【仕入れ担当 吉岡より】
問屋間で多く流通することのできない、
伝統工芸士・渡辺善平氏による製反数わずかな希少品。
中でもくびり絣、すくい織を用いた希少な十日町紬をご紹介致します。
【色・柄】
伝承絣は、本来本シボだったそうです。
今では甘撚りの比較的さらりとした絣紬の着尺をメインにつくっておられるようでございますが、
実際に絣を手にしますと、しっとりとした独特の質感、重みなど、大変しっかりとした印象がございます。
柔らかな白茶色を基調とした地には、
手織りにて丁寧に織り上げられた絣意匠がふわりと浮かび上がります。
一見シンプルな面持ちですが、すくい織による絵羽柄付けが味わい深く、
奥行きを持ってしっかりと織り上げられております。
伝承絣(十日町絣)とすくい織の技術を合わせた織り方は、
日本でも渡辺氏だけが持つ特別な技術。
その表情はすべて計算のもと、順を追って込められたもの。
遠目にはまるで濃淡の絣模様のように、やわらかな表情を感じさせてくれます。
くびりとは、他の地方で言う「くくり絣」と同様の工程になり、
絣模様にしたがって防染すべきところを
綿糸ひとつひとつ手で入念にくびり(くくり)、浸色する技法のこと。
十日町ではその言葉がなまって、
「くびり絣」と呼ばれるようになったのだそうです。
一つ一つ手でくくるのですから、
その労力はやはり並大抵のものではございません。
時代の流行すたりの全くない、
終生ご愛顧いただける、ほんものの十日町手織り物です。
代々受け継いできた、100年余りにもなる道具にささえられ、
使い勝手のよい作業場を自分たちで作り上げてきた歴史、しっかりとかたくなに守り通した伝統の技。
ひとつひとつ絣を手で括り、染料を染め重ね、糸を張り、織り、一反の織物を創り続けること。
古きよき時代あたりまえであったことが、
今手にいたしますと、そのありがたみが存分に心に感じられます。
すべて手仕事を家族でされておりますので、
生産数は本当に多くございません。
そのため一般にはあまり広く知られてないかもしれませんが、
室町の織物問屋さんの中では確かな定評のある織元さんの丁寧な作品です。
どうぞ大切に、お召しいただける方にお届けできればと願うお品です。
じっくりとお手元で織手さんのあたたかなぬくもりを感じていただきたいと思います。
どうぞ末長く素敵にお召しくださいませ。
【商品の状態】
未着用の新古品として仕入れてまいりました。
仕付け糸もついたままの美品でお手元に届いてすぐにお召し頂ける状態でございます。
【渡辺善平氏について】
新潟県十日町。
古くは、越後上布、小千谷縮、十日町絣といった織物の産地で、
雪に閉ざされた長い長い冬の間に、
農家の人たちが農作業が始まる春を待ちながら、
土間や囲炉裏端でコツコツとねばり強く糸を紡ぎ、績み、機を織ったのが、
産地としての始まりです。
渡辺善平氏は、古くから伝わる十日町絣の中でも最も小さな絣を作り続けており、
一家4人、全員が伝統工芸士でいらっしゃいます。
家族で創作されていると聞くと、分業体制かと思われがちですが、
実際は家族全員がすべての工程の仕事を出来るとのこと。
これは次の仕事がわからないと次へのつながりが悪くなってしまうから。
家族だけでやっているから、なおさら、次の作業をする人への思いやりが強くなるのかも知れません。
今では本当に貴重な、手織りにこだわり続ける小機屋さんです。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
八掛の色:金茶色(無地)
※ガード加工済み
身丈(背より) | 156cm (適応身長161cm~151cm) (4尺1寸2分) |
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裄丈 | 65.5cm(1尺7寸3分) |
袖巾 | 33.5cm(0尺8寸8分) |
袖丈 | 53cm(1尺4寸0分) |
前巾 | 24cm(6寸3分) |
後巾 | 29.5cm(7寸8分) |
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈72cm (1尺 9寸 0分) 袖巾36cm (9寸 5分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 芸術鑑賞、観劇、女子会、街着、カジュアルパーティーなど
◆あわせる帯 袋帯、九寸名古屋帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。