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初節句を祝う服装は着物がおすすめ!母親の品ある着こなしとは?

初節句のお祝いには着物がおすすめ!母親の品ある着こなしとは?

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お子様のすこやかな成長を願う初節句をお祝いには、お母様の装いとして着物がぴったりです。とはいえ着慣れない方にも分かりやすく、初節句を祝うときに着用する着物はどんなものが良いのか、色や柄の選び方についてもご紹介します。

お子様が初めて迎える節句の日が「初節句」です。
日本では、古くから節句にはお祭りをおこなう習慣がある地域もあり、赤ちゃんが健康にすくすくと成長してほしいという願いを込めて、初節句の日には特別なお祝いをするという方も多いです。
お子様は普段着とは違う華やかな装いを準備して記念写真を残すということも多いのですが、
お子様を祝う服装として、親は何を着るべきでしょうか?
日本の伝統行事には、やはり着物がよく似合います。
また、歳時記や行事にちなんだ和の装いを考えるのも、着物の楽しみの一つです。
一生に一度の初節句を特別な装いの着物姿でお祝いしましょう。

1 初節句はどのように祝う?

誕生後初めて迎える節句を「初節句」と呼びます。
誕生を祝う産育儀礼のひとであり、その後の節句とは意味合いや大切さが異なります。
祖父母ほか親族などを招いてお祝いをするのが一般的です。
お祝いの席では、季節に合わせた飾りを施し、節句にちなんだ食事やしつらえでお客様をお迎えします。
なお、生まれ月によっては、翌年の節句で初節句を祝うこともあります。
目安としては3ヶ月以降、首が座っていればお祝いもしやすいでしょう。
男の子と女の子では初節句をお祝いする日が異なります。

(1)男の子の初節句は「端午の節句」

男の子の初節句は子どもの日としてお祝いされることも多い5月5日の端午の節句です。
「端午」とは、実は5月にも5日にも限らず、「月の初めの午(うま)の日」を指す言葉でした。
中国では、「午」と「五」の発音が似ていたこと、同じ数字が重なり特別の意味が感じられることから、5月5日に固定されることとなったようです。
旧暦のこの時季は高温多湿で伝染病が流行りやすかったため、蓬や菖蒲などの薬草で邪気を払う習慣がありました。
一方日本では、田植えを目前に控え、田の神に奉仕する若い女性「早乙女」が禊ぎをおこなう時季でした。
穢れに触れることのないよう、身体を清めて家にこもっていたようです。
端午の節句は、これら中国と日本での意味合いが合わさったうえ、「菖蒲」が「勝負」と同じ音であることから男性の節句の意味合いが強まり、江戸時代に独自の発展をして、現在知られる行事になったと考えられています。
端午の節句には次のようなことを行います。

○鯉のぼり、兜、鎧を飾る

鯉のぼりは、鯉が黄河の龍門の滝を上って龍になる、という中国の伝説に由来し、立身出世
を願う飾りです。
兜や鎧は、季節の邪気を払うために菖蒲を家の軒に挿していたものが転じたといわれています。
また加えて、人の災厄を代わりに引き受けてくれる身代わりの意味合いもあったのではないかともいわれます。

○柏餅、粽をいただく

柏(かしわ)は、古来神聖な木とされ、樹木を司る神も宿ると考えられてきました。
また、新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから、家の繁栄の象徴ともされています。
柏餅は、これらの柏の性格から、江戸時代に生まれた祝い菓子です。
粽(ちまき)は、餅米や葛粉を練ったものを、笹や茅の葉、竹の皮などで包んで蒸したものです。
中国で、政治家が失脚して川で命を落としたのを供養するため、川に投げ込んだと伝えられています。
その命日が5月5日でした。

(2)女の子の初節句は「桃の節句」

女の子の初節句はひな祭りとしても親しみがある3月3日の桃の節句です。
桃の節句の歴史は平安時代まで遡り、当時の貴族たちが薬草で身を清め健康を願う「上巳の節句」が始まりとされています。
上位の節句には髪や藁で作った人形に自分の穢れを移し、川に流して邪気を払うという風習がありました。
現在でも「流し雛」として定着している地域もあり、これがひな祭りの起源になったとされています。
また、当時の子女たちの間では「ひいな遊び」というお人形遊びが流行していました。
この「ひいな遊び」と節句の風習が結びつき、「ひな祭り」として定着したとされています。
桃の節句と呼ばれるのは、3月3日あたりにはちょうど桃の花が美しく咲く頃であることと、そして桃は魔除けの効果があり、節句のお祝いにふさわしいとされていたからだと考えられます。
桃の節句には次のようなことを行います。

○雛人形を飾る

女の子が生まれたら初節句のお祝いに雛人形をプレゼントするというご家庭もありますよね。
平安時代には草や藁のお人形だったものも、時代とともに豪華で華やかなものに変化し、現代で知られるような雛人形になりました。
豪華な雛人形は川に流すのではなく、飾ることで厄を払い健康を願う意味が込められています。

○菱餅をいただく

緑・白・ピンク(赤)の3色の菱形のお餅は雛人形と一緒に飾りとして置かれることも多く、この3色はひな祭りのイメージカラーとして認識している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
緑は健康、白は長寿、ピンク(赤)は魔除けとそれぞれの色に意味がこめられ、菱餅を食べることで子どもの健やかな成長を願います。
また、菱餅は下から緑・白・ピンク(赤)の順番になっているものがメジャーですが、これは大地(緑)に雪(白)が積り、そこから、桃の花(ピンク)の新芽が咲くという情景に見立てているとも言われています。

2 初節句のお母様の装い、どんな着物と帯がふさわしい?

では、初節句をお祝いする服装として着物を選ぶ場合、どのようなところに気をつけるべきでしょうか?

(1)着物選びのポイント

○本来ふさわしいのは準礼装または略礼装

お子様の初節句にお母様が着物を着用する場合、本来ふさわしいのは「準礼装」または「略礼装」です。
初節句の場合、一度しかない大切な行事のため、特にこれらが望ましいと考えられています。

 「準礼装」 色留袖、紋付きの訪問着・付下げ訪問着、染抜き紋の色無地
 「略礼装」 紋なしの訪問着・付下げ、縫い紋の色無地

しかし、最近はお子様の初節句に着物を着用すること自体があまり多くないうえ、ほとんどの場合身内のみで行うため、両家の祖父母などが気にしないのであればあまりこだわらなくてよいでしょう。
紋についても、最近は訪問着や付下げに紋を入れる方が少なくなっており、あまり気にしない傾向があります。

○格の考え方

装いの格を考えるにあたっては、記念写真をとるか否か、食事は外食か自宅か、どの程度お客様を招待するかなどがポイントとなります。
記念写真をとったり、祖父母以外にも多くお客様を招待したりするのであれば、本来の礼装が望ましいといえます。
また現実的なところでは、食事が外食で何もしなくて良いのか、自宅で自ら振る舞う必要があるのか、も考えたいところです。
格の高い礼装となるほど、汚してしまわないかが気になったり、自ら立ち回る姿に少し違和感があったりするかもしれません。

○色柄の選び方

初節句の着物選びで意識したいのは、主役であるお子様を引き立てる、控えめな装いであることです。
強すぎない地色、大きすぎない柄付けなどを選ぶと良いでしょう。ただし地味にする必要はなく、むしろキレイな色柄は晴れの日に彩りを添えてくれます。

(2)記念写真を撮る場合

写真館で撮影し台紙に収めるような写真を予定するのであれば、本来の礼装姿が美しく写ります。
また、格の高い着物ほど、記念写真らしい仕上がりとなるでしょう。
なお、着物の格の高さを決める紋ですが、節句の記念写真では、お母様はほとんどの場合前姿しか写らず、有無も種類も分かりません。
紋を気にするよりは、柄付けや柄自体の格調高さ、色の写真写りを考えて選ぶことをお薦めします。

3 初節句におすすめの着物

(1)男の子の初節句は楽しい柄で

ひと目で端午の節句や子どもの日のお祝いだとわかる柄の着物や、モチーフが描かれた着物がおすすめです。
また、時季が限られることを避けたい場合は、通年で使えるモチーフが描かれた着物や帯を選んでみましょう。

○鯉のぼり

この時季に限られるため最も贅沢ともいえますが、その分、楽しさやお洒落さも格別です。

○鎧、兜

ひと目で端午の節句と分かる柄ながら、他の時季にも使うことができます。
誕生日など男のお子様にちなんだ行事に身につけるのも楽しく、また、武将に因んだ演目の観劇、武具が登場する展覧会などでもお洒落に装うことができます。

○金太郎、桃太郎

男の子の節句ですから、男の子がたくましく育つことを連想させるような柄も、分かりやすいもののひとつです。
金太郎や桃太郎は、描き方もさまざまで、お茶目で愛らしいものもあり、自分好みのものを選ぶのが楽しくなるはずです。

○馬

「端午」の由来のためこの日にぴったりです。
特に飾り馬など日本的な柄はそれらしく見えるでしょう。

○菖蒲(しょうぶ)

着物によくみられる草花柄は、装いやすく優しい雰囲気を演出できます。
杜若(かきつばた)と似ていますが、菖蒲は花の根元が黄色いのが特徴です。
菖蒲のみで描かれているものもあれば、御所解や水辺の風景などの中で、草花の一つとして描かれているものもあります。

○鯉

鯉のぼりが、時季が限られるのが気になったり、分かりやすすぎるのが好みでなかったりという場合、鯉のぼりではない鯉の柄を選んでみるのもよいでしょう。
また、「荒磯」(あらいそ、あらそ、ありそ)という、波間で踊る鯉を描いた着物は名物裂に見られるものであり、季節を問わず茶席などでもよく見られます。

○弓矢、太刀

兜や五月人形の両脇に弓矢、太刀を飾ることもあるように、これらも端午の節句らしい柄です。
特に弓矢については、矢羽根(やばね)柄が着物によく見られます。
矢羽根とは、矢の上部につけられた羽の部分であり、着物や帯には、装飾的に色彩豊かで美しく描かれたものもあります。

○威毛(おどしげ)

威(おどし)とは、鎧の両肩と守るもの。
威には緒通しした札(さね)が並んでおり、それが鳥の羽のようにも見えることから、威毛と呼ばれるようになったといわれています。
格の高い袋帯によく見られ、そのようなものは季節を問わず礼装にふさわしい帯として締めることができます。

○玩具

現在では端午の節句と子どもの日が重なっていることもあり、男女を問わない昔ながらの玩具柄もこの日にちなんだ着物柄として楽しめます。
さまざまな玩具を散りばめたものが多くみられ、犬張り子、でんでん太鼓、だるま、駒、羽子板などが描かれています。

(2)女の子の初節句は華やかな着物や帯で

お雛様を彷彿とさせるような、明るい色味の着物や帯がおすすめです。
桃の節句にちなんでピンク色の着物や、季節のモチーフが描かれた着物や帯を選ぶと華やかに演出できます。
落ち着いた大人の着物コーディネートがしたい場合は、小物や帯で取り入れてみましょう。

○蝶

着物の柄として馴染みのある方も多い蝶は、芋虫からさなぎ、そして美しい蝶へ成長することから、子どもの健やかな成長を願うという意味もあり、初節句にふさわしい柄と言えるでしょう。
また、空を自由に羽ばたく蝶の姿を照らし合わせて、未来に自由に羽ばたくという「立身出世」の意味もあります。
華やかで女性らしく、季節を問わず着用できる着物です。

○桃や桜などの花柄

こちらも着物の柄としては定番ですが、華やかで女性らしい柄は初節句のお祝いにもふさわしいでしょう。
着物を選ぶときには季節を少し先取りした柄を選ぶことが粋です。
地域によって花の開花時期が異なりますので、
初節句をお祝いする日に合わせて柄を選んでみるのも楽しいですね。

○お雛祭りの柄

染め帯を中心に、お雛祭りをモチーフとした可愛らしい帯も創作されています。
2月下旬から3月限定のものとなりますが、だからこそ一層特別感を味わっていただけます。

4 まとめ

普段から着物を着ている方も、そうでない方も、「こんな日を着物で過ごしたらステキだな」と思うのは、日本の伝統行事や家族の大切な節目の一日ではないでしょうか。
初節句はそんな気持ちを実現するのにぴったりの行事です。
ご紹介した柄の着物や帯があればもちろんお洒落ですが、何より着物に袖を通してお祝いのごちそうなどいただくだけで季節を感じることができ、日本の伝統文化を意識しつつお子様の健やかな成長を願うかけがえのないひとときとなるはずです。
大切なお子様の初節句は、ぜひ着物でお祝いください。

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