセンスを取り入れていて、とてもおしゃれだなと感じます。

私がきものを教わった師匠も、シャネルのバッグなどを合わせて、自由な着こなしを楽しんでいらっしゃいました。そのお姿がとても素敵に映ったこともあって私も、エルメスがきものにさりげなく馴染んでいる、そんな着こなしをしたいと思っています。

00サイズのケリーバッグ

Yさんがこの日、店内で目に留めた00サイズのケリーバッグ。「小さなサイズは、きものに寄り添いますね。色も上品で素敵です」

控えめながらもエルメスの洗練された美意識が息づく、格調高いフォーマルな装いを披露してくださいました。

エルメスの芸術性に敬意を表し、現代作家のきものと帯で 〜Hさん〜

今回、バッグやメンズきもの、アクセサリー、スカーフの取り入れ方など、さまざまなアイデアを提案してくださったHさん。

Hさん:エルメスの製品を見ていると、次から次へとアイデアが思い浮かびます!

瞳を輝かせながら語ってくださいました。

サロンのような空間が広がる「LALÙE(ラルー)」の2階にて

サロンのような空間が広がる「LALÙE(ラルー)」の2階にて

Hさん:これもきものに合いそう、このアイテムならあんな使い方ができるかも……と、アイデアが広がっていくんです。きものは日本文化の象徴。そしてエルメスはフランスを代表するメゾン。異なる背景の文化を持ちながらも、両者には共通する美意識を感じるからだと思います。

優しい色彩の暈しの小紋は斉藤三才さんの作。

Hさん。優しい色彩の暈しの小紋は斉藤三才さんの作

Hさん:またエルメスにはかんざしがあったり、“カレ”の柄にも日本文化を感じるものが豊富で、日本への敬意を感じます。きものに馴染むのは当然なのかもしれませんね。

かんざしやスカーフが淡い色彩の装いに華を添えて

かんざしやスカーフが淡い色彩の装いに華を添えて

きものの装いに、自然と調和するエルメス。

その包容力こそが、きものとエルメスに深い愛情を注ぐHさんの創造力を掻き立てているのかもしれません。

いつもの「私」をエルメスが叶える 〜MARIKOさん〜

これまで、きものとは縁のない生活をしてきたとおっしゃるMARIKOさん。なぜ、きものを着ようと思ったのでしょうか。

「LALÙE(ラルー)」オーナー夫人のMARIKOさん。

「LALÙE(ラルー)」オーナー夫人のMARIKOさん。
(帯飾り左)シェーヌダンクル スカーフリング (帯飾り右)アミュレット4 ブルロック バッグチャーム GP 髪飾り)ロカイユ バッファローホーン (ピアス)マロキニエピアス アミュレット (リング)ケリークロシェットMM ダイヤリング WG 55

MARIKOさん:私は人と同じファッションが好きではありません。普段はスポーツブランドにバーキンを合わせるなど、カジュアルなスタイルにエレガントな要素を取り入れるなどジャンルの異なるコーディネートを楽しんでいます。

だから、ルールや格式を重んじるきものの世界は、きっと私には似合わないだろうと思っていました。

凛として、かつファッショナブルな和姿

凛として、かつファッショナブルな和姿
(髪飾り)ロカイユ バッファローホーン (ピアス)マロキニエピアス アミュレット

MARIKOさん:でも、Hさんが見立ててくれたきものや帯のおかげでおかげで、そのイメージは払拭されました!こんなにも粋な着こなしができるんですね。

そしてエルメスをきものに取り入れると、より一層私の好みのテイストで和装を楽しめることを実感しました。

実は私たち、双子コーデです!

Hさん:実はMARIKOさんと私、きものも帯も一緒なんです。二人ともきものは斉藤三才さんによるもの、帯は辻村ジュサブローさんのものなんです。

双子コーデ

MARIKOさん(左)とHさん(右)。お二人とも、きものは斉藤三才作、帯は辻村ジュサブロー作

しかも帯はお色違い。しかし、Hさんは柔らかな色彩で甘く優しい雰囲気な一方、MARIKOさんはクールでモダンなムード。色や配色を変えると、こんなにも対照的な装いが演出できるのです。

MARIKOさんの装いは、Hさんがスタイリング

MARIKOさんの装いは、Hさんがスタイリング

Hさん:私たち、家族ぐるみのお付き合いをするほど仲がいいんです。だから普段の彼女のファッションスタイルもよくわかっています。彼女はクールなテイストが好きなので、そのイメージでスタイリングしました。

MARIKOさん:全部、お任せです(笑)。このスタイリングのおかげで、これからもきものを着たいと思えるようになりました。

Hさん:赤い幾何学模様の小紋には、黒い帯も似合うと思うんです。でもなんだかよくある着こなしだなと感じ、思い切って同じ色と柄の帯を合わせました。帯揚げにしたターコイズブルーの“カレ”が引き立つ着こなしになったと思います。

きものの装いに、エルメスをひと匙

きものを装えば、いつもの集まりも特別な時間に。

きものを装えば、いつもの集まりも特別な時間に。

4人で、きものを着て集まったのは今回が初めてだと言います。

Yさん:普段は洋服で会っているから、なんだか新鮮ね。

Rさん:皆さん、いつもと表情も違う感じがするわ。ときどきはこんな会を作ってもいいわね。

MARIKOさん:きものをファッションとして着るって、楽しいですね。エルメスと相性がいいこともわかりました。

Hさん:MARIKOさん、お店の周年記念などのパーティではぜひきものを着てほしいな。そうそう、チョウくんと優くんもね!

左から、Hさん、Rさん、Yさん、MARIKOさん

左から、Hさん、Rさん、Yさん、MARIKOさん

例えば、スカーフを一枚まとったり、ケリーバッグを手にしたり。あるいは、普段のレストランへきもので出かけてみたり……

それだけで、いつもの景色は色鮮やかになり、特別な空気を感じるはず。

シャンパンとグラス

エルメスと、きもの。どちらも日常を非日常へと昇華する力を秘めています。

洗練されたきものの装いを叶えるために、エルメスを、ひと匙。

試してみてはいかがでしょうか。

撮影/久野 藍

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