【 仕入れ担当 田渕より 】
その絣の技術は一線を画した出来栄え。
恵積五郎氏の御子息、恵美知雄の名前の入った一枚でございます。
今はなき大島紬の名門、恵大島紬織物。
大島紬好きなら誰もがご存知の名門が、
素晴らしいお品を生み出されておりました。
残念ながら、恵大島紬織物としては制作活動を終えられてしまい、
今後新たな作品が生み出されることはございません。
このような希少な絵羽柄がご紹介出来るのもあと幾度あるのでしょうか…
問屋さんの秘蔵品を縁あってご紹介させて頂きます。
大島愛好家の方はどうかお見逃しないようお願い致します。
【お色柄】
深い深い泥染の黒…
その地一面に7マルキ一元式の蚊絣を綾なし、
裾元には『紫風』と題された段模様を配しました。
今となっては本品のような作品は、
市場でおみかけする機会すらないものです。
見るほどに絣の魔術にひきこまれる、美しくも高雅な傑作品。
いつまでも飽きの来ない表情と、文字では表現しきれないその意匠美を、
是非お手元でご実感いただきたく思います。
【 恵大島紬について 】
大島紬の双璧と呼ばれた先代は、今は亡き都喜ヱ門と共に一世を風靡、
また恵さんは「絣の魔術師」と呼ばれ、その絣技術は高い評価を得ています。
大島紬は完成までに二度織られます。
一度目の締め機は、大島紬独特の精密な絣模様をつけるため。
上下の綿糸によってギュッと締められた部分は防染されて染料が入り込まないため、
その染まらない部分が絣になります。
絣模様をくっきりと作るためには、大変な力で締めつけて織り込む必要があるため、昔からこの締め機は男性の仕事とされてきました。それでも、図案に合わせて締め機にかける糸を調節して、確実に、数ミリ単位の狂いもなく締め込んでいくというのは大変に緻密で根気がいる仕事。ここで間違いが起こると絣模様ができなくなってしまうため、力があるというだけではできない難しい仕事です。
その素晴らしい絹糸は、高機による手織りで一糸一糸心を込めて織り上げられております。一反を生み出すのにのにシンプルな柄のものでも一ヶ月、凝った柄行のものでしたら数ヶ月の月日を要します。
数センチ織り上げては経糸をゆるめて一本一本針で絣をあわせていく根気のいる仕事です。一ミリ単位のズレも許されません。
大島ファンの方はご存知かと思いますが、
マルキとは、経糸の総数(1240本)に占める経(たて)絣糸の割合のこと。
つまり、マルキの数値が上がるほど経絣糸が多く入り、
経緯(たてよこ)の絣合わせが難しくなります。
12マルキ、9マルキ、7マルキ、5マルキなどがあり、
その数が上がるほど、より手間隙のかかったお品となります。
絹100%
たちきり身丈約173cm 内巾35.5cm(最長裄丈67cmまで)
◆最適な着用時期 袷・単衣 <盛夏以外(6月末~9月上旬以外)>
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン カジュアルパーティ、観劇、お食事、お出かけなど
◆あわせる帯 洒落袋帯、名古屋帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
[ 袷 ]
解地入れ6,050円+※胴裏7,260円~+八掛8,800円+海外手縫い仕立て35,200円(全て税込)
[ 単 ]
解地入れ6,050円+衿裏2,200円+海外手縫い仕立て35,200円(全て税込)
※国内手縫い仕立て+17,600円(税込)