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はじめての誂え着物で銀座ランチ 「親子できもの日和」vol.1

はじめての誂え着物で銀座ランチ 「親子できもの日和」vol.1

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親子できものライフを満喫すること、それはきものファンの憧れのひとつ。今回は、はじめての着物を誂えたお嬢さまが着物愛好家のお母さまと、今注目の銀座のオステリアへ。特別なひとときに密着します。

親子で初のきものランチ@銀座

歌舞伎座や旧和光本館の時計塔、銀座三越……世代を超えて愛されるシンボルを残しながら、GINZA SIXなどを拠点に最先端のトレンドを発信する、伝統と革新の街・銀座。

その中心地ともいえる銀座四丁目交差点に、着物でお出かけを愉しむおふたりの姿がありました。

(左)お嬢さまのKさん(右)お母さまのAさん

(左)お嬢さまのKさん(右)お母さまのAさん

長年の着物愛好家でいらっしゃるお母さまのAさんと、その影響で着物に興味を持ち始めたというお嬢さまのKさん。

今年5月には、京都きもの市場の東京丸の内KITTEでの展示会にて、はじめての着物をお誂えされました。

この度、お仕立てが無事完了。早速親子で着物を着ておふたりでランチにでかけられるとのことで、僭越ながらその特別なひとときに同行させていただきました!

おふたりの着物ヒストリーに迫りながら、銀座の街に映える素敵な着姿を映してまいりましょう!

Aさん・Kさん親子

日本最大級のきもの展示会 in 東京丸の内KITTE イベントレポート

「着付け教室では、怒られてばっかりだった」

外壁には、画家・ヒグチユウコ氏のメルヘンな世界観が広がる

外壁には、画家・ヒグチユウコ氏のメルヘンな世界観が広がる

この日、おふたりが着物で出かけたのは、銀座の並木通りに面したイタリアンレストラン、『GUCCI OSTERIA DA MASSIMO BOTTURA TOKYO(グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ)』。

世界中で愛されるハイブランド『GUCCI(グッチ)』が手がけており、昨年10月のグランドオープン直後から予約困難と言われている銀座の新たなグルメスポットです。

まずはこちらでランチコースを堪能されたおふたり。お母さまのAさんに、着物を着始めたきっかけから伺います。

グッチ・オステリアの入り口にて

グッチ・オステリアの入り口にて

「着付け教室に通おうと思ったのは、10年前くらいだったかしら。
私の母がたくさん所有していた着物を子どもの行事で着られたら......と思ったのがきっかけでした。そしたら、お教室に息子の同級生のママさんもいてびっくり!でも、着物仲間もできてすごく心強かったです」

当時は先生のおっしゃる言葉を理解するのが難しく、怒られてばっかりだったというAさん。

「身八つ口を“八重洲口!?”とかって言ったりね(笑)。そんなんだから、なかなか教室を卒業できなくて。何度も初級クラスから通い直しました」

透明感あふれる美肌に馴染むピンクヘア

透明感あふれる美肌に馴染むピンクヘア

並木通りにて

銀座、並木通りにて

そんなAさんがようやく着付けを覚え、初めて着物を着たのは息子さんの参観日。多くの親御さんがお洋服でいらっしゃるなか、浮いているような気がしてちょっとソワソワしたとのこと。

ですが、ずっと着物を着たがっていたお母さまをそばで見ていたお嬢さまのKさんは、「やっと着たんだ」と嬉しくなった当時のことを今も覚えていらっしゃるそうです。

涼しげなKさんの横顔

涼しげなKさんの横顔

その後、着物でいろいろなイベントに参加するようになったAさん。

ロンドンへ旅行された際にも、着物姿で現地を回られたそう。Aさんにとって着物は、“特別な日を演出してくれる衣装”なのです。

そんなAさんがお嬢さまとはじめて着物でお出かけする特別な一日に選んだのは、五代・田畑喜八氏による手描き友禅の付け下げ。紬地を用いた、趣味性の高い一枚です。

藍色で描きあらわされたのは、控えめな飛び柄の宝尽くし文様。銀座という街のもつムードにもふさわしい、大人の余裕を感じさせるお洒落なセレクトです。

すっと美しいKさんの立ち姿
抽象柄の袋帯

帯には、螺旋状に連なる円の模様をあらわした袋帯を。
古典的な手毬柄のようにも、はたまた宇宙に吸い込まれゆくようにも感じられる不思議な表情は、帯姿に奥行きを添えています。

着物選びは“沼”

ナチュラルカラーが呼応するおふたりの装い

ナチュラルカラーが呼応するおふたりの装い

長年の着物愛好家であるAさんとは対照的に、お嬢さまのKさんが着物に興味を持ったのはごく最近のこと。

「母が着物を着ているから抵抗感はなかったんですが、自分が着るイメージはありませんでした。着物と帯以外に何が必要なのかもわからないし、そもそもどうやって選ぶの?って」

そんなKさんがはじめて着物をお召しになったのは、ご友人の結婚式のこと。Aさんの訪問着で参列されたそうです。

当時は今よりも髪色が明るく、着物に合わないのでは?と不安だったKさん。しかし想像以上にご友人の方々からの反応が良く、そこではじめて、着物を”自分が着るもの”として意識したといいます。

きりっとしたお顔立ちから覗く弾けるような笑顔が素敵

ときどき覗く、弾けるような笑顔が素敵

ひとめぼれの帯に、使い勝手のよい無地きもの

一目惚れした総刺繍の帯に、ニュアンスカラーが絶妙な貴久樹のナチュラルタッサー

そして、ご自身の着物を誂えようと決意。Aさんと一緒に着物の販売会場を訪れます。

当日は特価品のコーナーから、さまざまなブランドのブースまで満遍なく会場を回られたKさん。そんななか、まず最初に選ばれたのがチャコールブラウンの総刺繍の袋帯。一目惚れでした。

ガードレールに腰掛け話し込むおふたり

帯のもつオリエンタルなムードが最大限に生きるようにと選んだのは、ブランドの雰囲気が気に入ったという『貴久樹(きくじゅ)』のナチュラルタッサー。
緯糸(よこいと)にタッサーシルク、経糸(たていと)に生糸が用いられた、独特の光沢感のある無地着物です。

色無地としても、紬感覚のお洒落着としても着られる一枚は、さまざまなシーンに活躍するおひとつ。今後、帯や小物を変えてのコーディネートもとても楽しみな着物です。

「忘れえぬこと」 貴久樹・糸川千尋 着物にまつわる物語

衿元に輝くのは、スワロフスキーがあしらわれた半衿。『襟の衿秀』から発売されている「ローズカラー」襦袢を着用されているそうです。

「ローズカラー」襦袢はみなさまご存じの通り、半衿の付け替えがファスナーでできる人気商品。

「母がレースの衿をチクチク縫っている姿を「可哀想に」と思いながら見ていたので(笑)、ファスナーで着脱できるタイプがあることを知って衝撃でした!やっぱりキラキラしたものは可愛いし、テンションが上がりますね」

淡いグリーンの帯締めでお色味を足すことで、ぐっと可愛らしく

淡いグリーンの帯締めでフレッシュな爽やかさを添えて

常に笑顔をまとっているおふたり。まるでご友人のような仲の良さ

常に笑顔のおふたり。まるでご友人のような仲の良さ

帯にはじまり、一つひとつ小物までを揃えていったKさん。はじめてのお誂えは満足のいくものだったのでしょうか。

「着物選びは”沼”だなって思います。同じ着物でも、帯合わせや小物使いで着こなしは無限大。こっちもいい!あっちも可愛い!って目移りするから選ぶのは大変だけど、すごく楽しかったです!」

着付けもご自身で

この日はなんと、Aさんと一緒にKさんもご自身で着付けてのお出かけ。参考にしたのはおなじみ、きものすなおさんのYouTubeチャンネルです。

「初めて着物を着る方へ」と題された動画では、きものすなおさんが長襦袢を羽織るところから帯を結ぶところまでが分かりやすく丁寧に解説されていて、着物ビギナーさんの心強い味方となっています。

2022.06.04

イベント

「すなおさんのリアルレッスン」 きものすなおさん 日本最大級きもの展示会2022@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.1

銀座の街を歩くおふたり

そんなKさんにAさんは、

「私みたいに怒られると萎縮しちゃうもんね(笑)。すなおさんみたいな方に教えてもらったら着物を着るのも億劫じゃなくなりそう」

ご自身のやり方を押し付けるのではなく、お嬢さまと一緒に自然体での着物の楽しみ方を追求されるしなやかな姿勢が素敵です。

AさんとKさんのツーショット

こうして、本日のお出かけは終了。

暑さの厳しい一日でしたが、Kさんははじめてご自身でコーディネートした装いでの外出にとても気分が良かったそう。

Aさんも「また親子できものランチを楽しみたいです。次はルイ・ヴィトンのカフェで!」と意気込んでいらっしゃいました。

ぜひこれからも、親子できものライフをご満喫くださいませ!

撮影/水曜寫眞館

2022.07.27

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