商品番号:1551402
【 仕入れ担当 田渕より 】
風土を越えて…上布に宿る名匠の息吹。
その鮮やかで自由な色彩と繊細かつ力強い型の仕事は、
南の島の風土と精神を映し出す芸術。
紅型三宗家の一家、城間栄順氏による、
越後上布という全く異なる北の風土の布を用い、あえて紅型を染めた極めて希少な作品でございます。
越後上布、経(たて)・緯(よこ)糸とも青芋の手績みの糸を用い、
いざり機で織った、まさに最高級、重要無形文化財指定技術使用のお品を帯地に用いた至高の一条。
雪国の麻に、沖縄の色と型が舞い降りた、一つの出会いのかたちです。
どうぞお手元でご堪能下さいませ。
【 お色柄 】
上布、ならではの織りひとつひとつの風合い…
素材そのものの訴えてくるような力強さ。
麻の素材感ある生地は、自然な生成り色を基調にして、
えもいわれぬ深みと奥行きある表情に仕上がっております。
その地に藍の濃淡であしらわれたサンダンカの花意匠。
ひとつひとつの文様は紅型らしいリズムを持ちつつも、涼感ある配色で品よくまとまり、
風通しのよい麻地との相性が抜群です。
葉のかたちや花の構成に遊びがあり、
型紙の妙と手仕事の揺らぎが布全体に豊かな呼吸を与えています。
北と南、異なる風土の美意識が交差するところに、新たな価値が生まれる。
本品はまさに、その象徴ともいえる存在。
伝統をただ守るのではなく、広げ、結び、深めていく…
琉球紅型と越後上布が語りかける未来のかたちがここにあります。
【 城間栄順(しろまえいじゅん)について 】
紅型三宗家城間家15代
日本工芸会正会員
沖縄県指定無形文化財「びん型」保持者
城間びんがた工房代表
1934年沖縄県・那覇市生まれ。
琉球王朝時代から続く紅型の三大宗家のひとつ、
城間家の15代目。戦後の混乱の中、紅型の復興に
尽力した城間栄喜の長男として生まれ、父より
城間家の伝統技術を継承。
魚や海、沖縄の大自然をモチーフにした
独自の世界観を織りなす作品をつくりだしている。
【 経歴 】
1934年 沖縄県首里市(現在・那覇市)に生れる
1959年 首里高等学校を卒業 家業の紅型に専念
1963年 沖縄美術展覧会(通称沖展)染織部門奨励賞受賞
1965年 沖展準会員に推挙
1966年 沖展準会員賞を受賞
1987年 城間栄順紅型展(青砂工芸館)
1997年 沖縄県指定無形文化財「びん型」保持者認定
「現代の名工」表彰
2006年 城間栄順紅型作品展「宝布に華咲かち」
(那覇市民ギャラリー、時事通信ホール・東京)
2015年 城間びんがた三代継承展(沖縄県立博物館・美術館)
2022年 城間栄順米寿記念「紅(いろ)の衣」展
(沖縄県立博物館・美術館)
【 重要無形文化財 越後上布 について 】
産地:新潟県魚沼地方
重要無形文化財総合指定第1号
ユネスコ世界無形文化遺産指定
現在では新潟県南魚沼市、小千谷市を中心に生産される
苧麻(ちょま、からむし)を原料とする織物
新潟県魚沼地方では、湿度の高い雪国の自然環境、
風土が麻織物の生産に適していたため、古来より
農閑期の冬仕事として、受け継がれており、
その歴史は非常に古く、1200年前の奈良時代
天平年間に織られた麻布が正倉院の宝物として
保存されている。
江戸時代には幕府御用となり、天明から文化期の
最盛期には 年間20万反もの生産高に及ぶ
一大産業であった。
明治時代以降は近代化とともに工業化が進み
古来からの 形態で生産される製品が激減。
貴重な技術を絶やさぬため、小千谷と塩沢の
両産地によって技術保存協会が設立。
後、1955年(昭和30年)5月12日に
国の重要無形文化財総合指定第1号に指定された。
また、2009年(平成21年)9月30日に、
ユネスコ(国際連合教育科学文化 機関)の
無形文化遺産に登録。
日本の染織技術としては第一号となる。
越後上布の素材である糸は、まず苧殻を抜き、
上布の原料となる皮の肉質をそぎ落として
繊維だけを取り、それを爪と指先で裂いて
より合わせてつくる。
緯糸は一反分を仕上げるのに約3ヶ月、
経糸は7ヶ月かかる。
糸作りのできる職人が減り、現在重要無形文化財の
認定を受ける「越後上布」の年間生産反数は
ごくわずかとなった。
越後上布・小千谷縮布の重要無形文化財指定要件は下記
一、すべて苧麻を手績みした糸を使用すること
一、絣模様をつける場合は手くびりによること
一、いざり機で織ること
一、しぼとりをする場合は湯もみ、足ぶみによること
一、さらしは雪晒しによること
麻100%
長さ約3.6m(お仕立て上がり時)
全通柄
経、緯糸とも青芋の手積み
織機:いざり機で織ったものである。
◆最適な着用時期 盛夏(6月末~9月上旬)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 観劇、芸術鑑賞、お食事、お出かけ、行楽など
◆あわせる着物 小紋、織の着物など