【 仕入れ担当 渡辺より 】
人間国宝【 木村雨山 】。
加賀友禅を語る上で、この方を避けて語ることはできません。
心を揺さぶる、藝術…
豊かに描き出される内面性―
ご存知の通り、その名は本加賀友禅界随一。
その雨山氏による色留袖、訪問着仕立てのお品のご紹介です。
雨山氏が亡くなられて約45年。
半世紀たっておりますので、中古、新古品の流通も
本当に少ない状態でございます。
非売品であるものも多いため、中々ご紹介が叶いません。
お探しの方、お目に留まりましたら是非ご検討くださいませ。
【 お色柄 】
さらり、しなやかな質感の縮緬地。
地のお色は鼠色をベースに、柴垣がお裾に
染め描き出されております。
すっきりと洗練されたデザインで、スマートな
フォーマルスタイルをお楽しみいただけることでしょう。
また、更に着目いたしますと、今回ご紹介のお品は特に珍しい仕上がり。
どこが珍しいのか…と申しますと、金糸による刺繍が施されている点。
加賀友禅といえば、『金彩も刺繍も用いない』との認識が
ごく一般的、かつ現在の加賀友禅の技法の説明としては正論。
しかしながら、一般的ではございませんが、
実は昭和20年代から40年代、雨山氏をはじめとする
加賀の巨匠が活躍していた世代のお品には金彩も箔加工も、
あまつさえ刺繍も見受けられる作品がございます。
また、それ以降の作品にも短期間ではありますが
刺繍、金彩を試験的に用いたものも、かなり数は限られますが
ごく少数ござます。
もともとは加賀友禅も「誂え染め」。
柄、加工、生地など、すべてオーダーメイドが基本で、
刺繍、金彩加工が施されたお品はその性質を色濃く
反映した作品が創作されていたのでしょう。
おそらくではございますが、その認識を覆し、現在の認識に
至った背景には昭和48(1973)年の加賀染振興協会が設立の際に、
京友禅との違いをより明確にするために『金彩、刺繍を用いない』事を
暗黙のルールとして盛り込んだのではないでしょうか。
本品は金刺繍が見受けられ、落款の形状より昭和40年頃の
雨山氏の落款と近似の形状でございますので、時代背景としても
後加工ではなく、誂えの際に加工が施されているお品かと存じ上げます。
雨山氏のファン、加賀友禅ファンの方はもちろん、
マニアックな作品を収集されている方への
コレクターズアイテムとしても。
お手元で末永くご愛用いただけましたら幸いでございます。
【 商品の状態 】
中古品として仕入れてまいりました。
全体的にヤケによる退色、家紋付近の変色、
金糸の変色がうっすらと見受けられます。
(※画像の黄色矢印の幅は1cmです。)
お手元で現品を確認の上、お値打ちに御召くださいませ。
【 木村雨山について 】
脈々と受け継がれる確かな技。
加賀友禅は、絵画的で写実的。
質実剛健な作風を特色にしていますが、日本画も学んでおられた
雨山氏は、加賀友禅の特色を活かしながらも、写生による
図案をもとに制作を行い、日本画の技法を駆使して、宗達、
光琳風の濃淡の色調を巧みに表現し、加賀友禅の新境地を開かれました。
表裏:絹100% 縫製:手縫い
背より身丈155cm(適応身長150cm~160cm) (4尺 0寸 9分)
裄丈63.5cm (1尺 6寸 8分) 袖巾33cm (8寸 7分)
袖丈48.5cm (1尺 2寸 8分)
前巾24.5cm (6寸 5分) 後巾30cm (7寸 9分)
※訪問着仕立て
◆紋:抜き紋1つ『中陰蔦』
【裄丈のお直しについて】
≪最長裄丈≫ 現状最大寸法です。(縫込みがほぼないため)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン ご結婚式・式典へのご参列、パーティー、お付き添い など
◆あわせる帯 袋帯、フォーマル向けのデザインの綴れの名古屋帯 など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。