商品番号:1551920
(税込)
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【 仕入れ担当 田渕より 】
藤の蔓からわずかに採れる繊維を、丹念に裂き、績み、織り上げた藤布の帯。
かつては山間の民の暮らしの中で当たり前にあった素材ですが、
現在では採取・製糸・織りのすべてが困難を極め、
職人の高齢化や材料の希少性から製織は年間数点とまで言われています。
自然と人の共生から生まれたこの帯には、工芸というより祈りに近い精神性が宿り、
持つ人に深い余韻と静けさをもたらします。
懇意にしている問屋さんより、
特別に仕入れが叶った作品でございます。
心を込めてご紹介いたしますのでまずはじっくりとご覧くださいませ。
【 お色柄 】
張りのある中にしなやかさを感じる帯地。
深い黒色の地に、藤の繊維の自然な生成色をそのまま活かした格子柄。
規則的でありながら、よく見ると一点一点に揺らぎとムラがあり、手織りの生命力が感じられます。
きゅっと締めやすい締め心地のよさ。
そして、香り。
森の中、木々に包み込まれ、すっと深呼吸した瞬間のような、心が澄み渡る感覚。
手にされる度、その工程を思い…
この帯が作られるまでの自然の力の育みと、
多くの人の手によって作り上げられたという喜びの気持ちが、
心の奥深くに感じていただけることでしょう。
夏織物に洒落味を添える植物素材の帯。
近年では冬以外の3シーズン着用される方もいらっしゃるようです。
自然に育まれた繊維のたくましさ。
力強く美しい、織り手の誠実さ。
末永く大切に、お召しくださいませ。
【 商品の状態 】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
お手元に届いてすぐにお召しいただける状態でございます。
【 藤布について 】
1200年の歴史には明確な史実があり、古代布の代表ともされるのが「藤布」です。
歴史は古く古事記や万葉集にも藤衣を読んだ謌があります。
大王(おおきみ)の塩焼く海人(あま)の藤布(ふじごろも)
なるとはすれど いやべずらしくも
天皇の御料の塩を焼く海人の藤衣が、時がたつと着なれるように、
あなたに馴れはしても、いよいよ心引かれることですよ。
(万葉集12巻2971)
幕府によって隠岐の島に流された後醍醐天皇が、藤の苗木を隠岐に持参し…
都を想いながら身にまとったという逸話もあるほど。
藤布は、日本古代より人々に愛されてきた植物素材です。
藤布は、5月の中頃山々を美しく彩る藤つるの繊維を紡いで織り上げます。
丹後では、春の彼岸から秋の彼岸にかけて、蔓の皮はぎをして繊維をとり…
10月に、甘皮の繊維を乾かし長時間灰汁煮き、冷たい泥水でしごき洗います。
そうして雪に閉ざされた冬、赤々と燃える囲炉裏の傍らで一心に紡ぎ織り上げて、
やっと、長い時を経て、ぬくもり満ちる作品が完成するのです。
日本三景の一つ天の橋立近く、加悦町で伝えられるその手仕事の技術。
昭和58年、国の無形民俗文化財記録保存。
平成3年、京都府の無形民俗文化財に指定されました。
藤糸100%
長さ約3.85m
全通柄
◆最適な着用時期 5月下旬~6月、9月~10月上旬の単衣頃
10月~翌年5月の袷頃(真冬を除く)
おすすめは盛夏(7~8月)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、お出かけ、お食事、行楽など
◆あわせる着物 上布、小紋、織の着物など
※仕立て上がった状態で保管されておりましたので、折りたたみシワがついております。この点をご了解くださいませ。