【 仕入れ担当 中村より 】
重要無形文化財保持者・人間国宝である北村武資氏が
2022年3月31日、その実り多き人生に幕を下ろされました。
京都西陣で製織業に携わった所から始まった氏の糸道。
24歳で初代・龍村平蔵展を見て感銘を受け、
同日に龍村美術織物に入社し、その後独立、
伝統工芸日本染織展を始め、数々の受賞を果たします。
伝統を受け継ぐ心と、積み重ねてきた経験から生み出される、美の極致…
氏の作品の中でも傑作と呼ばれる代表作、
煌彩錦(こうさいにしき)の袋帯をお届けいたします。
氏がお亡くなりになられてから、
その希少価値はさらに上がりましたが、
特に未仕立てのお品は市場にほぼ出てきません。
今回問屋さんにお願いを重ねて、
数少ない在庫の中からなんとかお譲りいただきました。
皆様にご縁を繋ぐことができるのはあと何度あることか。
大切にお届けさせていただきます。
黒留袖、色留、訪問着、付下げ、色無地とフォーマルのお着物に、
ほんとうに…ほんとうによきお柄でございます。
後世に残したいお品と言うのはこの様なお品のことを言うのでしょう…
まずはじっくりとご覧くださいませ。
【 色柄 】
今回ご紹介させていただきますお品は経錦、羅に並ぶ、今や氏の代名詞と言っても過言ではない、
煌彩錦(こうさいにしき)のお品でございます。
さらりとしてしなやか、本当にお手にとって触れてただけないのが残念でございます。
繊細かつ密に綾なされた、細やかな銀糸による菱目の地紋。
清雅な白地をベースに織り出されたその菱目が、漣のような
こまやかな陰影を生み出し、フラットな面に奥行きを演出しております。
その細緻な白の帯地に、金、銀糸の濃淡の配色と気品を感じさせる白緑色のお色味で、
装飾的な七宝華紋が織り出されました。
華やかさを感じさせながらも、確かな技術にうらうちされた品格と、
優美でやわらかな表情を演出してくれる事でしょう。
あわせていただく御着物の地色をえらばない重宝されるお品かと存じ上げます。
本当にお手にとっていふれてただけないのが残念ですが、その手触りは、
格調高い帯姿に、これ以上ふさわしいお品はないかと存じ上げます。
【 北村武資について 】
「経錦」と「羅」の二つにおいて、
重要無形文化財保持者の認定をうけている北村武資氏。
その作品はいずれも、伝統的な織物を構成する要素に変化を加え、
現代の美として甦らせることを意図して生み出されたものです。
古代技術の復元に留まらず、「現代に生きる織」を志向。
新たな織物美の創出を志すその作風は、国内外で高い評価を得ています。
< 人間国宝 北村武資 プロフィール >
昭和10年(1935) 京都市に生まれる
昭和40年(1965) 日本伝統工芸染織展にて優秀賞
昭和42年(1967) 日本伝統工芸染織展にて奨励賞
昭和43年(1968) 日本伝統工芸展にてNHK会長賞
昭和44年(1969) 日本伝統工芸染織展にて奨励賞
昭和49年(1974) 日本伝統工芸展にて奨励賞
昭和50年(1975) 日本伝統工芸近畿展にて特別賞
昭和51年(1976) 日本伝統工芸染織展にて東京都教育委員会賞
昭和53年(1978) 日本伝統工芸染織展にて奨励賞
昭和55年(1980) NHK文化シリーズ「古代の紋織」に出演
昭和58年(1983) 日本伝統工芸染織展にて奨励賞
昭和60年(1985) 個展(銀座 和光)
平成02年(1990) 日本伝統工芸展にて保持者撰賞
平成04年(1992) 京都府無形文化財「羅」「紋織」保持者に認定
平成06年(1994) 個展(銀座 和光)
平成07年(1995) 重要無形文化財「羅」保持者に認定
平成08年(1996) 紫綬褒章
平成12年(2000) 重要無形文化財「経錦」保持者に認定
令和4年(2022) 永眠
絹10% 金属糸風繊維以外
長さ:約4.35m
六通柄
耳の縫製:かがり縫い
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 成人式、結婚式、披露宴、入卒式、パーティー、叙勲など
◆あわせる着物 振袖、黒留袖、色留袖、訪問着、付下げ、紋付き色無地など