【仕入れ担当 田渕より】
お目にかかれるだけでも貴重、
それを訳有りとは言え、ご紹介出来ること、
本当に稀有な機会かと思います。
ご存知、初代・由水十久氏の幻の遺作。
本品はその中でも更にめずらしい、
童のいない、正統派の花のお柄を染めあしらった訪問着でございます。
とりわけ没後は、その価値はもとより、
制作期間の短さ、点数の少なさ故、作品自体をお見受けすることもほとんどございません。
訳あり品でございますが、ファンの方、コレクターの方に必ずやご満足頂けるようご紹介させて頂きます。
その価値をご納得頂ける方に…
まずはどうぞじっくりと、その世界観を堪能くださいませ。
【お色柄】
この風格、世界観。
初代・由水十久氏がこういった草木を染め描かれた作品が集中する
1972(昭和47)年~1973年(昭和48)年頃のお品かと存じ上げます。
弊社所蔵の作品集(昭和50年発行)に掲載がございます。
ごくしなやかで肌すべりのよい、極上の駒無地。
落ち着きある上品な鴇浅葱色の地色に染め上げられ、
なんともいい難い奥深さが演出されております。
糸目の繊細さは加賀随一。
その細い細い糸目で描き出された清雅な花のお柄。
衝羽根空木(つくばねうつぎ)が細緻に染め描き出されております。
伸びやかで、凛とした風情をたたえるデザイン。
由水十久氏ならではの精緻な筆使い。
このこだわり、このバランス。
研ぎ澄まされた空間性を感じさせて…
その完成度たるや、
本当に贅を凝らして仕立てられた逸品と感じていただけることと思います。
もう二度と作られることのない美術品でございますので…
本当に大事にしていただける本物志向の方に、
自信を持ってお勧め致します。
お手元で末永くご愛用いただけましたら幸いでございます。
【状態について】
中古品として仕入れてまいりました。
余り目立ちませんが、全体にうっすらと
ヤケによる退色が見受けられます。
また画像のような汚れが所々にあり、胴裏の黄変、汚れがございます。
(※画像の黄色矢印の幅は1cmです。)
【初代・由水十久について】
加賀友禅の特集には必ずと言って良いほど、
お名前と作品が紹介される、最も有名な作家のおひとりです。
十久氏は、幼い頃より、日本画を能くし、
日本国内はもちろん、海外でも個展を開くなど、
その才能を惜しむことなく発表されておられました。
「あくまでも着る人が主役」というこだわり。
写実的な草花模様が中心の加賀友禅の中で、異色の人物画を好み、
特に童に対する思い入れには独自の世界観が感じられます。
十久氏の描く童は、一体で数百万円の価値が有ると言われます。
とりわけ没後は、その価値はもとより、
作品自体をお見受けすることもほとんどございません。
本当に希少な作品です。
ご覧いただけますでしょうか。
タレ先には「十久」氏の落款がございます。
この四角が六角形ですと、現在の二代目・由水十久氏の落款となります。
生地の残布などが無くとも、この作風、この落款、この風格…
紛れもなく初代の作品に間違いない、逸品にございます。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
背より身丈158cm(適応身長153cm~163cm) (4尺 1寸 7分)
裄丈62.5cm (1尺 6寸 5分) 袖巾32.5cm (8寸 5分)
袖丈44.5cm (1尺 1 寸 7分)
前巾22.5cm (5寸 9分) 後巾30cm (8寸 0分)
白生地には伊と幸ブランド駒無地を使用しております。
※衿裏は引き紐の付いたお仕立てです。
「丸無し組桔梗」の抜き一つ紋が入っております。
高島屋扱い品
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈66.5cm (1尺 7寸 5分) 袖巾33.5cm (8寸 8分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 結婚式・披露宴、式典、お付き添い、パーティー、お茶席、芸術鑑賞、観劇など
◆あわせる帯 袋帯、綴れ名古屋帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。