【仕入れ担当 田渕より】
思わず声を失うほどの目を瞠る細密絣…
熱い湯の中に手を入れ丹精込めて一本一本紡ぎ上げられた真綿糸を絣職人の手括りで防染し、
機と一体になって地機で織り上げる…
なんとも非効率な織物なのでしょう。
数多くの産業が機械化してゆく中で、昔から受け継がれてきた伝統を込めた一枚。
本場結城紬120山亀甲絣。
亀甲が織りなす絣の極地をぜひともご堪能くださいませ。
【お色柄】
一幅に織り出す亀甲絣や蚊絣の数を「~亀甲」と呼びますが、
80山亀甲の糸を染めるのも容易なことではなく、100山亀甲、
さらに細かな「120山亀甲」となりますと、亀甲細工の大きさも本当に小さく、
実に手間ひまのかかった、まさに最高級の本結城となります。
着込めば着込むほどに身体になじみ、軽くやさしく、やわらかく…
まるで一枚の綿のようにやさしく体をつつむ、その風情。
真綿ならではのほっこりとぬくもりを感じさせる質感。
こっくりと深みのある藍色の地に織り上げられた細密で美しい絣。
亀甲を背景に花唐草の意匠を一面に織り上げました。
古典の意匠ならではの伝統と文化を存分にご堪能頂けるお品は、
驚くほど日本人の肌に馴染み、飽きのこない着姿をお楽しみ頂ける素敵な仕上がりになっております。
三代お召しになって味が出るといわれる素晴らしい地風は、
丁寧に紡いだ上質な真綿を使用しておりますので、本当にしなやか…
織り手さんや絣を括って糸を染める職人さんの根気が伝わってくる、
確かな織物という美術工芸品。
洗い張り、仕立て直しを繰り返し、母から娘へと世代を超えて。
末長くご愛顧いただきたい逸品でございます。
【商品の状態】
中古品として仕入れて参りました。
うっすらとホック錆がございますので出来る限りお直ししてからお届け致します。
【本場結城紬について】
『重要無形文化財指定 本結城』――。
それは、以下三つの要件を満たさなければ指定されません。
・手紡ぎの絹糸の使用
・手括りの絣
・地機で織り上げられる事
本品は、この全てを満たす重要無形文化財指定技術使用のお品かと存じます。
糸づくりでは、
蚕の繭からつくられた袋真綿を「つくし」と呼ばれる台にからませ、
この一端より職人が指先の魔術で糸を引き出します。
右手の指で内側へ糸を捻り、さらに左手で捻り戻しをいたしますので、
糸自体は平糸になって撚りがかかっておりません。
これが着れば着るほど風合いの良くなる結城紬の秘密です。
また絣括りは、
経糸・緯糸を別々に目印の墨付けをして、
口にくわえた木綿の糸でしっかりと絹糸を括ります。
括りが弱いと染料が括りの中に入り、綺麗な絣糸にはなりません。
地機の織り技法では、
経糸の片側を機にとめ、もう片側の手前の部分を枠に、
きちんと糸を整列させた紐状のものを織り手さんの腰に巻きます。
経緯ともにピンと糸が張った状態で織り上げられるのではなく、
織り手さんが全身を使って経緯を調節して織り上げるので、
驚くほどしなやかに仕上がります。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
背より身丈149cm(適応身長144cm~154cm) (3尺 9寸 3分)
裄丈63cm (1尺 6寸 6分) 袖巾32cm (8寸 4分)
袖丈48.5cm (1尺 2寸 8分)
前幅22.5cm (5寸 9分) 後幅28.5cm (7寸 5分)
◆八掛の色:浅縹色
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈68cm (1尺 7寸 9分) 袖巾34.5cm (9寸 1分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、お食事、お出かけ、ご旅行、趣味のお集まりなど
◆合わせる帯 洒落袋帯、九寸名古屋帯 八寸名古屋帯 半巾帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。