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荘厳な『サンジェルマン・デ・プレ』教会 〜サンジェルマン・デ・プレ周辺〜 「きものでパリ navigated by MariMaeda」vol.4

荘厳な『サンジェルマン・デ・プレ』教会 〜サンジェルマン・デ・プレ周辺〜 「きものでパリ navigated by MariMaeda」vol.4

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思い思いの着物姿で訪れていただきたいサンジェルマン・デ・プレ周辺。その中心となるサンジェルマン・デ・プレ教会から、かつての文豪たちが愛した、かの老舗カフェを巡ります。

2023.08.12

よみもの

『アレクサンドラ・ソジュフェール』の日傘で ~サンジェルマン・デ・プレ周辺~ 「きものでパリ navigated by MariMaeda」vol.3

夏の終わり

夏のパリ

まもなく9月。

暑かったパリの夏も、朝夕に秋の気配を感じる頃となりました。

前編に引き続き、今回もサンジェルマン・デ・プレ周辺の魅力をご紹介いたします。

パリ最古の教会へ

優美な佇まい

サンジェルマン・デ・プレ教会(Eglise Saint-Germain-des-Prés)
3 Place des Saint-Germain des Prés

澄み切った青空にロマネスク様式ならではの優美な佇まいが映えるサンジェルマン・デ・プレ教会。その歴史は6世紀にまで遡ります。

パリで最も古い教会であり、街の一角にそびえる荘厳な佇まいは界隈のシンボルそのもの。

6月の音楽祭やクリスマスシーズンにはコンサート会場にもなり、街の人々や観光客で常に賑わうスポットでもあります。

アーチ型の入り口

アーチ型の入り口をくぐれば、一面のステンドガラスが視界に飛び込んで。

石造りの重厚感ある建物に、同色系ながらも質感が真逆な夏着物にて、和洋の不思議な世界観となりました。パリの中心地にありながら、神秘的で穏やかな空気感が漂います。

石造りの重厚感

撮影に集中しておりましたら、熱い視線をいただきましたのでご一緒にお写真を。

日本のご友人が多いとのことで、着物好きの方でした。

着物好きな方と記念撮影

教会の隣にあります小さな公園もまた風情があり、緑豊かな空間が広がります。パリジャン、パリジェンヌの憩いのスペースですね。

人々の憩いのスペース

思い出の夏着物でコーディネート

和装ならではの優美な透けの美学

夏の装いと言えば、「透け感」がポイント。絽や紗の、和装ならではの優美な「透け」の美学がとても好きです。

ファッションの世界にももちろん「Transparent(トランスパラン)」といった表現があり、透け感を楽しむ着こなしテクニックがあります。

今回の着物は、自然染色家の伊豆藏明彦先生と『MariⅯaeda』がコラボレーションした際の素材を着物にしたもの。株式会社ひなやにて誂えていただきました。

提供/MariMaeda

提供/MariMaeda

コラボレーションは2008年、パリで開催された『ETHICAL FASHION SHOW(エシカルファションショー)』にて実現。

「エシカル」のコンセプトを重視して絹素材を使用し、染めは天然の染料のみに絞り込みました。この着物は、胡桃で染めています。

『ETHICAL FASHION SHOW』展示の一部 提供/MariMaeda

『ETHICAL FASHION SHOW』展示の一部
提供/MariMaeda

『ETHICAL FASHION SHOW(エシカルファションショー)』はルーブル美術館の中にある会場にて開催され(CARROUSEL DU LOUVRE)、エントランスにはくず繭を敷き、数十体のボディーに作品を着せ付けて展示。

当時はまだ世界的にも「エシカル」という表現が浸透していないこともあり、ファッションの世界にとどまらず広く話題になり、フランスのニュース番組をはじめさまざまなメディアで取り上げていただきました。

袖口からチラッと見える色合いを意識

長襦袢はもともと、よくある絽の白無地のものでした。ですがこのニュアンスある白ベージュの着物にブルーの透け感を効かせたくなり、自身で長襦袢を染めてみました。

全身に感じるブルーの透け感もそうですが、袖口からのぞく色の具合も気に入っています。

二大老舗カフェにてひとやすみ

パリで最も好きな通りでもあるサンジェルマン・デ・プレ。

お洒落なカフェやレストラン、ブティックなどが連なり、洗練された雰囲気が感性を刺激してくれます。

メトロ「サンジェルマン・デ・プレ」駅、降りて目の前がサンジェルマン・デ・プレ教会

メトロ「サンジェルマン・デ・プレ」駅、降りて目の前がサンジェルマン・デ・プレ教会

18世紀頃より、哲学者や知識人、文化芸術に造詣の深い方々がこの界隈のカフェに集まっては有意義な時間を過ごされていました。

ヘミングウェイやサルトル、ボーヴォワール、ピカソなどが通ったカフェが、今なお存在しているのです。

Cafe de Flore/カフェ・ド・フロール

CAFE DE FLORE
172 Boulevard Saint-Germain, 6e Paris

こちらは1885年創業の『カフェ・ド・フロール』。

日本でも大変有名な、サンジェルマン・デ・プレの象徴のようなカフェですね。観光客であふれるこの時期は常に満席ではありますが、早朝や夕方のアペリティフのお時間などは狙い目かもしれません。

そしてそのお隣にあるのが『レ・ドゥ・マゴ』。『カフェ・ド・フロール』と同じ時期に並んで創業した老舗カフェです。

19~20世紀にかけて、時代をリードする芸術家や文学者、哲学者などが集い、文化の中心となりました。

Les Deux Magots 6 place Saint-Germain-des-pres, 6e Paris

Les Deux Magots
6 place Saint-Germain-des-pres, 6e Paris

もともとは絹織物のお店で、そこに2体の中国人形(フランス語で「レ・ドゥ・マゴ」)があったことからこの名になったそう。

芸術や文学、政治などに関して連日このカフェで熱く議論が交わされ、20世紀を代表する人々を生み出したカフェとも言われています。

ロゼ・ワインをセレクト

着物で愉しむテラス席は、なんともラグジュアリーな気分になりますね。

パリでは着物を着ていますととても丁寧に接客対応いただけます。今回も「お好きなところへどうぞ」とのことで、希望のお席を用意して下さいました。

オリジナルのワイングラス

オリジナルのワイングラス

ほっとひと息、心地よい憩いのテラス席です。

こちらのカフェでは、1933年に『ドゥ・マゴ文学賞(Le Prix Deux Magots)』を設立し、無名作家の登竜門として文学の才能に満ちた方々を支援されています。今年はこの文学賞も90周年を迎えようとしています。

90周年

きものでパリ、サンジェルマン・デ・プレ編、お楽しみいただけましたか?

次回は……

思わず”あのメロディ”を口ずさみたくなる!?パリを代表するゴージャスなエリアへまいります!どうぞお楽しみに。

お話しに花が咲いていますね。

おふたりのムッシュとパチリと目が合って

撮影/助友利矢子

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