着物・和・京都に関する情報ならきものと

草履の選び方とは?他の履物との違いや着物ごとに合った草履の種類を解説

もう足元で迷わない!着物に合わせた草履選び ~季節や着物の格に合わせて徹底解説~

記事を共有する

おしゃれは足元から!というのは和装も洋装も同じ。そして案外、草履は人に見られているものなのです。履物だからといって手抜きは禁物。コーディネートの総仕上げに、装いに合った草履で出かけましょう。

2023.06.01

よみもの

備えあれば!優秀な草履のお話 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.72

草履を選ぶための基礎知識。選ぶポイントは?

女物のぞうり。各部分の名称

現在の和装の履物といえば「草履」と「下駄」が思い浮かびますが、現代では着物には草履を合わせることが多いのではないでしょうか。

草履は「鼻緒」と「台」に分けられますが、

・鼻緒の先を「前坪(まえつぼ)
・台の上の部分(足を載せる部分)を「天(てん)
・側面を「巻(まき)

と呼ぶなど、それぞれの部分で独特の名称があります。

素材は、金銀の帯地や牛革、畳表(たたみおもて)、酒袋(さかぶくろ)などさまざま

一般的に高さがあり、巻の重ねが多くかかとの高いものはドレッシー、巻の重ねが少なくかかとの低めのものがカジュアルとされています。

サイズは足よりひと周り小さめ、かかとが草履より少し出るくらいがちょうど良いとされています。大きめを選ぶと足より草履の天がはみ出してしまい、野暮ったく見えてしまうので注意が必要です。

最近では、天に真綿がたっぷり入っていたり、足の形に合わせて左右の別があるもの(通常は草履には左右の区別はありません)など、履きやすさにこだわった商品も増えています

一足あると便利!白の牛革素材の草履

巻が3重になった白の牛革草履。軽めの訪問着からドレッシーな小紋まで、幅広い着物に合わせられ、またコーディネートがしやすいので一足あると便利/神田胡蝶

白や薄いクリーム色の牛革草履は、着物の色柄を選ばず、どんなタイプの着物にも合わせやすいので一足持っていると重宝します。

特にかかとがあまり低すぎず、そこそこの高さがあり、巻も3重くらいあるものを選ぶと、軽めの訪問着からおしゃれ着まで幅広いアイテムに合わせることができ、万能です。

かつては畳表(たたみおもて)の草履が礼装用とされ、白い草履はおしゃれ着用とされていた時代もありましたが、明確な決まりはなく、いまでは訪問着などに合わせても問題ないでしょう。

ちょっと待って!振袖用をそのまま使っていませんか?

振袖向きに作られたエナメルの草履。台は金を挿した黒ですが、8重の巻を持ち、かかとが高く、鼻緒にはかわいらしい模様があらわされています/神田胡蝶

振袖は未婚女性の第一礼装ですから、金銀の草履を使うことができます。

また鼻緒には振袖用の華やかな帯地を使ったものや、キラキラのビーズを縫い付けたもの、また台には赤や黄などの鮮やかな色使いのエナメル素材のものなど、華やかな取り合わせの草履がさまざまに揃っています。振袖の色柄や、自身の仕上がりイメージに合わせて選ぶとよいでしょう。

ただし、これらはあくまでも振袖用です。

華麗な装飾や原色を多用した色使いの草履は振袖に合わせてこそ引き立ちます。大人用の着物に合わせると、悪目立ちをしてちぐはぐなバランスになってしまうので気を付けましょう。

フォーマルシーンに向く草履

金系で織り上げた、フォーマルな佐賀錦の草履。鼻緒と台の一部の濃い金地には、金箔散らしの加工が施してある格の高い一足/神田胡蝶

留袖や訪問着などを礼装や略礼装として着るシーンでは、金銀の帯地や佐賀錦、金銀のエナメル、または金や銀と白との配色、パール入りの白のエナメルなどを履きます。

かかとが高く巻を重ねたものがベター。

「フォーマルには金や銀の草履」と覚えておくとよいでしょう。

パーティシーンの華やかなおしゃれに向く草履

光沢があり上品ななかにも華やかさやゴージャス感のある草履はパーティなどの装いに。天に螺鈿が施されたものもおすすめ。金銀はないので訪問着、付け下げ、パーティ小紋まで幅広い着物に合わせやすい/神田胡蝶

盛装として着る訪問着や付け下げには、重くなりすぎないエナメルの金銀や、光沢感のあるエナメル草履などを。

かかとが高めで巻を重ねたものがおすすめです。

小紋や紬などをはんなり楽しみたいときには

上品な白のエナメル草履は小紋や紬を品良く着こなしたいときにぴったり。右は鼻緒のひと筋のピンクがアクセント。左のクリーム系は巻が2重で布の鼻緒の織り疋田が贅沢。どちらもシンプルで品があるので、カジュアルはもちろん、軽い立食パーティや食事会にも/神田胡蝶

おしゃれ着をはんなりと着こなすときには、足元も上品でありながらカジュアル感もある草履を

かかとは低めで、巻も1~2重がよいでしょう。

小紋や紬などを、しゃれ味を際立たせた印象に仕上げたいときには

おしゃれ着を小意気に着こなしたいときにぴったりなカジュアル草履。右の草履はかかとが低めで巻は1重。白とブルーのコンビで、天のブルーのぼかしがセンスを感じさせます。左は焦げ茶の帆布の台に真田紐の鼻緒。台と鼻緒の素材の取り合わせが素敵/神田胡蝶

カジュアルの醍醐味であるしゃれ味豊かな装いには、足元にも個性やモダン味を添えて

かかとは低めを。台の色の濃いものを選ぶと、粋な雰囲気になります。台と鼻緒の素材や色が違うものもよいでしょう。

涼を呼ぶ夏の足元には

夏の草履は基本的に袷のものを使用してよいのですが、メッシュ素材のものも涼しげです。

夏のフォーマルは袷と同じものを。ただし、佐賀錦や金の濃い重厚なものは夏には重く感じるので、金のエナメルや明るい金などがおすすめです。

盛装からカジュアルまでの装いには、淡彩のエナメルが涼やかでよいでしょう。

パナマ、シザール、レースなどメッシュ素材を選ぶのも夏限定のおしゃれです。

まとめ 足元はおしゃれの総仕上げ

草履にも「格」や季節感があり、取り合わせる着物の格や装うシーン、季節に合わせてセレクトしましょう。

迷った場合には、下記の「基本の4原則」を思い出して。

(1)フォーマルは金銀
(2)フォーマル以外はエナメル素材
(3)ドレッシー=かかとが高く巻を重ねたもの、カジュアル=かかとが低めで巻の少ないもの
(4)白やクリーム系のシンプルなエナメル草履は着物の色柄問わず

もちろん装う方の個性やお好みに応じてアレンジは自由。

足元はおしゃれの総仕上げ!ぜひとも楽しみながらお選びください。

文章/田中晃

2021.09.01

よみもの

力強い小物で秋のおしゃれを楽しむ 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.35

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

CATEGORYカテゴリー

記事を共有する