古へから現代に伝わる自然布―
呉服の本場、ここ室町におりましても、
めったと出会うことができないお品のご紹介です。
自然布の中でも希少性が高く、きもの通の中でも
お探しの方は多いかと存じ上げます。
経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに
葛の繊維だけで織った本葛布。
織物の産地として名高い小千谷・上信織物の
上村昭一氏による葛糸織八寸名古屋帯のご紹介です。
お目に留まりましたら是非ご検討くださいませ。
自然布の中でも日本の三大古代布と呼ばれるものの一角。
沖縄の「芭蕉布」、村山市・鶴岡市の「しな布」、そして「葛布」。
本品はその葛布でございます。
葛(くず)といえば…
秋の七草にも数えられ、その根は生薬である葛根湯に、
生成されたデンプン粉は葛餅などに用いられる、日本人には
とても馴染み深い植物。
山野に自生するその葛の靭皮(じんぴ)繊維を織り上げるため、
撚りにくく、裂けやすい、毛羽立ちやすい。
しかも200g(帯一本分)ほどの繊維をとるには、
10kg以上の生葛が必要で、他の自然布と同様に糸を取るのに
途方もない時間がかかります。
さらにその葛糸を織るためには、
高度な技術と精神力が必要とされるため、
経緯ともに葛糸を用いて織り上げられる本葛布は
大変生産数が少なく、希少でございます。
「絹になく麻になく木綿にもまたない味い」
と柳宗悦が称賛したその風合い。
自生の葛の茎の青く節間の長いものを選び採取。
皮の繊維を十分に処理した後糸をつむぎ、
手織りで織り上げる。
自然繊維の持つ魅力。
それは、人の手で真似の出来ない千変万化の表情をみせる、
ぬくもりの色彩に、独特の風合い。
葛の繊維の野趣あふれる力強さの中に、人の手が
加わる事で生まれる、まるみとおだやかさ。
亜麻色に近い色彩の濃淡の繊維の色彩の変化が走り、
ところどころに生まれた凹凸が無地ながら
豊かな表情をみせております。
単衣、夏の織物にあわせて。
自然の恵みをお手元でご堪能いただけましたら幸いでございます。
葛繊維:100%
長さ約3.6m(お仕立て上がり時)
柄付け:全通柄
【 付属証紙 】
小千谷織物同業協同組合・小千谷織物
製織:上信織物
※素材の性質上、フシによる凹凸組織の変化、色の濃淡などございます。
風合いであって難ではございませんので、その点ご了承くださいませ。
◆最適な着用時期 5月下旬~6月の単衣頃、6月下旬~9月上旬の盛夏
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 和のお稽古、芸術鑑賞、ご友人との気軽なお食事、街歩き など
◆合わせるお着物 夏御召、夏紬、上布